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photo by RJP Kenji Demura |
ハードワーク実り5年越しの悲願達成 日本人の可能性を示し来季はJWCへ
U20日本代表が4年間越えられなかった「高い壁」(SO松田力也キャプテン)を乗り越えて、世界への扉を開いた。
4月7日から香港で開催されてきたジュニアワールドラグビートロフィー(JWRT)のプール戦を2勝1敗(4月7日=対ウルグアイ28―33、同11日=対ナミビア34―28、同15日=対カナダ37―12)で1位通過した日本は19日の決勝戦でトンガと対戦。
35―10というスコアからもわかる完璧な内容で圧倒し、来季世界ベスト12が集うエイジグレードレベルでは最高峰の大会であるジュニアワールドチャンピオンシップ(JWC)へ昇格する権利を勝ち取った。
photo by RJP Kenji Demura
「FWでドミネートしてみろ。」
試合前、遠藤哲コーチからそうハッパをかけられていた若武者たちは、なんの躊躇もなく、8人が塊になってトンガゴールに向かって足をかき、歩を進めた。
前半13分、相手のキャリーバックによって訪れた最初のスコアリングチャンス。
珍しいほど一直線にトンガゴール方向に進んだスクラムは、トライライン寸前でトンガが崩してペナルティ。
当然のようにスクラムを再選択した日本が再び一気に押し込んで今度はインゴールに到達したようにも見えたが、なんとレフリーの判断は日本側の反則で得点はならず。
「プール戦から、よく分からないペナルティを随分取られていたので、慣れていた」とFW陣の気持ちを代弁したのは、前8人にドミネートを命じた本人である遠藤コーチ。
お互いに1本ずつのPGを決めて3-3のまま迎えた前半32分。スクラム勝負の再到来は、それほど時間を経ずにやってきたが、日本の若武者たちは全く慌てずに自分たちの仕事に集中して見せた。
不本意なペナルティでチャンスを失った時とほぼ同じ場所でのスクラム。すでに、前述の攻防で先発右PRが負傷退場していたトンガFWは、再び低く押し寄せてきた日本の押しを耐えられずに、明らかなコラプシング。
今度は2度目に崩れた時点で、先ほどよりも納得する人が増えたであろう判断で日本にペナルティトライが与えられた。
もちろん、「ドミネート」指令はスクラムに対してだけ出されたわけではない。
そのまま10―3と日本がリードして折り返した、後半開始直後。
相手ペナルティから敵陣深くでのマイボールラインアウトチャンスにモール勝負。
体格で上回るトンガFWのモールディフェンスを完全に崩し切った後、スロワーだったHO中村駿太が最後尾から抜け出して悠々ビクトリーロードを駆け抜けた。
FWリーダーでもある中村は昨年のJWRTも経験しているが、「1年前はスクラムもラインアウトもモールも全部負けていたのに、今は自分たちの武器になっている」と、前回とは比較にならないほど世界で戦えるようになったFW陣の充実ぶりに胸を張る。
やはり今回が自身3度目のJWRTだったSO松田キャプテンも、「FWがしっかり頑張ってくれて、後ろから見ていても頼もしかった」。
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「FW、BK一体のいいチームになった」(沢木HC)
当然ながらFW陣がフィジカルの強いトンガをドミネートしていたからと言って、BK陣が何もしてなかった訳ではない。
日本の4試合全てを見た岩渕健輔・日本代表ゼネラルマネージャーは「後半に入ってすぐの成田(秀平=WTB)のタックルで勝利を確信した」と語ったが、成田だけではなく、全員がよく前に出てパワフルなトンガの突進をしっかり止めていたのは紛れのない事実。
FWの充実とともに、勇気ある強固なディフェンスも頂点を極められた大きなポイントだったことも間違いない。
そして、後半34分に飛び出した勝利を決定づけたトライは、第2戦のナミビア戦後には「今日のパフォーマンスではすごく頑張ってくれたFWに対して失礼」(沢木HC)とまで酷評されたBK陣によるリベンジとも言っていい、完璧なジャパンウェイから生まれたものだった。
最後までディフェンスでプレッシャーをかけ続けた結果、トンガのパスが乱れてジャパンがインターセプト。
大会前から「攻守の切り替え=トランジションがポイント」と説いていたとおりに、即座にカウンターアタックに打って出た日本がSO松田キャプテンからWTB成田とボールをつないで、電光石火のごとく左隅にトライ。
さらに、ロスタイムにもう一度スクラムトライを奪う強さを見せたU20日本代表は「最後はFWとBK一体になって、いいチームになった」と、沢木HCを喜ばせる完璧な内容で、5年がかりの悲願だったJWRTでの頂点穫りに成功した。
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「今まで勝てなかったフィジカルの部分もしっかり強化してきたし、人間的にもタフになれるように、しっかりハードトレーニングしてきた。そうやってブレずにやってきたから結果が出た。力はあるのに、自分たちの武器を、勇気を持って最初から出せない。そこを変えられたし日本人の可能性を示せた」(沢木HC)
「世界の壁は高かったけど、チームが一つになって乗り越えられた。日本のラグビー界にとってすごい進歩だと思う」(松田キャプテン)
現在、20歳前後の選手たちは当然ながら2019年の地元開催ラグビーワールドカップで日本代表の中心選手として活躍しなければいけない世代。
ジュニア・ジャパンとして参加した3月のIRBパシフィックラグビ―カップではスーパーラグビー予備軍やフィジーA代表(ウォリアーズ)に大敗の連続。
JWRTに入っても初戦のウルグアイ戦を落とすなど苦しい経験を肥やしにして頂点に立ったU20日本代表。
もちろん、2019年につながる本当のハードワークはこれからだ。
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