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廃プラスチックに新たな役割を:LIXILが描く資源循環の未来 | ストーリー | 株式会社LIXIL

廃プラスチックに新たな役割を:
LIXILが描く資源循環の未来

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私たちの周りにはプラスチック製品があふれています。製造コストの低さや耐久性の高さから、あらゆる生活シーンに浸透したプラスチックは「代替できる素材はない」とも言われます。ただ、近年ではプラスチックへの依存度の高さを考え直さざるを得ないような、様々な課題に直面しているのも事実です。

最も大きな課題の一つは、廃プラスチックの処理方法です。過去数十年の使用済みプラスチック量増加に伴い、一部のリサイクル率は大幅に改善1しましたが、実際に資源として再利用されるプラスチックは世界でわずか9%2に過ぎません。

「分別しなくてもいい」ソリューションの開発

reviaは、再資源化が困難な廃プラスチックと、建物などで使われていた廃木材を組み合わせた独自の素材です。組成の異なるプラスチックであっても分別することなく、まとめて粉砕し、押し出す技術を使用して作られるため、複合プラスチックを含め、家庭や店舗から出るほぼすべての廃プラスチックを原料として使用することができます。廃プラスチックは種類によって、接着剤のように機能するもの、充填剤として機能するものなど、それぞれに異なる役割を持たせています。

日本は一人当たりの廃プラスチックの排出量が世界で二番目に多い国です。分別が難しい複合プラスチックなどを含む多くのプラスチックは、焼却や熱回収、埋め立て処分され、新しい製品やその一部として再利用される割合は約20%3にとどまります。

reviaの開発に至った経緯について、revia事業部を統括する宍戸弘昭は「LIXILはルーバーやデッキなどの用途で、プラスチックと木粉を混ぜ合わせた人工木材製品を長年製造してきました。蓄積してきた知見を活かし、廃プラスチックという社会課題に取り組めるのではないかと気付いたことが、開発の出発点になりました」と説明します。

プラスチックのリサイクルが難しく高コストである理由の一つは、その種類の多さにあります。窓枠や食品包装、文房具などに使われるPVCから飲料ボトルのPETや海洋プラスチックまで、プラスチックから新しい製品を作るためには異なるタイプに分別する必要があります。

例えば食品包装など私たちが日々使用するプラスチック製品は、紫外線の影響を軽減するなどの機能を備えた複数のプラスチックの層でできており、リサイクルの手段は限られます。家庭レベルでは十分に分別できず、焼却処分されるケースが少なくありません。

reviaでは1トンの素材を使用すると、同じ量の廃プラスチックと木材が焼却された場合に比べてCO2排出量は約80%4削減できます。また、役目を終えたあとの製品を収集し、工場で処理することで、新しいreviaとして水平リサイクルが可能です。

「石油から製品を作り、一回もしくは数回使用された後、焼却処理するというのが一般的な複合プラスチックのライフサイクルでした。私たちのノウハウを使えば、このサイクルを変えられるのではないかと思ったのです」。revia事業部が所属するLIXIL Housing Technology(LHT)担当の執行役専務、吉田聡はreviaの意義についてこう説明します。

環境性能を抜きにしても魅力的な製品

reviaは現在、歩道、広場、公園、建物の舗装用の押出成形材「revia pave(レビアペイブ)」として製品化され、「ひろしまスタジアムパーク5」や2025年に開催される大阪・関西万博のパビリオンなど、日本国内の建物で採用実績が増えています。

reviaは工業材料としての耐久性を備えつつ、重さはコンクリートの約半分で、輸送効率の向上や、建設現場での労働負担の軽減にもつながる利点があります。木材や粉砕した廃プラスチックを原料とすることで独特の素材感を持っており、景観デザイナーなどからも注目を集めています。

大阪・関西万博のシグネチャーパビリオンのひとつをデザインした世界的に著名な建築家・隈研吾氏は「パビリオンでは、共にリサイクルという特徴を持ち合わせた、日本の伝統的な素材 『茅』とreviaを活用しています。日本人が大切にしてきたサーキュラーエコノミーの伝統と未来を表現できていると思っています」とreviaを採用した意図について話します。

建築家 隈研吾(写真左)と対談するLIXIL執行役専務 LIXIL Housing Technology 担当 吉田聡(右) 撮影:新建築社写真部

建築家 隈研吾氏(写真左)と対談するLIXIL執行役専務 LIXIL Housing Technology 担当 吉田聡(右)撮影:新建築社写真部

環境に配慮した製品は、「環境プレミアム」として価格に付加価値を上乗せするのが一般的なトレンドです。ただ、宍戸は「reviaは、社会全体の廃プラスチックを有効活用できるのが強みですが、それを抜きにしても、十分に魅力的な製品だといえます」と話します。

「私たちが目指すのはプレミアム商品ではありません。多くの場所で使われてこそ、本来の目的である環境負荷低減に貢献することができます。まずは販売量と生産量を増やすことでコストを下げるのが目標です。花壇やプランターから、貨物会社が荷物を積むために使用するプラスチックパレットなど、幅広い製品ラインアップの可能性があります」と宍戸は説明します。

廃棄から再利用へ:エコシステムの構築

「reviaが目標にするのは、使用後のプラスチックの調達から、再資源化し、生産、販売、施工し、再度回収するまでのエコシステムを確立することです」と宍戸は強調します。廃プラスチックを焼却する焼却炉の維持更新コストは大きく、引き取り先を探す事業者や自治体は少なくありません6。LIXILは引き取った廃プラスチックから作ったrevia製品を、もう一度自治体やその地域の企業などに使ってもらう資源循環の仕組みを構築すべく、様々な関係者との協議を進めています。

reviaを日本国内だけでなく世界中に広め、イノベーションの可能性を最大限に引き出し、環境や社会に貢献するためには、地方自治体、建築家、建設会社など、多くの関係者とのパートナーシップを強化する必要があります。LIXILは、現地の需要を調査しつつ海外展開についても検討し、適切な事業パートナーを見つけることなどを通じてインパクトの拡大を目指していく方針です。

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