アナウンサー志望の青学大・田中悠登主将が地元の福井放送に内定「太田蒼生や平林清澄の活躍を伝えたい」
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で2年連続8度目の優勝を狙う青学大の田中悠登主将(4年)が4日、来春の就職が内定した地元テレビ局の福井放送でアナウンサーとしての目標を明かした。同時に競技人生ラストシーズンにかける覚悟を語った。
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福井・敦賀気比高出身の田中は2年時の第99回箱根駅伝では8区を走り、区間5位。3年時の昨季は、全日本大学駅伝では最長の最終8区で区間3位と好走し、国学院大と中大との激しい2位争いに競り勝った。箱根駅伝でも8区に登録されたが、左足付け根部分を故障したため、当日変更で塩出翔太(3年)と交代し、出番なしに終わった。
4年時の今季は主将としてチームの連覇を目指すと同時に、2年時から志望していたアナウンサーになるため、ひとりの学生として就職活動にも全力を尽くした。
「TBSの番組収録に参加させていただいた2年生の時、アナウンサーという仕事に興味を持ちました。早大競走部出身のアナウンサーの佐藤文康さんに『アナウンサーの仕事は面白いよ』と言われ、本気で目指すようになりました。でも、就職活動は大変でした。試験や面接のたびにチームの練習を抜けるので、みんなに申し訳ない気持ちがありました。アナウンサーになることを諦めかけた時もありましたが、チームメートや、原監督、奥さん(美穂さん)、田幸コーチ、伊藤コーチに『応援しているよ』と言われ、頑張れました。アナウンススクールの先生からは大切なことを学び、就職活動を通してかけがえのない仲間と出会うこともできました。支えてくれた方々に心から感謝します」
田中は、アナウンサーのように落ち着いた表情で、自身の気持ちを明かした。
どのようなアナウンサーを目指すか。田中は笑顔で答えた。
「農業や漁業、いろいろな職業の方々を取材して、福井で暮らしている方々の思いを伝えられるアナウンサーになりたいです。そして、やはり、スポーツに携わりたい。一番の夢は、青学大同期の太田蒼生(4年)や、同じ福井県出身で国学院大キャプテンの平林清澄(4年)の活躍を伝えることです」
来春から新しい世界に飛び込む田中にとって、競技者としてのカウントダウンは始まっている。
注目度の高い青学大の主将は大きなプレッシャーがかかる。一昨年度の宮坂大器、昨年度の志貴勇斗(いずれも現ヤクルト)は、いずれも高い競技力と強いメンタルを持っていたが、主将を務めた4年時に箱根駅伝に出場できなかった。「そのジンクスは意識していません。主将を務めることで選手としても成長すると思っていますので」と前向きに話す。
夏合宿は故障の影響で、一部、別メニュー調整となることもあったが「7割は消化できました」。9月28日、絆記録挑戦会5000メートルは14分3秒03。チーム内で13番手だった。
選手層が厚い青学大では、駅伝メンバー争いは激しい。学生3大駅伝開幕戦の出雲駅伝(10月14日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)は10人の登録メンバーから外れた。第2戦の全日本大学駅伝(11月3日、名古屋市熱田神宮~三重・伊勢市伊勢神宮内宮=8区間106・8キロ)、そして、最終戦の箱根駅伝(来年1月2、3日、東京・大手町~神奈川・箱根町芦ノ湖往復=10区間217・1キロ)では出走するつもりだ。
「全日本大学駅伝は昨年と同じ8区を走って、今度は優勝のゴールテープを切りたいです。箱根駅伝は原監督に『田中は復路の8区か9区か10区しかない』と言われています。単独走の安定感では負けない自信があります。最後は、選手として走って優勝に貢献したい」ときっぱり話した。
念願のアナウンサーになる前、ランナーとして最後の大勝負に臨む。
◆田中 悠登(たなか・ゆうと)2002年8月1日、福井・武生市(現・越前市)生まれ。22歳。敦賀気比高で全国高校駅伝に2度出場し、2年1区25位、3年1区13位。2021年に青学大経営学部に入学。学生3大駅伝では2年時に出雲駅伝5区6位、箱根駅伝8区5位。3年時に全日本大学駅伝8区3位。自己ベスト記録は5000メートル13分51秒11、1万メートル28分35秒60、ハーフマラソン1時間2分33秒。181センチ、61キロ。