完了しました
ありがとう、高野之夫豊島区長
水木一郎さんの
気を取り直してこの原稿を出稿しようとした矢先に、高野之夫豊島区長の訃報が飛び込んで来ました。池袋西口公園での高取ヒデアキさん率いるZ旗ライブやアニメ成人式での五條真由美さんと松原剛志くんのアニソンライブ実現、古くは豊島公会堂での「アストロ球団」イベントでの始球式など、数え切れないほど、お世話になりました。私が「特撮は時代を映すんです」「アニソンは日本の文化なんです」とまくしたてるのにも嫌な顔一つせず耳を傾けてくださり、国際アート・カルチャー都市プロデューサーとしての活動の場を与えてくださいました。幅広く、文化というものに理解があり、どんな「文化」にも偏見を持つことなく接してくれる柔軟で懐の深い方でした。安心で快適で、そして文化の色濃い町へと変化を遂げた2023年の池袋は、高野区長が情熱を傾けて作り上げたものだと思います。とにかく、今は寂しいです。そして亡くなる前日に区議会で代読された「皆さんと苦労しながらも夢を追いかけた日々は、本当に幸せでした。一片の悔いもありません」という区長のメッセージを噛みしめています。人の命が尽きても、町は、人の思いをのせて残るのだと、しみじみ感じています。どうぞゆっくりお休みください。心から哀悼の意を表します。
泥とパンプスとノーガード…3年ぶりの“部活動”に感無量
スーパー戦隊シリーズに出演したヒロインが集合するイベント「特撮微熟女部祭3」を、昨年末に開催しました。2020年春に開催予定だったものが最初の緊急事態宣言の発出で延期となり、昨年開催を画策したものの再びコロナの影響で再延期になり、と延び延びだったイベントで、3年ぶりの開催でした。このイベントは、ヒロインたちによる部活動という形で実施しており、「部長」の私も久しぶりに皆で集まることが出来て感無量でした。
レギュラーの「部員」は超電子バイオマンのピンクファイブの牧野美千子さん、同じくイエローフォーの田中澄子さん、電撃戦隊チェンジマンのチェンジフェニックスの大石麻衣さん、光戦隊マスクマンのイエローマスクの永田由紀さん。ここに、今回からの「新入部員」として超獣戦隊ライブマンのブルードルフィン・森恵さんと鳥人戦隊ジェットマンのホワイトスワン・岸田里佳さんが加わりました。さらに、スーツアクトレスとして最近では魔進戦隊キラメイジャーのマブシーナを演じたことで知られる野川瑞穂さんが加わって、7人で撮影時の思い出を語り合いました。
ヒロイン7人が集まっているのだから、さぞかし麗しい話が出てくるかと思いきや、「ロケの思い出は?」と尋ねると「泥だね!」「泥まみれになった」と泥の話ばかりが飛び出す始末。「ミニスカートにパンプスで崖から飛び降りた」「ストッキングがずたずたになった」など、当時の過酷さを思わせる話が次々に語られました。牧野さんの「『見せパン』という概念がなかったから、ノーガードで演じていた」という振り返りには、落涙を禁じ得ませんでした(笑)。撮影現場はだいぶ改善された平成以降の現場に立っていた野川さんも「敵にやられて倒れる時、足を開いて転がっちゃって、カメラマンにもっと女性らしく、と怒られた。(女形を演じるスーツアクターの)蜂須賀祐一さんの方がずっと仕草が女らしい。でも戦う時、足が広がってるかどうかなんて、考えませんよね?」と語り、全員の賛同を得ていました。
引き続きヒロインたちには当時のヒロインソングも披露していただきました。ここでは、現役部員はもちろんのこと、新人部員がいい味を出してくれました。中でも恵さんの本気のアイドルぶりといったら! ライブマン時代の岬めぐみの衣装を、最近自分で作ったそうで、その姿でステージ狭しと飛び回る姿は、もう往年のアイドル森恵そのもの……。全員で見とれてしまいました。一方、着物姿の里佳ちゃんは、あのアコちゃんの歌を。コール&レスポンスがないと成立しない歌ですが、昨年12月は、まだライブハウスでは声だしNGの時期。そこで、里佳先生がリハーサルから部員たちにかけ声を伝授。全員で一生懸命練習したのに、本番はタイミングを忘れてぐちゃっとなる、というまるで還暦祭のようなパターンとなりました。でも楽しかったからいい!
「嵐山美佐」も参戦!
さらに、初めてのゲストも登場してくださいました。なんと、太陽戦隊サンバルカンで岸田森さん演じる嵐山長官の娘、美佐を演じた波多野由美(当時は根本)さんが来てくれたのです。しかも、当時をほうふつとさせる白いスーツで!
波多野さんは、シリーズでもレアな「変身しないヒロイン」であり、そのため戦闘場面の撮影には一人だけスーツアクターに混じって参加することが多かったそうです。「役者がみんな帰っていく中、一人だけ残されて。ロケ地にはトイレはないし、ストッキングは裂けるし大変でした。怪人に抱えられて水に落ちるシーンなんて、気絶していないといけないのに本当に怖かった」と苦笑します。
共演の岸田さんとはスタジオ撮影でいつも一緒でした。「家も近かったのでスタジオにも一緒に行った。ランチでは、ご自分はほとんど食べないのに、私だけじゃなくみんなにごちそうしてくれる優しい方でした」と振り返ります。特撮番組への出演も多く、演技派として知られる岸田さんだけに「一緒にお芝居をすると自分まで上手になったように思えた。得難い経験だったと思っています」と当時のことを思い起こしていました。
貴重なお話の数々のあとは、全員そろっての名乗りメドレー、そして「美佐長官」の「ヒロイン出動せよ!」の号令でイベントは終了しました。
ヒーローがワクワクを与えてくれる存在なら、ヒロインは思わず笑顔になってしまうような幸福感を与えてくれる存在だと改めて実感しました。今年も、さらなる新入部員を勧誘して、「部活」を続けていきます!