《イズミちゃん》と呼ばれるセイウチがいる。
体重は600キロ。
どこにいるかと言えば、
大分県の、水族館《海たまご》。
この水族館が誕生してから、50年はたつ。
目の前が高崎山という猿山である。
私が一日園長をした、高崎山動物園だ。
このサル山には、足しげく通った。
高崎山の頂上にも今年正月に登った。
なのに、水族館には、一度も行ったことがなかった。
何たる失態!
そこで、あえて先日、わざわざ足を向けてみた。
9時の開園と共に、モギリの切符を切ってもらった。
そして、10時から始まる、動物ショーに出くわしたのだ。
まずは、トド(?)が登場した。
まあまあ、面白かった。
次に、ペリカンが芸を披露した。
ペリカンの芸は初めてみた。
そして、真打、セイウチである。
口から大きな牙が2本生えている海獣だ。
小錦の三人分はあろうかという体格で、
貫禄十分。
「イズミちゃんで~す」
お姉さんが紹介してくれる。
紹介しながら、片手に持ったバケツからもの凄い速さで、
小魚を取り出し、イズミちゃんの口の中に放り込む。
なんたって600キロ。
いったい一度に何キロの魚を食べるのだろうか?
何匹の魚を与えれば、言うことを訊いてくれるのだろうか?
アシカやオットセイの芸を見ていると、
ボールや輪投げ、逆立ちなどを当たり前のようにするのだが、
本当は、《どの位魚を食べられるのか芸》
を見せているように思える。
次から次にバキュームカーのごとく吸い込まれてゆく魚。
それも丸呑み。
「ちゃんと噛みなさい」
お母さんの叱り声など聞きもしない傍若無人。
テレビ東京の大食い選手権には、決して呼ばれない真の大食い。
さてさて、本番の芸だのだが・・・
どうしようかな?
その芸の話をしてしまったら、
もしアナタが観に行った時に興ざめとなる。
とはいえ、セイウチ君が、かほど芸達者だったとは、
夢知らなかった。
しばし、抱腹させてもらった。
もし、ご覧になった方がいれば、
この表現で、ご理解いただけるよネ。
「パンッ!」