パリオリンピック(五輪)で日本女子トラック&フィールド種目で初の金メダルを獲得した北口榛花(26=JAL)が、世界最高峰のDLファイナルで日本人初の連覇を果たした。6投目で今季自己最高の66メートル13を記録。2位で迎えた最終投てきで逆転優勝を飾った。

今年5月の取材では、海外勢からも最終投てきを警戒されていると打ち明けていた。「世界女王」として意識を向けられる中でも、強く勝ち切った。

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パリ五輪では1投目の記録で逃げ切ったが、今大会は最終6投目でビッグスローを放った。これまでも何度も最後の投てきで強さを示しており、昨年8月の世界選手権で金メダルをつかんだ時も、同9月に日本新記録の67メートル38を投げた時も、ともに6投目の記録だった。

ライバルにも「逆転の北口」は浸透している。今年4月のDL蘇州大会。4投目まで60メートルに届かなかった北口は、5投目に61メートル44で2位へ浮上し、最終投てきで62メートル97を投げて逆転勝利を収めた。その直後だった。2位で優勝を逃したマッケンジー・リトル(オーストラリア)から「今度からあなたに気をつけるわ」と声をかけられた。「あなたがいる時は最後まで結果が分からないから」。海外勢からも、勝負強さに一目置かれるようになった。

北口自身も警戒されていると感じる。「みんな間違いなく、私のことを意識している。投げている姿も、見られているように思います」。ただ、それが重圧にはならないという。明るい表情で続ける。

「特に気にならないですよ。あんまり気にしたことないです。勝ったり負けたりするのが勝負なので『勝たなきゃいけない』とはあまり考えないようにしています」

この日のDLファイナルでも、直前にアドリアナ・ヴィラゴシュ(セルビア)に首位の座を奪われる中、6投目で強さを発揮。叫び声とともに放ったやりは65メートルラインを越え、逆転で連覇を決めた。

北口がフィールドに立つと、やはり最後まで結果は分からなかった。【藤塚大輔】