湯守のいる湯 白布温泉・東屋旅館 (トランヴェール2012年5月号)
【湯守】宍戸康裕さん(S36卒)
白布温泉の開湯は、正和元(1312)年。以来700年にわたり、東屋旅館はこの湯と寄り添い、守ってきた歴史がある。
「江戸時代には藩主一族の保養御殿として建物を貸し出し、明治から昭和30年代にかけては、旧藩主家の保養所として指定されていました」と、ご主人の宍戸康裕さん(S36卒)は話す。上杉の殿様はもちろん、名家老として有名な直江兼続もこの湯につかったという。
400年あまりの長きにわたり、この石造りの湯船が滝湯を受け止めてきた
歴代藩主に愛された湯は、標高約900メートルの高地で自噴している。宿名物の大浴場「滝風呂」に入ると、目の前に頭上から勢いよく流れおちる3本の滝湯が!湯口の下に立てば、肌を適度に刺激してくれ、マッサージ効果が期待できるのだそう。この豪快な湯を受け止める石造りの湯船は、およそ400年前からあるというのだから驚く。この時季、露天風呂からは新緑の森が望め、まさに古湯と自然を殿様気分で味わえる、ぜいたくなひと時を過ごせる。
「米沢には、上杉家の史跡が多数残っています。歴史を感じる街歩きも楽しいですよ」と宍戸さん。名湯を満喫した翌日は、米沢市街に足を伸ばすのもいい。
みずみずしい緑に囲まれた露天風呂(男湯)、天気に恵まれれば、満天の星空を望める