スマホアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)」から生まれたスクールアイドル「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」。そのファーストライブが2019年12月15日(日)、武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナにて行われた。
出演したメンバーは、大西亜玖璃さん(上原歩夢役)、相良茉優さん(中須かすみ役)、前田佳織里さん(桜坂しずく役)、久保田未夢さん(朝香果林役)、村上奈津実さん(宮下 愛役)、鬼頭明里さん(近江彼方役)、楠木ともりさん(優木せつ菜役)、指出毬亜さん(エマ・ヴェルデ役)、田中ちえ美さん(天王寺璃奈役)の9名。アリーナに大きな夢の花を咲かせた2DAYSのライブのうち、2日目の模様をレポートする。
グループアイドルとしての活動が主流の「ラブライブ!」シリーズにおいて、各メンバーが最初からソロでも活躍するという、これまでの流れとはちょっと違うスタイルをとっているのがスクールアイドルユニット「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」だ。そのいっぽうで、やはり9人全員による楽曲もリリースされており、ライブでも9人でパフォーマンスを披露。自分たちのイベントだけでなく「アニサマ」や「ランティス祭り」といったフェスイベントなどに、全員での出演を果たしている。
そんな彼女たちの記念すべきファーストライブ「ラブライブ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会 First Live “with You”」が行われた。今回のライブは、その“ソロ”の部分が前面に打ち出されたライブとなった。
メンバーの個性が炸裂するソロパート!
オープニングムービーで、それぞれのキャラクターが紹介されると、そのカラーに合わせた色のペンライトが左右にゆらゆらと揺れる。ライブは、全員での「TOKIMEKI Runners」でスタートした。キャラクターのダンスとのシンクロは、本シリーズの強みとしてしっかり継承。振り付けや歌唱のみならず、カメラワークに至るまでシンクロしているところが素晴らしい。ステージ上でのダンスだけではなく、大スクリーンで表情や動きのシンクロまで楽しめるのだから、観客のテンションがどんどん上がっていくのもうなずける。
女子校っぽいノリで9人が仲よくおしゃべりを繰り広げた最初のMCでは、「ヘッドライナー選挙」によってこのライブのヘッドライナーに就任した楠木ともりが真ん中に立ち、それぞれ自己紹介をしていく。最初はキャラクターとして、そのあとは中の人として名乗り、コール&レスポンスをたっぷり楽しんでいた。
ちなみに自己紹介ではそれぞれ、癒やし系スクールアイドルのエマ・ヴェルデ、演技派系スクールアイドルの桜坂しずく、スマイル系スクールアイドルの宮下愛、セクシー系スクールアイドルの朝香果林、本気系スクールアイドルの優木せつ菜、真心系スクールアイドルの上原歩夢、小悪魔系スクールアイドルの中須かすみ、マイペース系スクールアイドルの近江彼方、キュート系スクールアイドルの天王寺璃奈と伝えていたが、このあとに続くソロステージは、それぞれの特徴がよく出たステージとなった。
ソロステージのトップバッターは大西亜玖璃さん。彼女のステージでは、会場にたくさんのピンクの花を咲き乱れた。「夢への一歩」は、《あなたがいるから 私も 輝ける》という歌詞の通り、心を込めて、ストレートに気持ちを伝えていたのが印象的だった。「開花宣言」は、少し懐かしさのあるアイドルポップチューンなのだが、いつかきっと花を咲かせると健気に歌う姿に、みんなと一緒に歩いていこうとする上原歩夢のピュアな心が見えた気がした。
花が咲いたあとは、黄色い星がステージに無数に輝く。相良茉優さんが「☆ワンダーランド☆」を勢いよく歌うと、会場もコール&レスポンスで一緒になって盛り上げる。曲後半は大きなフラッグを振って、みんなと声を合わせ、会場を一気に制圧すると、「ダイアモンド」へ。こちらもとにかく元気で勢いがある、まるでジェットコースターのような曲だ。“LOVEかすみん”の大コーラスも成功してバトンタッチ。
白い傘をさし、赤いコートを着て登場したのは前田佳織里さん。ミュージカル映画のひと幕のような演出でしっとりと「オードリー」を歌いあげる。その大人っぽい表情も魅力的だったし、コートを脱ぐところもカッコよかった。そして「あなたの理想のヒロイン」は壮大なバラード曲。演技派というところで、入り込んで歌ってる姿が印象的で、声だけではなく動きや表情でも歌っている感じがして、とても心に沁みるステージだった。
歌い終わった3人が揃うと、それぞれのステージを振り返る。ちなみに前田さんが使った傘は、身長にぴったり合うものを探し続けようやく見つけたものだという。これまでに何度も買い替えて、今回持参したもので4代目なのだそう。
キャストも「ステージを客席から見たい」と語る激アツライブ!
続くブロックでは、村上奈津実さんがトロッコに乗って登場すると「友&愛」でオレンジ色に染まった会場をグルッとひと回り。観客席に愛を振りまいていく。最高の笑顔でクセになるサビを何度も歌い、ステージに戻ると、今度は「めっちゃGoing!!」を披露。歌の最中、頭上から風船が落ちてくる景色は、最高にハッピーだった。今は冬だが、とても暖かいステージだった気がする。
歌で伝えたい思いを爆発させたのは、田中ちえ美さんの「ドキピポ☆エモーション」。彼女の一生懸命さが伝わってくるエモいパフォーマンスが印象的。観客も大きな声でコールを入れ、両者がひとつになることで曲が完成したように思えた。続いて「みんなにテレパシーを届けに行くよ!」と言って「テレテレパシー」をトロッコに乗って届けていく。時にトロッコから体を乗り出し、時観客に向かってテレパシーを送るようにふるまう姿はとてもかわいらしかった。
今度は鬼頭明里さんが、大量のスモークの中から登場。おっとりとした声で「My Own Fairy-Tale」を歌うと、たちまち夢の世界のような光景が広がっていく。ステージに座って歌ったり、独自の世界観をしっかり作り上げたりしているのが素晴らしい。さらにステージ中央に用意されたベッドに座って「眠れる森に行きたいな」。こちらもしっとりとした曲なのだが、マイペースな彼女の歌や仕草をフィーチャーしたダンスに釘付けになってしまう。大きな会場を、女の子の部屋にしてしまうキュートなステージだった。
歌い終わるとそのままベッドに寝込んでしまった彼方を起こすために、愛と璃奈が登場。ライブの翌日は彼方の誕生日ということで、会場全体で「彼方さん起きて! 誕生日おめでとう」と言って目を覚まさせるひと幕も微笑ましかった。鬼頭さんの「はい!」という合図で、中の人に戻りMCをする3人。それぞれのパフォーマンスを終えた感想や「ステージを客席から見てみたいね」という話をして、次のブロックへ。
TVアニメ化発表で、メンバーも涙!
指出毬亜さんが癒やしボイスで、やさしく「Evergreen」を歌う。グリーンに染まった会場に、伸びやかで透明感のある歌声が響き渡ると、会場はまさに森の中のよう。「一緒に歌おう!」と言って、6人のキッズダンサーをステージに招き入れると2曲目の「声繋ごうよ」を歌う。子供たちの真ん中で歌う姿は、まさに歌のお姉さん。幸福感に満ち溢れたステージだった。
続いて登場したのは久保田未夢さん。椅子に座って、夜景をバックにしっとりと「Wish」を歌い上げる。歌詞の世界に入り込み、《本当の私 弱い私を その手で 抱きしめてよ》とエモーショナルに歌いあげる。スクリーンに大きな羽を広げた久保田さんが映し出されるという演出もよかった。続いて、セクシーなダンスが見どころのEDMナンバー「Starlight」を披露。魅惑的な、上から目線の表情もビシッと決まっていた。それにしても子供たちと歌い踊る世界から、一気にアダルトな世界に変貌するという落差には驚かされた。
そして今回のライブでヘッドライナーを務める、優木せつ菜役の楠木ともりさんがステージに登場する。「CHASE!」の頭サビを歌ったあと、ウインクをして会場を沸かすと、炎が立ち上がる中、激しいダンスと歌をぶちかます。力強い歌声で会場を奮い立たせ、本気の叫びで会場のボルテージを上げまくっていた。魂を込めて叫んだあとに見せる笑顔もかわいらしい。さらに「MELODY」ではスタンドマイクを使ってロックなパフォーマンスを披露。彼女の熱唱に、観客も「オイ!オイ!」と声を上げ応えていた。この曲でも《ほら届け!》と叫んでいたが、彼女の熱唱は確実に観客の心に突き刺さったことだろう。
楠木さんによる圧倒的なパフォーマンスのあと、「ヘッドライナーに選んでいただいてプレッシャーがありましたけど、みなさんにこんなに喜んでもらえたってことは、任務遂行できたってことかな?」と爽やかな表情で気持ちを伝えたあと、指出さん、久保田さんも登場し3人でMCへ。ここでは指出さんが一緒に踊ったキッズたちからもらった手紙を嬉しそうに見せつけたり、センターで歌っていたから左右にも行きたいと、3人でステージの端から端まで走ったりして楽しんでいた。
ヘッドライナーを終えたせつ菜に感謝を伝えるという内容のミニドラマ映像のあと、再び9人がステージに揃って歌ったのは「Love U my friends」。お揃いの白い新衣装を着て、ステージを左右いっぱいに使って歌い踊り、今日の感謝の気持ちを全身で表現した9人は、最高の笑顔で本編を終えた。
アンコールでは、振られたペンライトの色が一番多かったキャラクターにもう一度歌うチャンスが与えられるということで、集計の結果、選ばれたのは相良茉優さんだ。まだまだ声を出したい!という気持ちが結果につながったということだろうか、もう一度「ダイアモンド」を歌って、再び会場を盛り上げる。そして最後はもう一度9人が集結、トロッコに乗りながら「TOKIMEKI Runners」を歌い、「楽しかった」という思いを観客と共有する。
すべてのセットリストを終え、最後にインフォメーションを伝えていくメンバーたち。その中でも一番のニュースであり、彼女たちが早く伝えたくて仕方なかったニュースは、TVアニメ制作決定だろう。発表されると、大きな歓声が会場を揺らした。
そして9人それぞれが、この活動に込めていた思いを、時には涙を流しながら吐露していく。大西さんが「あなたを笑顔にできたことは誇らしいです。アニメ化も決定して、一緒に喜んでくれることが本当に嬉しいです」と感謝の気持ちを伝えて、記念すべきファーストライブを終えた。「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」は、これからどこまで飛躍していくのだろうか。最後のエモーショナルな9人のMCを聞いて、彼女たちの秘めたる可能性の大きさを感じたのは筆者だけではないだろう。今後の活躍が楽しみで仕方ない。
(取材・文/塚越淳一)
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