リビングのテーブルや、デスクの壁に、メモ用紙が張り付けてある。思い出した事や、やらねばならない事項を書きだし貼ってある。
その紙は、プリンター用紙である。
使用済みの紙を、ハサミで四角く切り、
洗濯バサミでまとめて止めている。
忘れ物をしない為の対策なのだが、ある問題が・・・
そのメモは内容によって、
すぐに捨てられるモノと、
すぐに捨てられないモノに分かれる。
たとえば・・・
「明日、地図を持っていく」
「赤ペンを買う」
なんてのは、やってしまえば、すぐに捨てられるモノだ。
しかし・・・
「山頂で聞きたい曲をさがす」
なんてのが貼ってある。
これは1曲見つかればよいという類いのモノではない。
常に探し続けるモノといえる。
見つかっても、すぐに剥がせないメモだと云える。
「新刊本の挿絵をいくつも描く」
メモするような内容ではない。
実は、次なる新作本を6月に出そうと画策している。
題名は、
《蕎麦は食ってみなけりゃ分からない》 啓文舎出版
前作、《山は登ってみなけりゃ分からない》の次作である。
今度は、食べるという事に特化している。
その中の挿絵も自ら描いている。
昨年の今頃始めた墨絵だ。
前作では、山の絵をたくさん描いたが、
今度は食べ物に挑戦している。
食べ物を白黒の墨絵で描くのは、難しい。
なんたって色がなくて美味しそうに見えるのかという疑問も湧く。
しかし日々、スケッチブックの白い画用紙を前に、
ニヤニヤしている。
自分が描いたモノが旨そうに見えるのだ。
自分の頭をなぐって気絶するお馬鹿がいるように、
自分の脇腹をくすぐって笑い出すお馬鹿がいるように、
自分の絵を見て、ヨダレを垂らしているお馬鹿である。
そのお馬鹿が、メモを書いて貼ったらしい。
「もっといっぱい描け」・・と。