あれっ、海辺の国道の脇の広場に、男がひとり何かやっている。
もっとズームしてみよう。
ふ~む、ギターを抱えているな。
前に譜面台、横にアンプらしきものがある。
つまり、エレキギター(古いな)で、
マイソングを唄っているのだな。
30~40年前、大きな駅前の広場には、
必ずと言っていいほど、ギターを持った若者が座り、
歌を唄っていた。
電気を引っ張ってこれなかったので、アコースティックギター
での、生演奏となる。
賽銭入れは、ギターケースだった。
ところが、最近の駅前では、街の音量に逆らって、
電源(バッテリー)を仕込むミュージシャンが増えた。
ギターにも、マイクにも、ささやかな
音量増加が図られている。
「そっちがそうなら・・」
っと、隣の、南米音楽の路上パフォーマンスチームにも、
アンプが持ち込まれている。
音量で負けたのでは、賽銭に影響するというワケだ。
っと、広場の端っこから聞こえてくるのは、
凄まじいドラムの響きだ。
ダカスカダカスカ!
こちらは、さすがに増幅装置はいらないらしい。
しかし、路上にドラム一式運んでくるのは、ごくろうである。
そして、各パフォーマンスに共通するのは、賽銭方式である。
従来の
ギターケース方式を止め、
CD買って下さい方式に移行している。
少々の日銭の実入りよりも、
自分の才能のアピールを優先させているのだ。
今日より、
明日を夢みているのだ。
彼らにとって、人が
足を止めて呉れるかどうかがすべてだ。
音量増加を図ったのも、うなずける。
ところが、そこで、問題が持ち上がった。
練習場所がなくなったのである。
アンプを使わなければ、住宅地の空き地でも練習できたのに、
音量増加によって、練習場所が限られてしまう。
どこかいい所はないか・・と探していて・・
先述の彼は、いい所を見つけたのだ。
海辺の漁師の網置き場である。
そして、観客は・・おお!
いるではないか! 二枚目の写真の上部を見ておくれ。
砂浜で、大勢が、聞き入っているではないか!
カモメ君たちが・・・
明日を夢みる・・とは、
楽しくも孤独な瞬間に満ち々々ている。