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脂(シ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

(読み)シ

デジタル大辞泉 「脂」の意味・読み・例文・類語

し【脂】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]あぶら やに
〈シ〉
動物性のあぶら。「脂肪牛脂凝脂脱脂皮脂油脂
油で溶いたべに。「脂粉臙脂えんじ
やに。「樹脂
〈あぶら〉「脂汗脂性あぶらしょう脂身
難読雲脂ふけ松脂まつやに

やに【脂/×膠】

樹木の分泌する粘液。また、その固まったもの。樹脂。
タバコを吸ったときにキセルパイプにたまる褐色の粘液。
目やに。
[類語]樹脂松脂樹液

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「脂」の意味・読み・例文・類語

やに【脂・膠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 樹皮から分泌する粘液。また、その固まったもの。樹脂。〔十巻本和名抄(934頃)〕
  3. タバコの燃焼から生じて、キセル、パイプなどにたまる褐色の粘液。ず。
    1. [初出の実例]「きせるにやにがさがって居た」(出典:洒落本・比翼紫(1801)三)
  4. 目やに。
    1. [初出の実例]「丙眥(めがしら)に眵(ヤニ)が着いて」(出典多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  5. やにちゃ(脂━)
    1. [初出の実例]「わらはべのすかすもきかずやにいふて みるもあぶなき松の木上り〈之以〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)一)

ず【脂】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ねばねばした液。粘液。
    1. [初出の実例]「いきつまってうつぶしにおしふせられて、ずをはいてぞふしたりける」(出典:虎明本狂言・蛸(室町末‐近世初))
  3. タバコのやに。多く「ずう」とのばしていう。
    1. [初出の実例]「やにの口へはひりし顔して〈略〉此つばけ、きせるのらうの中へ、ふきこみても、くるしからず候、是を脂(ヅ)(〈注〉ヤニ)の手と女郎中間にて申候」(出典:洒落本・陽台三略(1751‐64頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「脂」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音]
[字訓] あぶら

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は旨(し)。旨に旨肉の意がある。〔説文〕四下に「角を戴くは脂あり。角無きは膏あり」とみえる。〔周礼、考工記、梓人、注〕に脂を牛羊の属、膏を豕(ぶた)の属とする。脂は肉中の脂、膏は臓腑の間にあるものをいう。

[訓義]
1. あぶら、あぶらのかたまり、動物性のあぶら。
2. あぶらぎる、あぶらさす、あぶらぬる。
3. つやつやしい、うつくしい。
4. べに、くちべに。
5. はらご、胎児。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕脂 阿布良(あぶら) 〔名義抄〕脂 アブラサス・アブラ・マツヤニ/脂 マツヤニ

[語系]
脂・旨・指tjieiは同声。旨は旨肉。これを指でとって食する。その甘味は脂を含むことによる。脂・指は旨の声義を承ける字である。

[熟語]
・脂液・脂灰・脂轄・脂・脂・脂膏・脂膠・脂膩・脂車・脂松・脂色・脂燭・脂水・脂髄・脂沢・脂那・脂肉・脂粉・脂肪・脂麻・脂油・脂腴
[下接語]
鉛脂・燕脂・臙脂・画脂・凝脂・瓊脂・口脂・紅脂・香脂・祭脂・酒脂・樹脂・獣脂・松脂・唇脂・石脂・窃脂・多脂・丹脂・冰脂・芳脂・面脂・油脂・羊脂・臘脂

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「脂」の意味・わかりやすい解説


やに
resin

テルペン系の天然樹脂のこと。植物の生活代謝物で、マツの樹皮を傷つけると松脂(まつやに)が分泌するように、多くの脂は樹皮を傷つけることによって採取する。またこの脂が地下に埋まって化石化したもの(こはく)もある。塗料印刷インキ、つや出し剤、香料医薬などに使われている。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「脂」の意味・わかりやすい解説

脂 (やに)

樹木から出てくる粘り気の強い物質(天然樹脂)の俗称。松やにに代表されるように,多くは針葉樹が傷ついたときに出すものがこう呼ばれ,精油にとけたものが多い。また,タバコのやには,タール分を主とするタバコの燃焼によって生ずる粘液をいい,さらに目やにのことを指す場合もある。
樹脂
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

栄養・生化学辞典 「脂」の解説

 油,油脂とほぼ同じ意味に使われる.トリアシルグリセロールのうち,一般に融点の高いものを区別して脂(fat)といい,低いものを油(oil)ということがある.また,動物性のものを脂といい,植物性のものを油という場合もあるが,いずれも明確な区別はない.

 (1) →脂肪,(2) →皮脂

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【油】より

…その代表的なものに動植物性油と鉱物性油とがある。前者は長鎖脂肪酸のグリセリンエステルすなわちトリグリセリドを主成分とし,後者は炭化水素が主成分であるというように,その化学的組成はまったく異なる。動植物性油については油脂という名称も用いられるが,この場合,常温で液体のものを油oil,固体のものを脂fatと区別する。…

【樹脂】より

…ここでは前者を狭義の樹脂,後者を広義の樹脂とみなし,樹木の分泌物全般をとりあげる。
[狭義の樹脂]
 樹木の分泌物は固形物が溶剤にとけたいわゆる“やに”である。溶剤は精油とよばれるものであることが多い。…

※「脂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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