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「『裸になれ』って。みんな脱いでるから…」新人時代の長与千種が見た、全女・松永一族の素顔「何十億も一瞬でなくす」「賭けの対象にされました」
posted2024/12/01 17:01
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
東京スポーツ新聞社
玉袋 でも、戻ったら戻ったで、また大変な日々が待ってるわけだからね。長与さんの新人時代のエピソードですげえのが、みんな受け身の取りすぎで背中がアザだらけになったとき、松永兄弟が全員に「裸になれ」って言ったっていう。
長与 私が15歳のときですよ。練習後、いきなり「裸になれ」って言われて、「どういう会社?」って。でも、周りはひとりずつみんな脱いでるから、なんか「脱がなきゃいけないんだ」みたいな(笑)。もちろん前はTシャツで隠してましたけどね。そしたら横になって、背中にサロメチール(鎮痛・消炎薬)を塗られるんですよ。しかも、普通は指先でつけるものですけど、デカい瓶に入ってるから4本指でガサッと取って、たっぷり塗られるんです。そんだけ塗られると、今度は熱くて痛いんですよ。ヒリヒリして。
ガンツ 普通、サロメチール塗ったらスースーするもんですけどね。
玉袋 それが熱もってヒリヒリしてるっつーんだから、『因幡の白うさぎ』だよな(笑)。
長与 ホントにキツかったですけど、これ1回やってもらうとなぜか平気になっちゃうんですよね。
玉袋 通過儀礼になって。いったん強烈なのやっちまえば、身体も慣れちゃうみたいな。たけし軍団の熱湯風呂と一緒かもしれねえ(笑)。
控え室のなかに入ってくることは、ほとんどなかった
長与 でもおもしろかったのは、松永一族の方たちって、男兄弟じゃないですか。あの人たちが控え室のなかに入ってくることはほとんどなかったですね。
玉袋 へ~、そうなんだ。
長与 試合とか私たちにあまり興味がなかったのか、レスラーに直接なんか言うってことはほとんどなかったです。