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幼い頃はバドミントンや水泳に親しんだ。野球を始めたのは小学2年の秋。地域の硬式野球チームに入った
少年時代を振り返ったインタビューで
- 少年時代を振り返ったインタビューで
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この頃はまだ、進む道は漠然としていた。明確になったのは高校に入学してからだった。「僕、高校で変わったので」
少年時代を振り返ったインタビューで父の徹さん
「打つのも投げるのも、教えたことは他の子よりも早くできた」
父は元社会人野球の選手。息子の小学校時代は硬式のクラブチームの監督として、中学時代は岩手・一関シニアのコーチとして、成長を見守った
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岩手・花巻東高の野球部では、部員が夢や目標を文字にするため、9×9=81個のマスをうめる。真ん中の一番大きな目標に書いた言葉
高校に入学した当初の目標
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菊池雄星(現ブルージェイズ)
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「すごい1年生がいるんですよ」
プロ1年目だった2010年夏、同じ高校の3学年後輩にあたる大谷をこう表現した
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高2の夏に甲子園へ。チームは初戦敗退だったが、球速は最速で150キロだった
甲子園出場を決めた時のインタビューで
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花巻東高野球部の鎌田茂ヘッドコーチ
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「指導することがまるでなかった」
野球部を見守って30年超のベテラン指導者が見ても、大谷のプレーは光っていた
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最後の夏、岩手大会の準決勝で球速160キロをマークした。しかし決勝で盛岡大付高に敗れ、甲子園には届かなかった
岩手大会決勝後のインタビューで
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高卒で異例の大リーグ挑戦を表明。その後のドラフトで1位指名した日本ハムへの入団を拒んだ
2012年10月、大リーグ挑戦を表明した記者会見で
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栗山監督
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「大谷君へ 夢は正夢」
日本球界入りへ、18歳の心を動かしたのは日本ハム、そして栗山監督の言葉だった。5年後、球団は約束通り、大谷の大リーグ挑戦を支援する
栗山監督が贈ったボールに書かれていた言葉
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落合博満さん
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「完投した翌日に打者として出場できたらすごいと思わないか?」
2013年2月、朝日新聞コラム「閑話無題」で
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日本のプロ野球でプレーすることを決めた。「色々な方に迷惑をかけた」と周囲への謝罪を口にした。その後、プレーで見返していくことになる
日本ハムへの入団を発表した会見
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日本ハムGM・山田正雄さん
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「打者としては松井秀喜、投手としては松坂大輔」
2013年7月、朝日新聞「(耕論)いまこそ二刀流」で
- 20歳を迎えて
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大リーグでもベーブ・ルースの例があるくらいの快挙だが、淡々と語った
2014年9月、プロ野球史上初のシーズン2桁勝利・2桁本塁打を達成
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日本史が好き。勝海舟ら新しい時代を切り開こうとした幕末の志士に共感していた
2015年1月、朝日新聞「フロントランナー」で
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プロ3年目を前に語った
2015年1月、朝日新聞「フロントランナー」で
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プロ4年目、勝てば優勝という試合。15奪三振、被安打1の好投で二塁すら踏ませない快勝。「投手・大谷」が日本ハムの優勝を完結させた
2016年9月、パ・リーグ優勝
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栗山監督
日本一も達成した。打者として出場したパCS最終ステージ第5戦では、九回に登板してチームは勝利。日本プロ野球最速の165キロもこの試合で記録した
2016年10月、パCS最終ステージ、日本ハムのベンチでの出来事
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花巻東高校野球部の佐々木洋監督
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「パ・リーグで優勝、日本シリーズも制した。でも、ここがゴールじゃない」
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大リーグ挑戦を正式に表明した。プロ入り後は胸に秘めてきたという思いを、公の場で話すのは初めてだった
2017年11月、大リーグ挑戦表明後の記者会見で
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栗山監督
「大谷翔平の天井は、こんなところじゃない」
大リーグ挑戦を認めた日本ハム。栗山監督は会見で、目を潤ませながら大谷との5年間を語った
2017年11月
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エンゼルスの春季キャンプに備えるため米ロサンゼルスへ。成田空港の出発ロビー前に設置された会見場には、約100人のメディア関係者が詰めかけた
2018年2月、渡米時の記者会見で
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アメリカでの練習初日、まだ日が昇りきらない午前7時過ぎに球場へ入った
2018年2月、練習後の記者会見で
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決勝で日本はアメリカを破り3大会ぶり3度目の世界一に。大谷はMVPに選ばれた。最高峰のプレーと最高の結果に日本中が熱狂した
2023年3月、WBC優勝後のコメント
大谷翔平はいくつもの「常識」を覆してきた。
初めて彼を取材したのは、2012年2月。岩手・花巻東高2年の冬だった。まだ身長が伸びていた。3月の選抜大会は、大阪桐蔭に打ち込まれて負けた。
「翔平が覚醒しました」
野球部関係者から聞いたのは、6月末だった。約1カ月後、夏の岩手大会で、日本の高校生で初めて160キロの球速を記録した。当時の体重85キロ。ユニホームはだぶついていた。
あれから何度、大谷は覚醒したのか。いや、覚醒という言葉は適当ではない。着実に着実に、力を積み上げてきた。
日本ハムでの5年間で「二刀流」への雑音はほぼ消えた。大リーグで「2WAY」という言葉を定着させた。
彼を突き動かすのは何か。みな口をそろえる。「翔平は負けず嫌い」だと。そして飽くなき向上心。大リーグ公式サイトによると、今の体重は約95キロ。
二刀流の誕生から10年がたつ。WBC、この先と、大谷がどんなプレーを見せてくれるかは、想像がつかない。
過去の「常識」が通用しないからだ。人々は道なき道をゆく「SHO-TIME」にワクワクし、魅了される。(山口史朗)
- WBC2023|1次ラウンド日本時間
- 3月9日(木)19:00日本 8-1 中国
- 3月10日(金)19:00日本 13-4 韓国
- 3月11日(土)19:00日本 10-2 チェコ
- 3月12日(日)19:00日本 7-1 豪州
- 準々決勝
- 3月16日(木)19:00日本 9-3 イタリア
- 準決勝
- 3月21日(火)8:00日本 6-5 メキシコ
- 決勝
- 3月22日(水)8:00日本 3-2 アメリカ
- 公開
- 2023/03/01
- 更新
- 2023/03/22
- 取材朝日新聞スポーツ部
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大谷加代子さん(提供)