午前中は、風が吹かない。
山の中の湖には、
サーマルという気温差で吹く風が届くのに時間がかかる。
「よし、午前中は、山に登ろう」
雲一つない青空を見上げながら、富士の麓にある、
《パノラマ台》という山をめざす。
山と言ったが、山の頂上の肩の位置にある場所を指している。
富士山を眺める為に土が盛られたと言っていいほどの、
絶景スポットである。
「富士をパノラマ写真におさめたいなら、ココにいけ!」
だれが言ったか分からないが、さほどの場所である。
(私かもしれない)
精進湖のパノラマ台登山口から、快適な登山道を、
一時間あまり・・目的地に着く。
そこは、開けた台地になっている。
たどり着く直前からフラットな道を進んでいき、
突然、富士山がむき出しの形で、目の前に現れる。
フルオーケストラの交響曲が奏でられる。
ティンパニ、シンバル鳴りっぱなし!
雨の後の早朝に、目指せば、荘厳さはさらに増す。
富士山は赤いと実感する。
広重が描いた赤い富士山は、誇張ではなく、
実際、赤い。
両腕を空にむかってあげ、伸びをする。
さあ・・・
さあ、と言った私が次の言葉を吐く。
「駆け下りて、ウインドサーフィンをやろう!
なんとも忙しい毎日である。