岡山大が全日本大学駅伝に初出場 青学大から編入した石鍋颯一を中心に急成長
◆全日本大学駅伝中国四国地区選考会(13日、Balcom BMW 広島総合グランド)
1万メートルのレースに各校13人以内が出場し、上位8人の合計タイムで1枠を争い、岡山大が4時間14分3秒66(平均31分45秒46)で本戦(11月3日、名古屋市熱田神宮~三重・伊勢市伊勢神宮=8区間106・8キロ)の出場権を獲得した。2位は環太平洋大で4時間22分31秒52(平均32分48秒94)、3位は広島経大で4時間24分42秒46(平均33分5秒31)だった。
岡山大は、22年春に青学大を卒業した25歳の石鍋颯一(4年)を中心に急成長を続けている。気温30度を超えるタフなコンディションの中、岡山大ランナーは堅実に走り、中国四国地区で1枚だけの伊勢路切符をゲット。全日本大学駅伝初出場を決めた。
石鍋は青学大時代、学生3大駅伝に一度も出場できなかったが、文武両道で努力を重ね、昨年の全日本大学駅伝にはオープン参加の日本学連選抜の一員としてエース区間の7区(17・6キロ)を走った(区間17位)。
5000メートルで14分8秒79、1万メートルは非公認ながら29分15秒0の自己ベスト記録を持つ石鍋は、横浜市都筑区の「いしなべ歯科クリニック」で院長を務める父・聡さん(61)の後を継いで歯科医となるために猛勉強の末、岡山大歯学部の編入試験に合格し、22年4月に6年制の歯学部2年生に編入。同時に「青学大から来た大物ルーキー」として陸上競技部に入部した。青学大で培った競技力と知識でチームメートを引っ張り、岡山大はスポーツ推薦制度がない国立大ながら中国四国トップレベルに成長した。昨年11月の中国四国学生駅伝では広島経大に次ぐ2位となり、今季の学生3大駅伝開幕戦の今季開幕戦の出雲駅伝(10月14日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)にも初出場することが決まっている。
父の聡さんは「青学大駅伝チームで過ごした4年間は颯一にとって決して回り道ではありませんでした。これぞ『敗者(歯医者)復活』です」と“おやじギャグ”で息子にエールを送る。青学大の恩師、青学大の原晋監督(57)は「日本一速い歯医者になれ!」と激励した。
岡山大は、出雲駅伝、全日本大学駅伝で関東の強豪校に挑戦する。石鍋は「地方の国立大学でもやれる、というところを見せたい。みんなの力を合わせて少しでも上位を目指します」と爽やかに話した。
今年の全日本大学駅伝には昨年の本戦で優勝した駒大をはじめ、2位の青学大、3位の国学院大、4位の中大、5位の城西大、6位の創価大、7位の大東大、8位の東京国際大の上位8校はシード校として出場する。
関東からは選考会(6月23日)を通過した7校(東海大、東洋大、早大、日体大、立大、帝京大、神奈川大)と合わせて計15校が参戦。北海道1校(札幌学院大)、東北1校(9月29日に選考会)、北信越1校(新潟大)、東海1校(皇学館大)、関西4校(関西大、京産大、大経大、立命大)、中国四国1校(岡山大)、九州1校(鹿児島大)の計25校と、オープン参加の日本学連選抜チーム(東海を除く全国7地区学連からの選抜)と東海学連選抜チームを含めた計27チームが本戦に臨む。
今季の学生3大駅伝は、開幕戦の出雲駅伝、第2戦の全日本大学駅伝、そして、最終戦の箱根駅伝(来年1月2、3日、東京・大手町~神奈川・箱根町芦ノ湖往復=10区間217・1キロ)と続く。