人工セルロース系繊維
持続可能な方法で育てられた樹木、コットンの端切れ、その他のゴミの流れを供給源とする人工セルロース系繊維を調達し、有害な化学物質の使用を抑えた製造工程を採用しています。
なぜ
人工セルロース系繊維(略称MMCF)は、植物細胞壁の主成分であるセルロースに由来します。このセルロースはさまざまな溶融と押出成形の製造過程を通じて、レーヨンやリヨセルやモダールなどさまざまな素材に加工されます。(セルロースは他の材料と混ぜ合わせて生地となり、最終的にはパスタを作る小麦粉のようなものだと考えてください)
しかし大部分のMMCFは木質パルプを原料とするため、そうした素材が森林破壊につながり、危機に瀕する野生の生態系を脅かしかねません。
パタゴニアは持続可能な方法で育てられた樹木、コットンの端切れ、その他のゴミの流れを供給源とする人工セルロース系繊維を調達し、有害な化学物質の使用を抑えた製造工程を採用しています。総合的に見て、これらの決断は従来の工程と比較して、環境への影響を削減しながら製品の品質や機能性を犠牲にすることはありません。
現在の取り組み
私たちは4種類のMMCFをパタゴニア製品に使用しています。
一般的に木質パルプを原料とするリヨセルは、そのやわらかさと優れた吸湿性で知られています。パタゴニアのリヨセル素材は、オーストリアを拠点とする製造会社〈レンチング〉との協働により生まれ、「テンセル」という商標をもつリヨセル繊維です。従来のテンセル繊維に加え、パタゴニア製品の一部にはリフィブラ・テンセルも採用しています。リフィブラは生地の製造過程で発生したコットンの端切れをリサイクルして木材パルプにブレンドしているので、この繊維を生産するために採取する木は少なくて済むということを意味します。またテンセルおよびリフィブラ・リヨセルはいずれも循環型の工程で作られ、製造中の水をリサイクルしながら、木材とコットンの端切れを加工するために必要な溶剤の99%以上を回収して再利用しています。
モダールは軽量でソフトな肌触りながら長年の着用と洗濯に耐える素材です。パタゴニアが採用するテンセル・モダールもレンチング社によって生産されたもので、製造中の溶剤をリサイクルする方法で加工された木材を原料としています。
パタゴニアの製造パートナーである〈インフィニテッド・ファイバー〉は、セルロースカルバメートというMMCFの一種を、消費者から回収/リサイクルされたコットン製品のウェアを原料とするパルプで作っています。このパルプはソフトで弾力性のあるコットンのような「インフィナ」繊維に再生され、その品質や耐久性を失うことなく再びリサイクル可能です。
セルロースアセテート(別名アセチルセルロースまたは酢酸セルロース)は、肌触りと機能性においてはコットンとナイロンの中間に位置する素材です。テネシーを拠点とする私たちのパートナー〈イーストマン〉が製造する「ナイア・リニュー」というセルロース繊維の原料は、責任ある方法で管理された森林(FSC®認証済みのサプライヤーを含む)から供給された木材パルプ60%と、廃棄されたプラスチックをリサイクルして生成した酢酸40%。同社の製造過程では溶剤がリサイクルされ、ナイアのシステムに再利用されることを保証しています。この繊維はまた、ZDHC(有害化学物質排出ゼログループ)のMRSL(製造時使用制限物質リスト)に指定されている危険な化学物質を一切使用せずに作られています。
次なる展開
私たちはパタゴニア製品に使用するMMCFの供給源の100%を、バージン原料ではなくポストコンシューマー繊維または農業ゴミの流れから得るという目標に向かって尽力しています。