《乾徳山》 けんとくさん、と云う山がある。
山梨県、奥秩父山系に属す独立峰。
2031m
「さあ、行くぞ!」
集まったのは、滝田隊員、ウエタケ隊員、ヨウコ隊員。
4人が登山口から歩き出したのだが、
なんせ梅雨、雨がシトシト降っている。
(おそらく私以外は「なぜこんな日に山に登るのだろう?」
といぶかしんでいるハズだ。)
標高のわりには、標高差が大きい。
1300mもある。
つまり1300m登り、1300m降りてくる。
登り初め、森林の中を登っている時はまだよかった。
雨が森の葉っぱで分散され、レインウエアを脱いでいたほどだ。
しかし、森林限界を超えたあたりで、雨が斜めからふってくる。
結構寒い。
隊員から、退却の選択の声もあがる。
しかし・・
「標高1800mを超えれば、雨はやむ」
隊長の私の断言。
信じてくれたかどうかは、分からないが、登攀続行となった。
そして予言通り、1800mあたりで雨はやんだ。
誰も「へ~」とか言ってくれなかった。
その先、大きな岩が連続して現れ、
両手両足で、登り続ける。
やがて、頂上直下、見上げるような岸壁の真下に立つ。
高さ20m。
85度ほどの傾きでそそりたっている。
一応、クサリが垂れている。
「よし、登るぞ!」
声をあげたと思ったら、あらま・・
テッペンにヒョコンと滝田くんの姿が!
あとで聞けば、岩壁を登らず、
安全に登るコース(巻き道)があっとそな。
なんのこちゃ・・・
さて、クサリを使わずに登ろうとしたのだが、
なんせ、さっきまで雨が降っていた。
岩が濡れている。
滑る。
んで滑った。
やむなく、少しだけクサリを使わせてもらった。
で、山の初心者を脱したウエタケ君が、
クサリをほとんど使わず、
グングン登ってしまった。
雨予想ができるようになったら、隊長交代かな・・・?