紅葉が北から南へ、東から西へ、上から下へ、日本列島をないでゆく。
今、上から下へと述べた。
これは標高のことである。
山の上から紅葉が始まり、麓までおりてくる。
標高差にもよるが、ひと月ほどのタイムラグがあったりする。
ことし頻繁に目にする赤い葉っぱがあった。
《山ブドウ》
ブドウの原種なのだろうか、見た目は、ブドウそっくり。
少しだけ丸い玉が小さく、緑色から熟してくると、
いわゆるブドウ色に変化する。
食べてみるのだが、旨いとは言いがたい。
今読んでいる、《ロビンソン・クルーソー漂流記》の中に、
山ブドウについての記述がある。
彼は、単にブドウと書いているが、コレを集め、干しブドウにし、
保存食糧にしていたのである。
ヤギやウサギなどの肉を食べるときの、味付けにもなったようだ。
山ブドウの葉っぱの色づきは、美しい。
それは、単に赤の色づきだけではない。
そもそもがツタであり、他の樹木に寄生して、からみついている。
となると、その元の木が、黄色い黄葉だとすると、
その葉っぱに混ざって、山ブドウの赤が点在する。
点描の世界となる。
元木が低ければ、低い地で黄色に赤が混ざり、
高ければ、てっぺんまで這い上って、黄と赤のグラデーションを演じる。
元木の色によっては、さまざまな色合いを出し、
それはそれは、山ブドウさまさまの世界がひろがる。
冒頭で、今年よく目にすると言った。
というのはこれまで、ソレらをすべて、
ただのツタだと思っていたのである、
《葛かづら》だと認識していた。
まさか、ロビンソンの栄養を支えた植物だとは、考えてもみなかった。
あ~山は面白い!