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 平時は船舶の動力として使用する新型のバッテリーを、災害時に医療施設や避難所の非常用電源として転用する全国初の試みが、神戸市で動き出している。計画の舞台は、阪神・淡路大震災で「陸の孤島」となり、現在は医療施設が集積するポートアイランド(同市中央区)。港湾都市の特性を生かし、市と海運会社が連携して2026年度までの実用化を目指すという。

 1995年の震災では、橋や道路の損壊で人工島のポーアイや六甲アイランド(同市東灘区)が孤立。液状化被害があったほか、ポーアイにあった市民病院(当時)が約3時間停電した。市はその後、復興プロジェクトの一環として「医療産業都市」をポーアイに整備。災害拠点病院である市立医療センター中央市民病院など多くの医療施設が立地する。

 病院には自家発電設備があるが、電力の安定供給が人命救助に直結する。災害時の孤立で、周辺の避難所なども含め停電が起きれば被災者の生命に関わるため、人工島の防災機能の強化が課題となっていた。