「僕たちはこれからも汽笛を鳴らし、奇跡を起こす」超特急、彩り豊かな39曲で描いた10年の軌跡

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超特急が昨日12月26日に大阪・大阪城ホールでワンマンライブ「BULLET TRAIN 10th Anniversary Super Special Live『DANCE DANCE DANCE』」を開催した。

超特急

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この公演は、11月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで行われたワンマンライブの追加公演として行われたもの。ライブ前日の12月25日に10回目の結成記念日を迎えた超特急にとって、11年目の1歩目を飾るライブにして、2021年最後のワンマン公演となった。

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ステージ上部に設置された5つのミラーボールがメンバーカラーの5色に輝き、超特急の10周年を祝うアニバーサリーライブは幕を開けた。大きなビジョンに結成当時のソロアーティスト写真が映し出されたのち、その写真を再現した2021年現在のメンバーの姿が浮かび上がるという遊び心あふれる仕掛けが8号車(超特急ファンの呼称)の目を楽しませたところで鳴り響いたのは、11月にリリースされた最新アルバム「Dance Dance Dance」に収録されているディスコポップ「Dance Dance Dancing!」の軽快なイントロ。ミラーボールを模した半球状の舞台セットから姿を見せた5人は映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のジョン・トラボルタさながらに人差し指で天を指しながら、会場いっぱいにきらめくペンライトの光をまっすぐに見つめた。

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ミラーボールの中から8号車のもとへと飛び出した5人は軽やかなステップでリズムに乗り、仲間が集い一緒に踊ることの喜びを歌う「Dance Dance Dancing!」のメッセージを全身で伝えた。すると、曲の中盤からはたくさんのキッズダンサーも舞台に上がり、超特急のパフォーマンスをにぎやかに彩る。2曲目の「Magnifique」ではカイの「『DANCE DANCE DANCE』始まりました。楽しんでいきましょう!」という声を合図に二手に分かれてステージの左右端まで歩みを進めた5人。タカシの晴れやかな歌声とともに“ありのままの君の美しさ”を讃えるこの歌を8号車に贈る5人の表情は優しく、2曲目にしてステージ上と客席の距離はぐんぐんと縮まっていく。

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タカシが朗々と響かせる美しいフェイクに乗せて花道を進みセンターステージに立った5人は、さらなる一体感を求めるべく、ここで「超えてアバンチュール」「OVER DRIVE」と、鉄板で盛り上がるキラーチューンをドロップした。曲中に盛り込まれたヘッドバンギングや拳を突き上げるダンスはコロナ禍にあって声援を送れない8号車も全力でパフォーマンスに参加できるもの。「8号車もメンバーの一員」と常に発言し、ファンと心を通わせてきた5人はこの日も熱い煽りを見せ、ユーキは「みんな、歌えないから心でひとつになろうぜ!」と客席に向けて呼びかける。「超えてアバンチュール」の間奏パートでは、センターのリョウガがこの曲のサウンドに合わせて“エア三味線”を弾き、その三味線を思い切りクラッシュするという“新ネタ”で、笑いに対する飽くなき向上心を覗かせる場面も。定番曲にも新鮮なシーンを盛り込みながら全身全霊でライブ空間を引っ張っていく5人に向き合う8号車は、息の合った手振りでペンライトを輝かせ、メンバーの期待にしっかりと応えてみせた。

「같이 가자」を終えて1人ずつ自己紹介を済ませると、リョウガは「昨日、超特急は10周年を迎えることができました!」とひと言。この日の公演が11年目の最初のライブかつ年内最後のライブであることを説明し「皆さんと伝説を作っていけたらなと思います」と8号車に力強く語りかけた。そして、さいたまスーパーアリーナ公演では「Table Manners」が置かれていた6曲目には、最新アルバムからこの日が初披露となる「Yodelic Fire」が届けられる。ドラムンベース調のパワフルなEDMとヨーデルをかけ合わせたサウンド、ゆったりとしたメロディラインの奥で高速のBPMが刻まれる楽曲構成と、独特なミクスチャー感が強烈なインパクトを残すこの曲をどのように表現するのか注目が集まる中、5人は緩急のメリハリの効いたダンスで楽曲を踊りこなしてみせた。息の合った動きで気持ちよくリズムに振りを当てていくスキルフルな一面を見せつつ、「太陽にキスをして」と歌うパートでは甘い表情で投げキスを客席に送るメンバーの姿に、歓声は上がらずとも場内はにわかに色めき立った。

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ユーキの「カッコよく締まった曲をやりたい」というリクエストで最新アルバムに収録された「You Don't Care」は、一方通行の叶わぬ恋を歌うR&B;ナンバー。タカシが繊細な歌声で主人公の深い悲しみを代弁すると、ダンサーの4人は切なさをはらんだ情感豊かなダンスで楽曲のストーリーを立体的に描き出した。悲しみを引きずるように続く「霖雨」の静かなアルペジオが響き、5人はソロやペアダンスをフィーチャーしたパフォーマンスで、いっそう深まる喪失感を表現。ときに顔をゆがめながら自身の思いを動きに乗せるダンサーの熱演に触発されるように、タカシの歌声にも力が入る。仄暗いステージの上、柔らかなスポットライトに照らされた超特急が見せる圧倒的な感情表現を、8号車も息をのむように見つめていた。ラストシーンで1人ステージに残ったタカシがそっと曲を締めくくって深い余韻を残したのも束の間、会場に鳴り響いたのは不穏なドンクベースのリズム。ここで届けられたのは、ダンサーメンバー4人が歌う「Добрый день」。ロシアンハードベースの無機質なサウンドと、シュールかつキャッチーな世界観で構成されたダンスは、それまで場内に漂っていたエモーショナルなムードを一掃する。終盤にはタカシもステージに戻り、真顔でサビ部分の“宮殿ダンス”を踊ってメインダンサーに負けない存在感を光らせていた。

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舞台上にスモークが噴出し、レーザービームが飛び交う中でドロップされたのは「Time Wave」。曲の終盤でシームレスに「Time of GOLD」に移行すると、ダンストラックとしてリアレンジされたこの曲で、メンバーはダンスソロをつないでパワフルに躍動した。“時”をテーマにした2曲を意味深に連投した5人が一度ステージを去ると、舞台上のビジョンには真っ白な空間を猛スピードで落ちていくメンバーの姿が映し出される。そののち画面には「10th Anniversary Super Special Medley」の文字が踊り、ここから5人は全シングルの表題曲21曲をリリース順につなぐメドレーをスタートさせた。

「POLICEMEN」のカイ。

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2012年6月に“時を戻した”5人が着ている特攻服風の衣装には超特急のシングル曲のタイトルが刻まれており、ユーキは「俺たちの10年間の思い、すべてここでぶつけてやるよ」と言って5人の真ん中に躍り出た。彼がセンターを務めた1stシングル「TRAIN」で幕を開けると、続く「Shake body」でセンターのポジションを代わったタクヤは「正月太りすんなよ!」と8号車に注意喚起しながら、なめらかなボディウェーブとヒップラインをなぞる決めポーズでファンを魅了した。ここから1曲ごとに目まぐるしくセンターメンバーが代わっていく中、彼らはオリジナルバージョンにはない最新形の演出も各曲に取り入れるこだわりを見せる。「Shake body」でタクヤがラップの一部を担ったかと思えば、「POLICEMEN」ではカイがパトランプ付きの白バイヘルメットをかぶってステージ上を“巡回”。バンパイアをテーマにした「Bloody Night」では、マントを翻しながら妖艶に舞ったリョウガが右手を口元で引くと、血糊が頬を伝うという仕掛けがオーディエンスを驚かせた。

「Bloody Night」のリョウガ。

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扇子を手に舞う超特急初の“和モノ”曲「ikki!!!!!i!!」、のちにグループの武器となる変顔パフォーマンスの先駆けとも言える、白目での“感電ポーズ”がインパクト抜群の「Believe×Believe」と、曲が進むにつれてグループの歴史年表が伸びてゆく中には、めったに披露されることのなかったレア曲も。2015年リリースの「スターダスト LOVE TRAIN」がパフォーマンスされたのは、2016年のライブツアー以来約5年ぶりのこと。無数のミラーボールの光の粒に照らされながら、5人は心地よさそうに流麗なサウンドに身を委ねた。「バッタマン」で絶叫を響かせてエネルギッシュに大暴れしていたユーキが続く「Beautiful Chaser」では一瞬にして瞳に鋭さを宿し、静かな狂気をはらんだ楽曲の主人公を怪演するなど、リリース順だからこその鮮やかなコントラストがオーディエンスに新鮮な印象を与えるシーンもあり、客席の集中力と熱気も曲を重ねるごとに高まっていった。

「Beautiful Chaser」のユーキ。

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タカシに呼ばれ、花道を全力ダッシュしてステージに戻るカイとリョウガ。

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タクヤが両手いっぱいに抱えた紙吹雪を思い切り空に放った「Yell」、「ご乗車ください!」と叫ぶキメのタイミングでユーキがGO!皆川の決めポーズをぶっこんだ「超ネバギバDANCE」を経て、「My Buddy」ではオープニングパートに参加したキッズたちがステージに再登場。メンバーはそれぞれキッズと2人組になり、キャッチーな“いきものダンス”を一緒に踊る。ステージに膝をついて子供たちと同じ目線の高さで踊るカイの横では、リョウガが思い切り誇張したダンスで両脇の2人を笑わせようとするなど、キッズとの交流の中でメンバーの彩り豊かな個性が浮き彫りとなっていた。そんな「My Buddy」のあとに続く「a kind of love」は、超特急に1つの転機が訪れたタイミングでリリースされた、メンバーにとっても、ファンにとっても思い出深いナンバー。1人でステージの真ん中に立ったタカシは静かに息を整えると、曲の冒頭をアカペラで高らかに歌い上げてみせる。「10年間で一番成長した」と、年長のダンサーメンバーが声をそろえるタカシのしなやかで曇りのない歌声のもとに5人が集まると、彼らは身を寄せ合うように腰掛けてお互いのおふざけに大笑い。そんな舞台上の光景は「君のいるココが居場所なんだよ」と温かな愛を歌う楽曲の世界観にクロスオーバーし、8号車も温かい眼差しで5人のやりとりを見つめていた。

「Hey Hey Hey」のタクヤ。

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メドレーのラストを飾ったのは、コロナ禍の2020年12月にリリースされた「Asayake」。“夜明けの光”に希望を託すこの曲を5人は柔らかな表情で歌い届けて全21曲の怒涛のメドレーを締めくくった。そのあとに設けられたMCタイムでは、カイがキッズダンサーを「うちの事務所の若きホープたちです」と紹介し、8号車に向けて「このステージに立ったことが、彼らの糧や、何かのきっかけになったらいいなと思うので、ぜひ応援してください」と呼びかけていた。

「ikki!!!!!i!!」のタカシ。

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ここでユーキは「皆様に観ていただきたいVTRがあります」と、1つの映像に8号車の視線を誘導した。それは「超特急 超突撃インタビュー」と題し、ユーキがメンバーにインタビューをするというもの。映像の中で、ユーキに「あなたにとって超特急とは?」と聞かれたリョウガは「人生そのもの」と答え、カイは初センターを務めたときの気持ちについて「この曲でグループを引っ張っていけたらいいなと思いましたね」と振り返る。タカシはこの10年で「気の持ちようが変わった」と実感を語り、タクヤは自身について「昔に比べたら丸くなったかな。四角のカドが削れてきて」と分析。そして、最後にカメラの前に立ったユーキは、インタビュアーを代わったタクヤに「あなたにとって超特急とは?」と聞かれ「夢を叶えないと終われないグループ。希望ですね」とまっすぐに語った。

「どんなときでも、僕らには一瞬一瞬が宝物です」とVTRの中のユーキが思いを伝えると、センターステージに姿を見せた5人は「Keyword」を8号車へ送った。「いつだって僕たちはこの場所で夢を見る」と歌うタカシの柔らかなボーカルとともに、5人は穏やかな表情で客席を見つめる。自然体で飾らぬ佇まいに温かな包容力を感じさせる姿は、10年の中でさまざまな経験を重ねてきた超特急の“現在地”そのもの。続く「Burn!」でライブはクライマックスへ突入し、ステージのあちこちに散らばったメンバーは両手をクロスさせるダンスで会場全体を自分たちのパフォーマンスに巻き込んでいった。

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カオスな世界観が炸裂する「SAY NO」で8号車と一緒に頭と体を無心で振りまくったのち、本編のラストナンバーとして投下されたのは「Party Maker」。「今日が今年のライブ納めなんですよ。悔いなく楽しめますか!?」と8号車を熱く煽ったタカシは「OK、俺たちがParty Makerだ!」と絶叫し、ステージの最前線へと飛び出した。舞台上のあちこちから火花が噴出するド派手な演出の中、5人は無心で曲に没入し、文字通りの“お祭り騒ぎ”を繰り広げる。ここまでに35曲ものパフォーマンスを披露しながらも、タカシが腹筋をしながら歌声を響かせたり、タクヤやユーキが椅子に座ったメンバーを飛び越えるダイナミックな馬跳びを成功させたり、リョウガが10回を超える連続シフトを決めたりと、底なしのスタミナとショーマンシップを見せつける5人。8号車の盛り上がりも最高潮に達した大サビでは、花道に飛び出したユーキが3連続でバック転を決め、タカシは圧倒的な熱量のロングトーンでユーキの大技を彩った。大きな熱狂の中で本編を終え、タクヤは「いやあ、最高だった! いいライブ納めができました。最後まで熱気をありがとう」と充実感いっぱいに8号車に伝える。そして彼は「2022年も超特急をよろしくお願いします。I love you、ありがとう!」と言ってステージの奥に姿を消した。

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8号車の熱い拍手に応えてステージに戻った5人は、「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」でライブを再開させた。続く「Te quiero mucho」はスカの裏打ちが軽快な、にぎやかで楽しい楽曲。5人はステージの左端から右端までくまなく歩いて客席の1人ひとりに手を振り、間奏パートではキャッチーなモンキーダンスをオーディエンスにレクチャーしてダンスタイムをファンと一緒に楽しんでいた。

「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」のパフォーマンスの様子。

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ラスト1曲を残したところで、リョウガは背筋を伸ばし、改めて「僕たち超特急は10周年を迎えることができました」と切り出した。「10年間いろいろなことがありました。楽しいこともつらいことも、8号車と一緒に、共に味わってきたから、今こうしてステージに立って、皆さんの笑顔を見ることができています」と思いを伝えた彼は「僕たち超特急はこれからも汽笛を鳴らして、奇跡をたくさん起こしていきます。いつまでも付いてきてください」とまっすぐに訴える。「皆さんご一緒に!」というリーダーのかけ声で会場中が「僕たちは超特急です!」と“超特急ポーズ”を決めたのちに始まったのは「走れ!!!!超特急」。カイを先頭に“電車ごっこ”の並びで連結して花道を進む5人は、声援の代わりにペンライトをめいっぱい振って思いを伝えるたくさんの8号車と笑顔を交わし、ユーキは「応援してくれてありがとう! 来年はもっと輝かしい1年になるように。“寅”のごとくかなり獰猛にいっちゃうかもしれないけど(笑)、恐れずに付いてきてくださいね!」と呼びかけた。

超特急の大阪城ホール公演の様子。

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内容も運動量も盛りだくさんのライブを完遂しながらも「終わっちゃったよ、早いなあ!」と名残惜しさを全開にして、最後の立ち位置に進むユーキ。彼が何気なく「走れ!!!!超特急」を口ずさむと残るメンバーも自然と歌声を重ね、超特急の10周年記念ライブはメンバー5人による「走れ!!!!超特急」即興アカペラバージョンで締めくくられた。思いがけないラストシーンに笑みがこぼれるリョウガは「これからもユーキの歌唱力の進化にご期待ください(笑)」とライブを締めて笑いを誘いつつ「2022年、もっと輝かしい未来に走っていけるように、これからも一緒に走っていきましょう!」と、晴れやかな表情で未来を見据えていた。

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超特急「BULLET TRAIN 10th Anniversary Super Special Live『DANCE DANCE DANCE』」2021年12月26日 大阪城ホール セットリスト

01. Dance Dance Dancing!
02. Magnifique
03. 超えてアバンチュール
04. OVER DRIVE
05. 같이 가자
06. Yodelic Fire
07. You Don't Care
08. 霖雨
09. Добрый день
10. Time Wave
11. Time of GOLD
12. TRAIN
13. Shake body
14. POLICEMEN
15. Bloody Night
16. Starlight
17. Kiss Me Baby
18. ikki!!!!!i!!
19. Believe×Believe
20. Star Gear
21. スターダスト LOVE TRAIN
22. バッタマン
23. Beautiful Chaser
24. Yell
25. 超ネバギバDANCE
26. My Buddy
27. a kind of love
28. Jesus
29. Hey Hey Hey
30. Revival Love
31. Stand up
32. Asayake
33. Keyword
34. Burn!
35. SAY NO
36. Party Maker
<アンコール>
37. 激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど
38. Te quiero mucho
39. 走れ!!!!超特急

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