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悪について誰もが知るべき10の事実 Kindle版

4.1 5つ星のうち4.1 33個の評価

「猟奇殺人から小児性愛まで、リベラル化する現代社会でもっともおぞましいものに『科学』を武器に果敢に切り込んだ」(推薦 橘玲氏)人はなぜ平然と差別、嘲笑、暴力に加担するのか?人間をモンスターに変えるものは何か?ファクトが語る脳と遺伝子のダークサイド。激しい賛否両論を巻き起こす著者の話題書!第1章 あなたの中のサディスト――悪の神経科学第2章 殺すように作られた――殺人願望の心理学第3章 フリークショー――不気味さを解剖する第4章 テクノロジーの光と影――テクノロジーは人をどう変えるか第5章 いかがわしさを探る――性的逸脱の科学第6章 捕食者を捕まえるために――小児性愛者を理解する第7章 スーツを着たヘビ――集団思考の心理学第8章 私は声を上げなかった――服従の科学

商品の説明

著者について

ジュリア・ショウ
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)心理学科の科学者。学術研究、講義、鑑定人としての仕事を通じ、さまざまなやり方で犯罪行為の理解に努めてきた。刑事事件の専門家として助言を与え、警察や軍で研修をおこない、犯罪者の更生プログラムの評価をおこなってきた。2016年に出版され、ベストセラーとなった著書The Memory Illusion: Remembering, Forgetting, and the Science of False Memory(邦訳『脳はなぜ都合よく記憶するのか――記憶科学が教える脳と人間の不思議』、講談社)は、20ヵ国語に翻訳された。これらの業績は、CNN、BBC、ニューヨーカー誌、ワイヤード誌、フォーブス誌、ガーディアン紙、デア・シュピーゲル誌で取り上げられている。

服部 由美
翻訳家。訳書にダナ・コーエン、ジーナ・ブリア『「食べる水」が体を変える――疲労・肥満・老いを遠ざける、最新の水分補給メソッド』、ジュリア・ショウ『脳はなぜ都合よく記憶するのか――記憶科学が教える脳と人間の不思議』、ジョー・マーチャント『「病は気から」を科学する』(以上、講談社)、キャロライン・メイス『思いやりのチャクラ――あなたの選ぶ行動が奇跡を起こす』(サンマーク出版)などがある。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B07XFRG2W8
  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2019/9/12)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2019/9/12
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 3114 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 本の長さ ‏ : ‎ 330ページ
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 33個の評価

著者について

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ジュリア・ショウ
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
悪に共感する練習をしよう。過去に戻れるとしたら、産まれたばかりのヒトラーを殺すか。…などの問いかけにドキッとさせられながら、寝不足になりながらも一晩で読み終えてしまいました。読み終えてなお、もう一度読めば、きっと新たな気づきがあるだろうと思います。そのくらい深い内容でした。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年6月28日に日本でレビュー済み
特に当たり障りのない本だが、一点だけ酷く気になった部分としてレイプ神話に関しての言及で予防策についての話を解決策の話とすり替える詭弁を講じていた事
これは昨今そういう事件が起きた時に良く見かける論法だが、まさかこれが元ネタじゃない事を信じたい

その場で当人がどういう意図でどう非難していたか?というのはこの文面だけで伝わらず、神話を解決策として語ったのかもしれない
しかしこの足りない文章からいくらでも曲解する事は可能で、この手の学問に携わっているなら人が如何に都合よく言説を曲解するかは想像に難くない筈だ
もしくはどのように解釈しても著書の訴える倫理から外れない事を理解していて敢えて訴えやすい詭弁を講じたなら愚策としか言いようがない。全人類が攻撃意思を持たなければ世界が平和になるのでみんな頑張りましょう!って言ってるのとさして変わらん
2019年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「小学生男児にわいせつ行為。52歳の男性教諭を逮捕。」と聞くと、容疑者は、はるかかなたの異星人のように感じてしまう。とんでもない環境で生まれた、異常な考えを持った人が、特異なことをしでかしたと。そして、それ以上の探求はせずに、思考停止に陥ってしまう。生理的な嫌悪感や、後ろめたさから、人との会話も「どういう人かな」ではなく、「こういう人に違いない」となってしまう。
本書は、その誰もが触れたがらない「悪いことをする人々」を探求した本である。そして、そこには、地球人と異星人のような差異はなかったりするのである。どこにでもいる人たちであるということに衝撃を受け、視界が開けることと思う。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年10月20日に日本でレビュー済み
この書籍は、流行りに乗りセンセーショナルなタイトルで注目を集め、利益を出そうというよな週刊誌的趣旨ではなく(帯は少し俗っぽいですが)真剣に事件を起こす人間のことを考え、再発を防犯を行いたいという著者の情熱を感じます
研究中に目を通さなければいけなかった陰惨な資料との格闘にも大変苦戦されたらしい…

「悪の権化」ヒトラーや他の極悪と断定される人ですら決して特別な人間ではないし、そもそも普通の人だと思われる人たちですら権威に溺れたり集団や監視のない密室になれば残虐に、サディスティックに振る舞うようになる
かなり頻繁にニーチェの格言がその章に対応する形で引用されていて、その中のとある一つに、「人は悪事を行えるからこそ、善を行ってほしい」というニーチェの願望や理想の言葉を借りるものがあります
まず悪を認めて、そこから対処の方法を考えよう、そうでなければ被害は再び生まれるのだから、という理念に著者が共感してのことでしょう
ことわざで言えば「敵を知り己を知れば…」でしょうか?少し仏教にも通じます

決して逆張りでもニヒルでもなく、大局の為にニュートラルに物事を見るよう努めて本にまとめた著者のジュリアショウさんには頭がさがります

アートでも最近は悪役に対して相応の背景があることが描かれることが増えてきましたが、文芸品や民衆がいかに勧善懲悪から脱するかは心理学の発達ぶりに依存するのかもしれません
少しデータ主義というか中立意識が強すぎるのか、実験レポートを安直に解釈し過ぎなのでは?と違和感を覚えた所もあるのですが、それでも大変視点の高い、有益な素晴らしい内容の本だったと思います
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年10月30日に日本でレビュー済み
本書のメッセージを一言でまとめるなら「連続殺人鬼のような『悪』というのは、自分とはかけ離れたすごく邪悪な人が引き起こすものだと思っているかもしれないが、そうではなく誰もがそのような邪悪な一面を心の中に抱えているものである」という感じになるだろうか。
サディズムや攻撃性、差別などをするのは決して特殊な人たちではなく、むしろ普通の私たちである。
本書の半分ぐらいはこのような話に費やされている(もう半分は悪に絡んだまた別の話という気がする)。

まず攻撃性・サディズムを取り上げ、血糖値の低下が攻撃性を上げやすいというよく分かる話から、ナルシズムのうち誇大性(自分の優越を信じ切っていて尊大なタイプ)は攻撃には結びつかず、脆弱性(自分の優越を完全には信じられないがゆえに弁解がましい)は攻撃に結び付きやすいなど、いろいろな話が挙げられている。
一方、かわいいものをぎゅっと潰したくなるような「キュート・アグレッション」については、攻撃性ではなく脳で感情がオーバーロードしているものだとされている。
凶悪な連続殺人鬼であっても、動機は理解しがたいものというより、孤独で寂しかった(なので殺した人の体の一部をとっておいた)などのわりと普通のもの(ただし普通は抑制系が働くので殺人などしない)ということも多いという。

サド・マゾは既存の規範からの解放効果があり、またレイプされる妄想さえ女性の多くが抱く。
ポルノも、女性でさえ4割が鑑賞し、そしてポルノはむしろ性に関する良い効果(性交の実態を知る、複雑さを学ぶ等)もあるという。児童ポルノを見る人も実際の子供に対しては共感を抱く人がほとんどであり、そのためポルノ視聴は性犯罪を引き起こすわけではない。(ポルノやSMを特異なものとして扱うのはやめるべきだと筆者は言う)
動物性愛者の心理も奇妙なものではなく、動物は嘘をついたりしないというある種の心の絆からである。結局、自分と異なる性的興奮には「おぇっ」という感覚を抱きがちだが、そういう多様性を受け入れていくべきだとしている。
もっとも憎悪されやすい小児性愛についても、そもそも小児性愛(年少の人に興奮するという性的嗜好の一つ)と子供への性犯罪は全く違い、多くの小児性愛者は犯罪はせず、むしろ自らの性的嗜好の実現も理解もなく苦しんでいるという。(子供のセックスドールは一つのありうるはけ口だが、世間ではそれも強く反対される)
一方、子供への性犯罪の犯人は必ずしも小児性愛者ではない。犯人の2割は女性で、犯人は被害者の身近な人であることが多く、そして性的嗜好の倒錯というより「子供であるがゆえの付け入りやすさ」が動機となる。

悪のイメージ付けも往々にして正しくない。
不気味さを見た目で判断することは難しく、ノーベル平和賞受賞者・カナダ勲章受章者と指名手配されている凶悪犯罪者の顔写真による信頼性判断テストでも、凶悪犯に半数以上が「信頼できる」とつけたという(ノーベル平和賞受賞者には6割程度が信頼できるとした)。
魅力的な人は信頼される一方、不衛生でやせていて変な行動をする人は不気味とみられる(写真のみの場合は目が重要)。
精神障害者は犯罪しやすいという見方は存在するが、これは「精神障害者は排除されたなどから薬物に頼りがちで、薬物が犯罪につながりやすいだけ」と指摘されている。

ネット荒らしは、その人の性格よりも、むしろその時の気分に大きく左右されるという指摘、現代の奴隷制の奴隷保有者の動機は支配欲とか虐待したいとかではなく金だという点など、興味深い話も多い。

一方、引っかかる結果、もう少し詳しく調べないと何とも言えない結果もいろいろある。
例えば、7つの並んだ椅子の2番目(服がかかっている)に統合失調症の人(あとで話してもらうことになっている)が戻ってくる状況でどこに座るかを見ると、2~3個椅子を空けて座るという結果から「統合失調症の人を避けたがる傾向の存在」を見出している(p98)が、これは単に「初対面でいきなりすぐ横に座られたくないかも」という心理の可能性もあり、統合失調症のない人という設定の場合と比較しないと何とも言えないと思う。
また、ハラスメントを放置したり、レイプ犯を非難するかと言われたら強く非難するのにレイプの訴えをする女性に冷淡な態度をとったりする行為は極めて批判的に議論されているが、これは「状況がよく分からないときにはコミットしないor騒ぎを押さえるようにする」という面もあるのではないかと思う。「この人は絶対悪ですよ」というアナウンスメントがあると皆すすんで石を投げるようになるが、本当に悪なのか分からない(職場の上司は、パワハラなのか部下のひどく無責任な行動を厳しくしかっているだけなのか、状況を調べずに判断できない場合も多いし、大体の人は調べるほど暇はないし厄介には巻き込まれたくない)状況では何もしないorトラブルだけ沈静化させようとする、というのはありそうな話である。これも悪かもしれないが、服従や欺瞞とはだいぶ意味が違う気がする。

そういうわけで気になる点はいくつかあるし、全体に雑多な印象はあるものの「悪」という問題についていろいろと考えさせてくれる本で、しかも割と読みやすく書かれており、一般向けの好著ではないかと思う。
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良い点:最近の研究についてたくさんの引用があり、結果引用文献が充実しているので一種のポータルとして利用できる
悪い点:上研究群を淡々と紹介すればよいものを、思わせぶりな書き方とあまり面白みのない自己言及によってスポイルしている

何章かにあった「不機嫌な人はネットで攻撃的な表現を使いやすい」の例を地で行くことになりますが、この本を読んで不機嫌になった身としての感想は「筆者自身に文芸的魅力がないのであれば、このスタイルで研究紹介を書くべきではない」あたりでしょうか。

序文の時点で妙にくどさがあるなと気にはしていましたが、特に第5章はひどいものでした。
筆者がバイセクシュアルであることなど、「悪」の客観的事実を知りたい読者にとって大した話でもないというのに、くどくどと迂遠な言い回し、そして強調の意図が隠しきれない改行。
この人は最新の研究内容の紹介よりも自分語りをしたいのかと疑ってしまいました。
自分語りが面白ければそれは本の魅力となりえますが、しかしこうした類の本においてそれはあくまでサブであり、メインを邪魔してはいけないものでしょう。

いくらか擁護すべき観点があるとすれば、性と性自認の問題について、そして主題の「悪」というものについては、非常にセンシティブなテーマであり、くどい書きぶりは筆者自身の不安からくる虚勢的なものなのかもしれません。私は筆者の国の事情・風土・文化を知りませんし、また私の住む国のそれについてもよく知っているとは言えないので、「そうでもしないとやっていけない」可能性については留意すべきでしょう。
とはいえ、それが書籍としてのクオリティ低下を招いているのであれば、推量はしても酌量はされないものです。

総じて、読み物としてはあまり良いものではないので、Kindle版で1,600円近く支払う価値はなかったと考えます。
しかし引用文献については章ごとにまとまっているので、興味のあるテーマについて自力で調べるための水先案内にはなるかと思います。
(それはこの種の本の最低限だろう、と思われるかもしれませんが、褒めようとしたなら、最低限ができていることを褒める必要がある、ということです)
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年9月19日に日本でレビュー済み
犯罪心理学の知見で著者が浮き彫りにしたのは、「ヒューマニティ」なのだと思う。残忍すぎてとても正視に耐えない事件(けれども無関心でいられない)。変態すぎて、もしそれが知人だったら付き合い方を変えたくなる性的嗜好(けれども密室で何をしているのか知りたくなる)、強欲すぎて、すべてをカネにしか見ない人に対する嫌悪感(けれども自分だって金持ちになりたい)。どんなに否定したくても、しきれないところに、人間の偽善が見えてくる。実験のエピソードがおもしろくて、ついつい先に読み進んでしまうが、読み手の偽善が一つ一つ剥がされていく、恐るべき読書体験を得られた。著者のセンスの良さに脱帽だ。
題材は地味めだが、ビジネス倫理の暴走を追及する第7章の「スーツを来たヘビ――集団思考の心理学」、同調圧力の残酷さを描く第8章の「私は声を上げなかった――服従の科学」は、なかなか感動的な読み物だった。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年3月23日に日本でレビュー済み
これまで研究された(犯罪心理に係る)心理学実験の論文について延々と記されているため中盤まではいささか読みにくさを感じましたが、1/3くらいから犯罪に至る「邪悪」さについての著者の論旨がぼんやりと見えてきて俄然興味が湧き、残りは一気に読めました。
著者は犯罪は邪悪な一部の人間が犯すものという前提について疑問を呈しており、本書を読むことにより犯罪とは人間が普遍的に持つ本質が時代背景、社会的背景の影響を強く受けて一部の人間の行動として表出したものではないかと認識するに至りました。
読む前はタイトルに若干の歯切れの悪さを感じていましたが、読後は実にピッタリなタイトルだと感じています。
内容は興味深いのですがとにかく前半が読みにくいということで★を減らしています。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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