昨年7月のアジア選手権王者の柳田大輝(20=東洋大)が追い風参考記録ながら9秒97(追い風3・5メートル)をマークした。追い風2・0メートルまでが公認記録となるため、自身初の9秒台はお預けとなったが、今月27日開幕の日本選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)へ弾みをつけた。レース直後は笑みを見せつつ、「まじかー!」と悔しがった。
「やっぱり公認になってほしかった」と率直な思いを口にしつつ、「ここ最近は悪かったスタートが形になって飛び出せた。良いタイムが出せた」とうなずいた。この日は午前の予選で10秒23(追い風1・1メートル)を記録していた。
柳田は日本短距離界のホープ。6月30日までにパリオリンピック(五輪)の参加標準記録(10秒00)を突破した上で日本選手権で優勝すれば、初の五輪代表に内定する。現時点で世界ランキング30位につけているため、標準未突破の場合でも、日本選手権の成績次第では代表入りが濃厚となる。
群馬・東農大二高を経て、22年4月に東洋大に進学。同年の世界選手権で400メートル(4×100メートル)リレー代表になり、翌23年の同選手権では100メートルで準決勝に進出した。今季は4月に米国で初戦を迎え、10秒02をマークしていた。
◆柳田大輝(やなぎた・ひろき) 2003年(平15)7月25日、群馬・館林市生まれ。館林一小の中学年から県内の陸上教室で競技を始め、館林一中での主な専門種目は短距離と走り幅跳び。中3時の18年全日本中学校陸上競技選手権では100メートルで2位、走り幅跳びで優勝。19年から東農大二高に進学し、高2から4年連続で日本選手権男子100メートルに出場。22年に東洋大に進学し、同年世界選手権400メートルリレー代表。23年7月のアジア選手権100メートルで優勝し、同8月の世界選手権で準決勝進出。
◆男子100メートルのパリ五輪への道 出場枠は最大「3」。23年世界選手権6位のサニブラウンは「昨夏の世界選手権入賞者が参加標準記録(10秒00)を突破すれば内定」との日本陸連の選考基準をすでにクリアしており、残りは2枠となっている。30日までに同記録を突破した上で日本選手権(6月27~30日)で優勝すれば内定。未突破や2位以下の場合でも、同選手権の成績や6月末時点の世界ランキング次第で代表入りとなる。