生成AIが歴史地震研究に一役? 崩し字に残された震度判定のヒント
川原千夏子
今年のノーベル賞を席巻した生成AI(人工知能)。幅広い分野で活用が進む中、歴史地震研究にも応用しようとする研究者がいるという。意外な組み合わせにひかれ、研究室を訪ねた。
古くは日本書紀に「なゐ」と書かれた地震。その記録は、現在の公文書にあたる官庁記録から、被害の報告書、市井の人が残した日記まで多岐にわたる。
東京大地震研究所の大邑潤三助教(37)は、こうした記録から揺れの大きさを推定する震度判定に、対話型生成AIを導入できないかと研究を進めている。歴史地震研究では、震度判定に多数の指標が使われ、判定する研究者の解釈や先入観が伴ってきた。震度の判定をせず、歴史史料からの文言の引用にとどめる例も少なくない。これを自動化して定量化できれば、範囲や規模といった特徴の解釈の乏しい中小地震へも判定を広げられ、データベースの充実につながる。さらに地名から緯度と経度の位置情報を割り出し、地図に落とし込もうとしている。大邑さんは「一番面倒くさくて手間のかかる震度判定に使えれば」と、生成AIに目をつけた。
まず既存の震度判定基準をA…