日本維新の会が代表選を告示 4氏出馬、党勢回復が争点
日本維新の会は17日、衆院選を受けた党代表選を告示した。届け出順に吉村洋文共同代表(大阪府知事)、金村龍那衆院議員、空本誠喜衆院議員、松沢成文参院議員の4人が立候補した。議席を減らした衆院選の総括や失速する党勢の回復策が争点となる。12月1日の臨時党大会で投開票する。
4氏は17日、大阪市の党本部で記者会見を開いた。
吉村氏は「このままでは国政政党として消滅するという強い危機感がある。維新の存在意義をもう一度国民に訴えたい」と語った。金村氏は「自分の声で危機感を訴えることが必要ではないかと(出馬を)決断した。全国政党になれるかが問われている」と述べた。
空本氏は「身を切る改革を大きく見直さなければいけない。地方議員や首長を増やすことができない」と訴えた。松沢氏は「何を目指す政党なのかが見えない。天皇陛下の関西転都と首相公選制度の実現を訴えたい」と話した。
維新は衆院選で議席を公示前の43から38に減らした。先の通常国会での政治資金規正法を巡る混乱への対応などが後手に回った。関西の地域政党から「全国政党」へと基盤を拡大する方策を巡っても論戦を交わす。
維新は国政選挙後などに代表選をするかどうかを投票で決める。今回は代表選を実施すると決定した。いまの馬場伸幸代表は衆院選の結果を受け不出馬を表明している。
代表に立候補するには国会議員や地方議員、首長ら「特別党員」50人から推薦を集める必要がある。馬場氏を選出した22年の前回は推薦人の要件は30人以上だったが、組織づくりの一環として引き上げた。
投票できるのは特別党員800人超と2年以上党費を納めた一般党員およそ2万5千人。特別党員も一般党員も同じ価値の1票を持つ。最多得票を得た候補が新代表に就任する。
馬場氏の前任の代表は松井一郎氏(当時は大阪市長)だった。今回、仮に吉村氏が当選すると、国政政党の代表に再び国会議員でない人物が就くことになる。
首長や地方議員が代表になった場合、国会議員団の代表を共同代表として指名できる。代表が国会議員でない場合、維新の首相指名の投票先は通例、国会議員団の代表になる。
馬場氏が代表に就く前は参院議員だった片山虎之助氏が共同代表で国会議員団代表だった。維新の議員が首相指名選挙で片山氏に投じたこともあった。
共同代表は意思決定に関与できるが、意思決定機関である常任役員会を主宰する権限はあくまで代表にあるため、その役割は限定される。
大阪の地域政党として始まった維新は15年の再結党後、大阪の首長がトップを務めており、国会議員として代表に就いたのは馬場氏が初めてだった。国会議員でない代表が国政政党の指揮を執ることに党内で異論もある。
吉村氏は自身が代表に選出された場合の執行部について「リーダーは若手を育てるのも役割の一つ。若いメンバーでやれるところまでやってみたい」と述べた。幹事長など代表を支える幹部の人事が注目される。