【12月19日 AFP】オーストラリアのマルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)首相が、英国王を元首とする立憲君主制から共和制への移行を改めて訴えている。同氏は共和制移行の是非をめぐり1999年に実施された国民投票を主導したが、そのときは反対が多数を占めた。今回はエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の退位後の移行を目指す考えだ。

「オーストラリア共和制推進運動(ARM)の大義はオーストラリアのための大義だ」。筋金入りの共和主義者であるターンブル氏は17日夜、共和制への移行を求める超党派ロビー団体ARMの会合で行った基調演説で、こうぶち上げた。

 演説では、英君主制からの離脱に向けたロードマップを提示し、その中で共和制への移行を呼び掛けた。「異なる意見を持つ人の愛国心をないがしろにしたり、けなしたりするわけではない。国を愛しているという以外に理由や動機はない」とも力説した。

 オーストラリアでは英君主の権力はおおむね象徴的なものと見られている。エリザベス女王の人気は非常に高いものの、君主制に関しては時代錯誤な植民地時代の遺物と考える人もいる。

 ターンブル氏の共和制支持をめぐっては、同氏が率いる保守系与党・自由党(Liberal Party)内からも今週、政府に悪影響を及ぼすなどと批判する声が上がっていた。これに対してターンブル氏は、女王の在位中に再び国民投票を行う意欲は国民の間にないとかわした。

 一方、野党・労働党のビル・ショーテン(Bill Shorten)党首はツイッター(Twitter)で、ターンブル氏は共和制への移行でも踏み込んだ行動ができていないと批判しながらも「オーストラリア人の国家元首誕生に向けて協力していく」と述べた。

 オーストラリア国民の間で共和制への支持はここ数年揺れ動いている。フェアファックス(Fairfax)とニールセン(Nielsen)が2014年に実施した共同世論調査では、回答した1400人のうち51%が現状維持を希望、共和制への移行を支持したのは42%だった。(c)AFP