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我が手の太陽 / 石田 夏穂【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

我が手の太陽

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我が手の太陽

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  • サイズ 46判/ページ数 144p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784065330760
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

第169回芥川賞候補作。
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。

“「人の上に立つ」ことにまるで関心がった。
自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
”お前が一番、火を舐めてるんだよ”
”お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。
お前自身が、誰より馬鹿にしているというのに”

腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。



内容説明

“お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりも馬鹿にしているというのに。”腕利きの溶接工が陥った突然スランプ。日に日に失われる職能と自負。異色の職人小説。第169回芥川賞候補作。

著者等紹介

石田夏穂[イシダカホ]
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2020年「その周囲、五十八センチ」で第38回大阪女性文芸賞を受賞。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文芸賞佳作、同作で第166回芥川龍之介賞候補。2022年「ケチる貴方」で第44回野間文芸新人賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

247
★第169回芥川賞候補作&受賞作、第三弾(3/5)です。 石田 夏穂、第166回の候補作「わが友スミス」に続いて、2作目です。現代に生きる溶接工の心理描写は興味深いですが、「わが友スミス」が好かっただけに、令和の作品としてはインパクトに欠けました。 続いて、芥川賞候補作「##NAME##」へ。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000380757 2023/07/26

hiace9000

183
石田諧謔を一切封印し、熟練溶接工伊東の目線で綴る仕事小説。全編に漂う専門・職人用語飛び交う現場の濃密な空気感と息苦しいまでの緊迫感。溶接アークの放つ2万度を超える太陽の熱、それを我が手で自在に操ることのできる万能感と優越感、だが想定外の相次ぐフェール(失敗)により瓦解し始める自信と自尊心、重なる焦りと迷いが生み出す息苦しさは、伊東の内面と一気にシンクロしていく。我が手の「太陽」、いわば溶接工ゆえ知り得た仕事への誇りと矜持を改めて思う。彼を哀れとは思えない。はたして自分に「太陽」と呼べるものはあるだろうか。2023/11/06

いつでも母さん

160
私の知らない世界。溶接・溶断の話。突然のスランプに陥った腕利きの溶接工・伊東。そこから抜けられるのかードンドン追い詰められる伊東の心情は、誰しもが持っている自分とのせめぎ合いでもある。自負や矜持・・なけりゃ続けられない。だが、それが知らずと足枷になっていたりする。認めたくない時、人はどうする?どうなる?異色の職人小説とある。芥川賞候補作品・・苦手なのに最後まで読まされた。そして不安になる読後感。2023/10/07

trazom

145
「職人小説」という講談社のPRにソソられた。溶接工を主人公として、職人のプライド、不安、スランプ、そして人としての不器用さが見事に写し出されている。私自身、溶接現場と関りも多く、プライドと高いモラルに支えられた職人さんの気持ちが手に取るようにわかる。スランプに陥った主人公の傲慢も:自分の仕事を馬鹿にされることへの反発、「自分では何もできないくせに」と工場長や検査員への心の中での軽蔑、年齢を重ねて自分の欠陥率が上昇する現実の居たたまれなさ。愛もお金も家族も人生も一切登場しない、ユニークで見事な職人小説だ。2023/10/09

R

133
誰にでも覚えがありそうな、自尊と傲慢の境がわからないことと、認めたくないことへの恐怖が描かれた物語だった。溶接工という仕事をモチーフにして、その仕事がなければ工事が進まないという事実と、でもその仕事を軽んじている風潮と、その仕事が少しずつできなくなっているかもしれない自分というものが、それぞれ噛み合ったりすれ違ったりしながら、主人公が暗闇に囚われていくような様を見守る物語だった。最期が救いになったのか、象徴的過ぎてわからなかったのだが、読んでいるとやたら緊張してしまう手ごわさだった。2024/06/01

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