ディコホル感受性および抵抗性ナミハダニに対する各種薬剤の効果検定を行い,有効な薬剤を選抜するとともに,交差抵抗性について考察した。またビニールハウス内でイチゴ,キュウリ,ナスに接種したディコホル抵抗性ナミハダニに対するそれらの有効性について検討した。
1) 雌成虫に対してほとんど効果のない薬剤は,抵抗性系統では44薬剤のうち,ディコホル,フェニソブロモレート,BCPE・クロルベンジレート,マラチオン等16薬剤,感受性系統では両系統に共通するCMP,マンゼブ,ベンゾメートの3薬剤であった。また効果が優れる薬剤は,抵抗性系統ではポリナクチン複合体・BPMC,水酸化トリシクロヘキシルスズ,ビナパクリル,プロチオホス等9薬剤,感受性系統ではこの他にディコホル,フェニソブロモレート,BCPE・クロルベンジレート,PPPS等15薬剤であった。
2) ディコホル抵抗性系統の雌成虫に対して効果が優れた9薬剤の殺卵効果は,ポリナクチン複合体・BPMC,ビナパクリル,水酸化トリシクロヘキシルスズ,プロチオホスが高く,メソミル,DMTP, DDVP等は低かった。
3) 殺虫ならびに殺卵効果ともに優れた前述の4薬剤は,イチゴ,キュウリ,ナスに接種したディコホル抵抗性ナミハダニに対するビニールハウス内の試験でも高い防除効果を得たが,イチゴでは水酸化トリシクロヘキシルスズ水和剤,ビナパクリル水和剤で,キュウリでは水酸化トリシクロヘキシルスズ水和剤,ポリナクチン複合体・BPMCで薬害が認められた。
4) 両系統の各種薬剤に対する感受性の有意差から交差抵抗性を考察した結果,ディコホルと交差抵抗性関係にある薬剤は,ディコホルに類似の化学構造をもつジアリールカルビノール系薬剤と有機リン系薬剤のなかに比較的多く見られた。
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