青森県北西部を占める半島。北は津軽海峡に臨み,東は平舘(たいらだて)海峡を隔てて相対する下北半島とともに陸奥(むつ)湾を抱く。半島の北東部は標高400~700mで半島の脊梁をなす津軽山地,南西部は十三(じゆうさん)湖に注ぐ岩木川の沖積地津軽平野からなる。平野西部は幅約4km,長さ約30kmに及ぶ屛風山(びようぶやま)砂丘からなり,その海岸部は七里長浜と呼ばれる。半島北端の竜飛(たつぴ)崎から袰月(ほろづき)海岸にかけては海岸段丘が発達している。半島の地質は主として第三紀層からなるが,半島西部中央にあって日本海に突出した小泊岬には古生層がみられる。津軽山地東側の海岸平野には青森市からJR津軽線が北上し,蟹田からは平舘山地南西を通り津軽海峡に臨む三厩(みんまや)に達している。津軽線に沿って北上し,蟹田からは海岸線を通って三厩に達する国道280号線は,近世は松前街道と呼ばれ,北海道に渡る重要な交通路の一部をなしていた。山地西側には,平野中央部の五所川原市から中里まで,津軽鉄道が通じている。津軽山地を越える道路は開発が遅れたため,東側(東津軽郡)と西側(北津軽郡)に地域が分けられてきたが,津軽山地を越える道路の整備や,竜飛崎~小泊を結ぶ海岸道路(国道339号線)建設により,両地域間の交通事情は好転した。
半島東部は〈やませ〉と呼ばれる夏の冷たい偏東風の影響で米作はふるわないが,津軽山地の山陰にあたる津軽平野は近世に新田開発がすすめられ,県内随一の米の産地となっている。津軽山地は〈津軽ヒバ〉の美林で知られる。漁業は,三厩,小泊などの漁港があるものの沿岸漁業は不振で,下北半島とともに県内でも出稼ぎの多い過疎地帯となっている。1964年から建設がすすめられ88年開業した青函トンネルの本土側入口が竜飛崎にあり,蟹田駅でJR海峡線が分岐する。
執筆者:横山 弘
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青森県西部から北方に突出する半島。西部は日本海に臨み、東部は下北(しもきた)半島とともに陸奥(むつ)湾を抱く。北部は津軽海峡を隔てて北海道と対する。半島の北部から南東部にかけては半島の脊梁(せきりょう)をなす津軽山地が走る。陸奥湾側には狭長な海岸平野の上磯平野(かみいそへいや)があり、津軽山地の南西麓(ろく)には津軽平野が広がる。半島の産業は農林業が中心で、津軽平野は水田が多く県の産米の半分を占める。またリンゴ栽培も盛んである。山地には日本三大美林の一つに数えられるヒバ林がある。交通はJR津軽線、津軽鉄道、国道280号・339号が通じる。北端の龍飛崎(たっぴざき)と北海道の間には海底トンネルが貫通、津軽線の中小国(なかおぐに)駅から分岐して北海道の木古内(きこない)駅までJR海峡線(津軽海峡線)が通じる。
[横山 弘]
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