世界最大のゲームプラットフォーム「Steam」の中国語版がリリースされることが、正式に発表され中国ユーザーの間では期待と共に不安が広がっている。
現在、「Steam」は英語をベースにしてプラットフォームが構築されている。しかし、すでにユーザーの6割あまりは中国語圏。それを受けて、昨年には中国語版をリリースされることもアナウンスされていた。
「Steam」において重視されているのは、掲示板などを利用したユーザー同士の交流。これをより活発化させてユーザー数を増加させるために中国語版の開発が急務とされていた。
8月21日に実施されたイベントでは中国版「Steam」は名称を「蒸汽平台」とすることが発表され、60あまりのゲームタイトルが紹介された。リリースが開始されれば、市場の拡大が期待される一方で懸念もある。
ネットの検閲が厳しい中国だが、現在のところ「Steam」には問題なくアクセスができため、多くのユーザーは英語版でゲームを楽しんでいる。しかし、中国語版がリリースされれば現在の英語版にはアクセスをできなくなるのではないかという懸念があるのだ。
また、これまで幾度も報道されている通り、中国ではゲームへの規制が強化され、さらにコロコロと規制内容が変わるという実情がある。そのため現在は中国国内でも問題なく楽しめているゲームも禁止されるのではないかという懸念がある。
これは日本のゲーム制作者にも影響を及ぼす問題だ。すでに日本でも国内需要に見切りをつけて英語版・中国語版のリリースを強化している制作者は多いからだ。
この懸念が杞憂で終わればよいのだが……。
(文=昼間 たかし)