【読む劇薬】と呼ばれた小説家・野崎まどさんのサスペンス小説「バビロン」シリーズのTVアニメ第2話がオンエアされた。
第2話「標的」
突然の仲間の死に納得のいかない正崎は、域長選挙を控えた政治家の報復とみて捜査を進める。九字院と半田の協力もあり、正崎は新しく捜査線上に浮上した女性を参考人として事情聴取することに成功する。
衝撃の死を迎えた文緒。誰もが文緒の死がただの自殺だとは信じられないでいたが、現場の状況は自殺を示している。検事になりたいと強い意志を持っていた彼が自殺なんてするはずはない。義憤にかられた正崎は文緒が追っていた件の調査を継続する。だが、謎が深まる一方だ。
事件が展開していく中で、新たに表れた女C。彼女が新域域長選挙の中で起こっている事件に何かしらの関係があると踏んだ正崎。女Cが参加した温泉での会合に彼らも出向き、同行を見守り、そして任意同行に踏み切った。
しかし、この女Cこと、平松絵見子はなかなかに食えないヤツだ。余裕の表情で取り調べを受け流し、のらりくらりとした回答しかしない。相手がイライラとすることを心得ているかのような受け答えに、正崎の余裕がどんどんなくなっていく。
この取り調べのシーン、絵見子の表情や目線のやり方などが印象的でどこまでも意味がありそうで不気味でひこまれてしまった。確実にこいつには何かがある。だけれど核心的な証言は得られないというもどかしさを正崎ともに感じてしまう。
この2話は、時系列もバラバラに表示されるので、ここはいつのシーンなのかと戸惑う部分も多かった。その中でも、選挙戦の報道や押収したPCの不可解なロックなど、色々と気になる情報がちりばめられた。
3日の間に口を割らせることを迫られた正崎だが、を前に苦戦。疲弊しきったころに絵見子は突然、調書にサインをしてやろうかと言い出した。その引き換えに正崎に質問をさせろという。
苦渋の決断で、それを受け入れる正崎。質問の内容は、家族構成から始まり、趣味、価値観、差し障りのないところからいつしか彼の精神に触れる質問を浴びせかけてくる。性的な取引の渦中にいたのではないかという質問から過激な発言も飛び出すが……。
このシーンもやたらと手の動きや目線、描写だけでもかなりいやらしさが誇張されておりかなりハラハラとさせられた。まさかの描写だけでこんないやらしいとは。いったいこの質問にどんな意味があったのか。かくして正崎は調書をまとめたが、取調室に戻ると彼女の姿は消えていた。
調書を取っていたもうひとりの警官は正気を失ったような状態で発見され、彼女は帰ったとぼんやりと答えるのだった。
すぐにあとを追ったけれど結局見つけ出すことはできず、彼は窮地に立たされる。会議にて多少手に入れた情報を公開することを試みるはずが、その場に最重要人物の野丸が現れた。これは上司の守永にはめられたということなのか、彼自身も知らなかったことなのか……。
エンディングで平松絵見子のCVが???になっていたことから、誰か別のキャラクターと同一人物である可能性も示唆された。そのキャラクターはもう出てきたキャラクターなのだろうか? 謎が謎を呼ぶが、構成の妙にグイグイ引き込まれてしまう。
次週の展開も楽しみにしたい。
(文=三澤凛)