【5月4日 AFP】五輪出場経験もある米自治領プエルトリコ出身のボクサー、フェリックス・ベルデホ(Felix Verdejo)容疑者(27)が3日、自身の子どもを妊娠していた女性を殺害するなどした罪で訴追された。

 ベルデホ容疑者は首都サンフアンの連邦裁判所で開かれた審問にオンラインで出廷し、当時妊娠中のケイシュラ・ロドリゲス(Keishla Rodriguez)さんを誘拐および殺害するなどした3件の罪で訴追された。現地紙エル・ヌエボ・ディア(El Nuevo Dia)は、同容疑者は罪状認否を前に保釈を認められず、拘束を命じられたと伝えた。

 AFPが入手した連邦捜査局(FBI)の訴状によると、妻帯者でありながらロドリゲスさんとも関係を持っていたベルデホ容疑者は、先月29日に妊娠を知らされた後にロドリゲスさんを誘拐した。

 FBI捜査官の供述書では、「目撃者」とされている別の人物にロドリゲスさんの中絶を手伝うように求め、「被害者の顔を殴り、薬物を注射した」とされている。その後、この目撃者と2人でロドリゲスさんの手足をワイヤでブロックに縛り付けた後、サンフアンのラグーンに車で運んで「橋から投げ落とし」、すでに水中に沈んでいたロドリゲスさんを銃で撃ったと記されている。

 ロドリゲスさんは先月29日に行方不明になった後、1日にサンフアンのラグーンで遺体となって発見された。ロドリゲスさんの家族は、当初から失踪の責任はベルデホ容疑者にあると主張し、その後死亡したことについても容疑者の責任を訴えていた。

 ベルデホ容疑者はプエルトリコ代表として2012年のロンドン五輪に出場し、同年にはライト級でプロデビュー。これまで通算27勝(17KO)を記録しているが、2016年のバイク事故の後は選手生活に影響が出ていた。裁判で有罪が確定すれば、最高で死刑の可能性がある。

 女性に対する暴力の問題をめぐり、1月にペドロ・ピエルルイシ(Pedro Pierluisi)知事が非常事態宣言を出していたプエルトリコでは、この事件を受けて怒りの声が高まり、抗議運動が起こっている。(c)AFP