27日の中日戦(東京ドーム)で史上79人目、90度目のノーヒットノーランを達成した巨人・山口俊投手(31)。レギュラーを剥奪されていた小林誠司捕手(29)とのバッテリー復活を首脳陣に直訴し、22試合ぶりに先発復帰した主戦捕手と偉業を成し遂げた。
9回103球を投げ、出した走者は7回の四球のみ。山口俊は「小林がしっかり長いイニングを考えて配球してくれた。状態はよくなかったが、真っ直ぐだけはいけるかなという手応えがあった。押すところは押す、引くところは引く緩急の使い分けで、うまく引き出してくれた」と女房役に感謝の言葉を連ねた。
首脳陣の信頼を失った小林が、先月28日の広島戦(マツダ)を最後に先発マスクを外れて以来、大城や宇佐見とバッテリーを組んだ4試合では16失点。前回登板の今月20日の広島戦(同)では2回7失点でKOされ、そこからチームは泥沼の7連敗中だった。「ふがいない投球をしたので、今日は最初から1人で投げきろうとマウンドに上がった」。5試合ぶりの小林とのコンビで、そのノルマを達成してみせた。
この日の試合前には、勝利の方程式の一角を担ってきた上原が、前夜のヤクルト戦(京セラ)で5敗目を喫し、再調整で今季初の2軍落ち。さらに抑えのマシソンも練習中に左膝を痛め、救援陣が火の車だっただけに、完投した価値は大きい。
球団関係者は「前回のマツダでの広島3連戦の前に、山口俊は菅野と一緒に首脳陣に『小林と組ませてほしい』と直訴していた」と明かす。9勝のエース菅野、それに次ぐ7勝の山口俊というチームの勝ち頭2人からの要請だったが、首脳陣は首を縦に振らなかった。
だが、あえなく2人とも赤ヘル打線の餌食となり、チームの歯車も狂いっぱなし。結局は首脳陣が折れる形となり、約1カ月ぶりのスタメンに小林は「緊張した」。それでも「チームが勝てるよう、与えられる仕事への準備をしてきた」という成果を発揮し、自らの野球人生を左右しかねない大一番で一発回答。偉業へのアシストを「俊さんに引っ張ってもらった。僕は受けただけですけど、立ち会えてよかった」と控えめに喜んだ。(笹森倫)