飲食店とは
日本国内には数多くの飲食店が軒を連ねています。飲食店とは、お店の形式や価格帯にかかわらず、「調理した飲食物を客に提供する店」のこと。ファミリーレストラン、ラーメン屋、喫茶店、食堂、居酒屋、スナックなど、飲食物を提供する施設の総称を「飲食店」と呼ぶのです。
飲食店は巷にたくさん溢れていますが、いざ自分も飲食店をもちたいと思っても、誰でも気軽に開業できるものではありません。営業には、「食品衛生責任者」と「防火管理者」などの資格が必要になります。飲食店の歴史や種類、現代の飲食店について詳しくみていきましょう。
目次
- 1. 飲食店の歴史
- 2. 飲食店の種類
- 2.1 個人経営
- 2.2 チェーン店
- 2.3 様々なジャンルの飲食店
- 3. 現代の飲食店
- 3.1 寿司やファストフードは変わらず好調
- 3.2 今後の飲食店
飲食店の歴史
諸説はありますが、日本における飲食店の始まりは江戸時代だと言われています。1657年(明暦3年)の「明暦の大火」(江戸の都市部の6割が焼失した大火事)のあと、家で食事を作れない現状から飲食店のようなものが少しずつ登場してきました。
その後、1863年(文久3年)に日本ではじめての西洋料理店、「良林亭」(りょうりんてい)が長崎にオープンします。開店当時は数人程度しか入れない小さなお店で、現在の金額で1万円以上はする価格設定だったにもかかわらず、連日大盛況となっていました。(「良林亭」の建物はグラバー園内に「旧自由亭」として移設されています。)
その後、大阪万博が開催された1970年(昭和45年)に、日本初となるファミリーレストラン「すかいらーく」の1号店が東京都府中市にオープン。同年には、ロイヤルホストの前身となる「ロイヤル」が福岡県北九州市にオープンし、本格的なハンバーグを目当てに連日長蛇の列を作る賑わいを見せました。この年は飲食店の出店ラッシュが起こったため「外食元年」と呼ばれます。
飲食店の種類
一口に飲食店と言っても、チェーン店や個人経営など、形態は様々です。
どの経営方法でも営業には「食品衛生責任者」と「防火管理者」などの資格が必要なのは同じですが、売り上げをどの程度自分の利益にできるか、店作りの自由度等に大きな差があります。
個人経営
個人事業主として開業するのが、個人経営の店舗。法人は含まれず、個人経営と法人とでは加入する保険や税金の支払いなどが異なります。
チェーン店と違って、他の店舗と雰囲気やメニューを統一する必要がないため、自分のイメージのまま自由に店作りができるのが強みです。経営はすべて自己責任ですが、上手くいくと唯一無二の魅力をもつお店を作ることができます。
チェーン店
メニューやサービス内容、店舗内装などをひとつのブランドとして統一しているのがチェーン店です。接客サービスや品質が一定のクオリティに保たれているため、メニューやサービス内容に差が出にくくなります。
チェーン店にも、「レギュラーチェーン」と「フランチャイズチェーン」、「ボランタリーチェーン」の3種類がありますが、どの形態であっても「同じ経営方針のもと、同一ブランドとして展開していく」ことに変わりはありません。
レギュラーチェーンとは直営店のことで、ひとつの企業が複数の店舗を経営。本部と各店舗は同一資本のもとで運営されるため、各店舗の売り上げが運営元である本部の収益となります。本部の資金繰りが苦しくなると、各店舗の経営も難しくなるのがデメリットです。
一方、フランチャイズチェーンは加盟店のことで、本部と加盟店が別資本であることが特徴。一般的に本部を「フランチャイザー」、加盟店を「フランチャイジー」と呼び、フランチャイザーは知名度の高い自社ブランドや商号権の使用をフランチャイジーに認める対価として使用料(ロイヤリティ)を支払ってもらいます。
加盟店は、知名度の高いブランドを借りて自身の店を構えることができるため、店舗経営の面でのメリットは大きいと言えるでしょう。しかし、契約形態によっては土地や店舗も本部から借りるケースがあり、その分の使用料を含めると高額になるのはデメリットです。
ボランタリーチェーンは、独立した小売店が組織を作りチェーン展開している形態のこと。フランチャイズチェーンとの違いは、加盟店が主体となっている点で、横の繋がりがあるのが特徴です。単独で行わなければならなかった仕入れや設備投資を共同で行えるため、コストを削減しやすいのがメリットとなっています。
様々なジャンルの飲食店
外食文化も広がりを見せ、様々なジャンルの料理を楽しめるようになりました。例えば、ひとりでも複数人でも気軽に利用できるファミリーレストランは、本格的な食事はもちろん、ちょっとした軽食や時間潰しなど、様々な用途で使われます。
また、昔は男性客が多く女性ひとりでは入りづらいイメージのあったラーメン店は、今ではデザインや構造に工夫がみられるお店も多く、おひとり様や女性客も増加。寿司店に関しても、高級寿司を提供するお店もあれば、家族連れでも気軽に行けるリーズナブルなお店まで様々です。日本の寿司は海外でも人気で、外国人観光客も多く訪れます。
さらに、焼肉店では、ひとりで気兼ねなく焼肉を楽しむ「ひとり焼肉」も増加。チェーン店も多く、比較的安価に焼肉を食べることができます。パスタやピザなどのイタリア料理も日本人に大人気。レストランでイタリア料理を楽しめる他、ピザやパスタをデリバリー・テイクアウトするスタイルも、確立されています。
さらに、居酒屋では気の知れた仲間が集まって個室でお酒を楽しむも良し、開けた空間でお客同士の親睦を深めるのにもぴったり。居酒屋はコミュニケーションの場としても広く活用されており、近年では、昔ながらの大衆酒場と昨今のお洒落居酒屋を融合させた、新しい「ネオ居酒屋」が流行しています。
現代の飲食店
時代の流れとともに飲食店の形態も少しずつ変化してきました。東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年(令和2年)の飲食業の倒産件数は842件で、年間最高件数を記録。度重なる営業時間の短縮要請、外出自粛による来客減少は多くの飲食店の経営を圧迫しました。
かつては、店内で楽しくお喋りをしながら食事をするのが当たり前の光景でしたが、コロナ禍以降、マスクの着用や黙食など、複数人での食事の制約が増加。その分お店側も座席の間隔を広くして収容人数を減らしたり、注文をタッチパネルに変えてできるだけ非対面式のシステムを導入したりして対応しました。
コロナ禍で存在感を増したのは、テイクアウトやデリバリーです。これまでのテイクアウトやデリバリーと言えば、お弁当やピザなどが主流でしたが、近年では麺類やカレーなどテイクアウトできる料理の種類も増えてきています。
寿司やファストフードは変わらず好調
コロナ禍において、変わらず好調をキープできた業種は寿司店やファストフード店。その最大の理由は、もともとテイクアウトできる食べ物として知られていたことです。
回転寿司店ではもともとネットや電話での注文を受け付けていましたし、ファストフード店では店内のみならずドライブスルーでのテイクアウトも定着していました。コロナ禍で店内飲食ができない状況となったとき、気軽にお持ち帰りができるお店として回転寿司やファストフード店がなじみ深く、利用しやすかったのです。
今後の飲食店
2022年(令和4年)ごろからは、新型コロナの感染者数が増加しても社会活動をできるだけ止めない方針が採られ、街には徐々に人が戻ってきています。
飲食店においても、一時期の様子と比べると賑わいを取り戻しつつあるため、今後の飲食業界の復活と発展に期待したいところです。