ちょいと前のことだ。
三浦半島でウインドサーフィンをやっていた時
『イノちゃんが
行方不明らしい・・』
という未確認情報が入った。
「イノちゃん」 というのは、その前の週のレースで
優勝したつわものだ。
(ちなみに、そのレースで、イシマルは2位、えへん!)
さあ、みんなで、双眼鏡をいじくり、見渡す限りの
海面を捜した。
しかしながら、30倍の双眼鏡をもってしても、
漂流している人など、見つからない。
30分後には、
「こんだけ捜して見つからないんだから、きっと
どこか、浜にたどり着いているんだろう・・」
という
楽観意見に落ち着き、みんな解散してしまった。
冬の時期の東京湾
水温が極端に低く、もし、海に浸かっていたら、
30分から1時間で意識がなくなるであろう。
イシマルは,楽観を捨てた。
もし・・を信じてあげなきゃ・・
そして、、現在見える海を、メルカトル図法のように
方眼に区分けし、
一箇所を10秒ずつ見つめる・・
という星座観測方法に変えた。
見つめ続けること20分。
ある座標の中に、なにか、
違和感を感じた。
走り回って,楽観人たちをかき集め、
双眼鏡をのぞいてもらうと、
『かもしんない・・』
という意見がふつふつと湧いて来た。
「それいけ!」
その後の、大救出作戦の成功により、
イノちゃんが、口も利けない状態で浜にあげられた。
そして、ウインド仲間により
『最も遠くが見える人』
という、まるで、
遠視の翁のような称号が
イシマルに与えられた。