桜島
バスルームのバスタブ。
ホテルのバスタブは、
お湯が並々に入らないシステムになっている。
並々の線の下、15cm位の所に、
お湯の
吐き出し口を設けてある。
どんなに頑張っても、それ以上お湯は増えない。
問題は、バスタブの床面から、その吐き出し口までの距離だ。
今まで、様々なホテルのバスタブに浸かってきたが、
その距離は、ほぼ一定している。
どの位の距離(
深さ)かというと、
私が、肩まで湯に浸かると、足は自動的に曲げられる。
すると、両膝がポッカリ、湯面に浮かぶ。
その深さだ。
お湯に浸かる目的は、身体を温める為だ。
正しく、表現すると、間接を暖める為だ。
特に、
ヒザは暖めたい。
ヒザだけ暖めても、満足なくらいだ。
ヒザだけを湯舟に浸ける人もいるらしい。(どうやって?)
その肝腎のヒザが、湖の小島のようにポッカリ浮かんでいる。
本末転倒とは、この状態を指していいかもしれない。
こりゃ駄目だと、ヒザを伸ばし、湖に沈める。
するとどうなる?
上半身が直立してゆき、その殆どが空中に出てしまった。
「けんじろう、肩まで浸かって、10数えなさい!」
父親に、小学生のけんじろう君は、風呂の度に言われた。
風呂は肩まで浸かる・・という教育を徹底された。
肩まで浸かりたい。
ヒザだけは、浸けていたい。
この両立を成し遂げるのが、非常に困難なのだ。
試しに、身体を斜めに捻ってみる。
女性の横座りに似ている。
左に身体を捻った。
一応成功した。右肩が少しだけ出ている。
頑張って無理やり、浸ける。
うまくいった。
いったのは良かったのだが、全くクツロゲナイ。
ちょっとでも油断をすると、ヒザの小島が現れる。
お湯にゆったり浸かりながら、コチコチに凝ってしまいそうだ。
ホテルの湯舟で、寛ぐなどという贅沢は許されていないらしい。