サンフランシスコのユニオンスクエアに2016年5月21日、新たなApple Store(Apple Union Square)がオープンした。数ブロック離れたエリスストリート沿いには2004年から旗艦店があり、12年で2000万人以上が訪れたが、今回元Levi’sの跡地に移転。当時100人だった従業員は現在350人以上が在籍するほどになった。
今回WWDC 2016の取材にあわせ、そのApple Union Squareを取材する機会を得た。リニューアルオープンした当店は外観、内装、コンセプト、すべてにおいて来る者の感性を刺激する施設となっている。
緑がいっぱいのユニオンスクエアを横目に信号を渡ると、正面が巨大なガラス張りとなったストア外観が目に飛び込んできた。ガラス張りの店舗といえば車のディーラーを思い出す。アジア最大となる中国杭州市のアップルストアを思い出した人もいるかもしれない。
建築デザインは、ロンドンのスイス・リ本社ビルや北京空港など、世界45カ国で300のプロジェクトを手がける建築事務所「フォスター・アンド・パートナーズ」とAppleが手がけた。なおフォスター・アンド・パートナーズは、クパチーノに建設中のApple新社屋もデザインしている。
一度正面入り口を通りすぎて建物の裏側に回り階段を上ると、左手にストア2階のフロアへの入り口があった。反対側の右手にあるのは、多数のグリーンとテーブル席が並ぶ憩いのスペース「プラザ」。誰もが自由に使えるほか、青空の下スタッフが接客することもできるという。屋外のコミュニティスペースは、量販店というより大学のカフェテリアを想起させる。
1階のガラスドアからも入ることができるが、せっかくなので今回はこのまま2階から入店してみよう。
2階入り口そばのエリアにはテーブル席が並び、奥の壁にはおなじみのアクセサリ類が陳列する。Apple Storeには通常、製品のサポートを行う「ジーニアス・バー」が設けられているが、このスペースは「ジーニアス・グローブ」と名付けられた。
「小さい森」や「木立」を意味する「Grove」の通り、テーブルの合間にいちじくの木がそびえている。プランターはストアのオリジナルデザインで、強化コンクリートとレザーシートでできており、ソファとしても利用できる。
アクセサリ棚の奥を抜けると、外から見えていた巨大なガラス壁が目に飛び込んできた。ガラスの先に広がるのは、ユニオンスクエアやMecy’sといったサンフランシスコの街並み。建物の中にいるのに、屋外の景色が目の前に広がる違和感に最初は慣れない。最近流行りのVRもびっくりの没入感だ。
最初この風景を見たとき、「ガラス越しの景色なのに透明感があってすごいなぁ」と感心していたのだが、実はこのガラス壁はスライド式になっていて、中央部分がきれいに開かれていた。重さ1枚約20トン、高さ42フィート(12.8メートル)と世界一大きいガラスドアは、天気が良い日にはゆっくりと自動でオープンし、屋内にいながらサンフランシスコの心地よい気候を体感できるようになっている。
ストアから見える圧倒的な景色に驚きつつ後ろを振り返って2度驚いた。壁いっぱいに広がる巨大なLEDディスプレイ、名づけて「ビデオウォール」が広がっていたからだ。横35フィート(10.67メートル)、解像度6Kの画面には、iPhoneなどの製品広告やワークショップのスケジュール、サンフランシスコの景色などが切り替わりながら表示されていく。しかしこのビデオウォールの特徴は大きさや美しさだけではない。
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