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種(タネ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

(読み)タネ(英語表記)species

翻訳|species

デジタル大辞泉 「種」の意味・読み・例文・類語

たね【種】

植物が発芽するもとになるもの。種子しゅし。「く」

㋐人または動物の系統を伝えるもととなるもの。精子。「を宿す」「馬のをつける」
㋑(「胤」とも書く)血筋。血統。父親の血筋をさすことが多い。また、それを伝えるものとしての、子。「高貴の
物事の起こる原因となるもの。「混乱の」「悩みの
話や小説などの題材。「うわさのになる」
料理の材料。また、汁の。「おでん」「すし
裏に隠された仕掛け。「手品のを明かす」
よりどころとするもの。「生活の」「飯の
物の、質。「客
[下接句]商いは草の種苦は楽の種品玉も種から生業すぎわいは草の種楽は苦の種苦は楽の種
[類語](1種子種物さね種皮菜種/(3原因もと近因遠因せい起こりきっかけいん因由素因真因要因一因導因誘因理由事由じゆうわけ起因する基づく発する根差す/(5材料浮き実加薬薬味

しゅ【種】[漢字項目]

[音]シュ(呉) [訓]たね くさ
学習漢字]4年
〈シュ〉
植物のたね。生み殖やすもと。「種子種皮種畜断種播種はしゅ
たねをまく。植えつける。「種痘接種
共通の性質によって分類されるもの。「種族種目種類一種各種機種職種人種多種同種品種
生物の区分けの一。属の下。「種名亜種
〈たね(だね)〉「種馬種本子種火種物種
[名のり]おさ・かず・ぐさ・しげ・ふさ
[難読]種種くさぐさ下種げす

しゅ【種】

一定の基準によって分類・類別したもの。種類。たぐい。「このの食べ物は苦手だ」
生物分類学上の基本単位の下位。共通する形態的特徴をもち、他の個体群との形態の不連続性、交配および生殖質の合体の不能、地理的分布の相違などによって区別できる個体群。種を細分するときは亜種変種品種を用いる。
種概念」の略。
[類語](1種類ジャンル品種範疇たぐい/(2絶滅種絶滅危惧種在来種固有種外来種外来生物雑種交配種ハイブリッド

くさ【種】

[名]
物事が生じるもとになるもの。たね。材料。原因。多く「ぐさ」と濁り、複合語として用いる。「語り」「質
たぐい。種類。
唐土もろこし高麗こまと尽くしたる舞ども、―多かり」〈・紅葉賀〉
[接尾]助数詞。物の種類を数えるのに用いる。
「二―づつ合はせさせ給へ」〈・梅枝〉

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精選版 日本国語大辞典 「種」の意味・読み・例文・類語

たね【種】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 草木の発芽のもとになるもの。種子(しゅし)
    1. [初出の実例]「水を多み上(あげ)に種(たね)蒔き稗(ひえ)を多み選らえし業そ吾が一人寝る」(出典:万葉集(8C後)一二・二九九九)
    2. 「Taneuo(タネヲ) マク」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. 果実の核。さね。
    1. [初出の実例]「未剋俄大風大雨、以外事也、又雹降、大如梅核云々」(出典:師郷記‐嘉吉元年(1441)六月六日)
    2. 「堅い胡桃の核(タネ)を割って」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部)
  4. 動物の発生するもととなるもの。精子など、生殖のもとになるもの。
    1. [初出の実例]「桑蚕の子(タネ)を以て帽絮の中に置きて」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  5. ( 胤 ) 血統。血すじ。また、それを伝えるものとしての子。子孫。系統。
    1. [初出の実例]「さうなしのぬし、尾張人(をはりうど)のたねにぞありける」(出典:枕草子(10C終)二四五)
  6. 物事の発生するもと。根源。原因。
    1. [初出の実例]「上野伊香保の沼に植ゑ子水葱(こなぎ)かく恋ひむとや多禰(タネ)求めけむ」(出典:万葉集(8C後)一四・三四一五)
    2. 「大和歌は人の心をたねとして、万の言の葉とぞなれりける」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  7. 物をつくる材料。製作の原料。また、料理の材料。汁の実。
    1. [初出の実例]「お吸物も、なんでございます。詰らない種でございますから、海苔でも焼いて上げませうか」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉一八)
  8. 手段を施す材料。後に備えてあらかじめつくり設けておくもの。仕掛け。また、裏に隠された事実やからくり
    1. [初出の実例]「吉三郎殿にあひ見る事の種(タネ)ともなりなん」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)四)
    2. 「他の者へ話してゐるのを私が傍で聴いて居たから事実(タネ)を知ってるのでございます」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉九三)
  9. 物事のよりどころとするもの。準拠する基(もとい)となるもの。たより。
    1. [初出の実例]「ありゃア、近松が戯作で種(タネ)のねへことだは」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉二)
    2. 「ソコで其写本と云ふことが又書生の生活の種子(タネ)になった」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉緒方の塾風)
  10. 元金。元手。
    1. [初出の実例]「利足どころか、悪く致すと、種(タネ)まで返した事はござりませぬ」(出典:歌舞伎・曾我菊梅念力弦(1818)三立)
  11. 質草。
    1. [初出の実例]「月も花も昔になした質の種 あきがら匂ふ藤つづらかも」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)二)

しゅ【種】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物のたね。種子。
  3. 種類。品類。たぐい。名詞に付いて接尾語的に用い、その名詞に含まれる種類の一つであることを表わしたり、いくつかの種類のものを数える単位としても用いる。
    1. [初出の実例]「東門院僧正来。瓶子一双両種持参」(出典:大乗院寺社雑事記‐文明四年(1472)正月八日)
    2. 「プレートーは〈略〉此種の逆上を神聖なる狂気と号したが」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八)
  4. 生まれ。血筋。
    1. [初出の実例]「善悪人をいはず貴賤種をえらばず」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. [その他の文献]〔史記‐陳渉世家〕
  5. 物事の根源。もと。また、物事の素材や人の素質など、そのものを成立させている重要な要素。
    1. [初出の実例]「法者法身。万善為種」(出典:勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章)
  6. 哲学で、より広い集合(類)の中に含まれ、種差によって他と識別される、より狭い集合。たとえば、「動物」という類に含まれ、「理性的」という種差で他の動物から識別される「人間」という集合。〔哲学字彙(1881)〕
    1. [初出の実例]「哲学上所謂(いはゆる)宇宙の観念とか、種(シュ)の意志とか」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)
  7. 生物群の分類学上の基本単位。属の下位で、他の個体または個体群からある特徴的な形態上の不連続性を示す個体群をいう。通常、一定の生息域、分布域をもち、個体間で生殖により、正常な子孫を生むことができる。種の下位の分類階級として、亜種・変種・品種などがある。生物学的種。リンネ種。〔植物小学(1881)〕
  8. 仏語。仏菩薩が衆生の心に植えつける種子で、仏法との縁が結ばれることをいう。下種。
    1. [初出の実例]「在世本門末法之初一同純円也、但彼脱此種也」(出典:日蓮遺文‐観心本尊抄(1273))
  9. 修行を三つの段階に分け、その初歩段階。
    1. [初出の実例]「諸道に種・熟・已達とて、三つの位あるべしとなり」(出典:ささめごと(1463‐64頃)下)
  10. 世阿彌の作劇法理論の一つ。「種・作・書」の三段階の第一で、素材の選択をいう。
    1. [初出の実例]「一、種とは、芸能の本説に、其態(そのわざ)をなす人体にして、舞歌の為大用なる事を知るべし」(出典:三道(1423))

くさ【種】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 物事を生ずるもと。それによって物事が成り立っているもの。たね。くさわい。
      1. [初出の実例]「ただ、さる、もののくさの少(すく)なきを、かごとにても、何かはと、思ふたまへ許して」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
      2. 「名に立てる音(ね)だに泣かれば憂き事は身のまだ消えぬ草にぞありける」(出典:歌仙本伊勢集(11C後))
    2. 種類。たぐい。品(しな)。くさわい。
      1. [初出の実例]「是の初の仏身は衆生の意多くの種(クサ)有るに随ふが故に」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二)
      2. 「唐土・高麗と尽くしたる舞ども、くさおほかり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
    3. 質として入れる品物。しちぐさ。
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 物の種類を数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「将(も)て来(き)たる物は、羽太(はふと)の玉(たま)一箇(ひとつ)〈略〉熊(くま)の神籬(ひもろき)一具(ひとそなへ)、并(あは)せて七(なな)(クサ)あり」(出典:日本書紀(720)垂仁三年三月(北野本訓))

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改訂新版 世界大百科事典 「種」の意味・わかりやすい解説

種 (しゅ)
species

生物の分類および存在の基本的な単位。種をどう定義するかは生物学にとっての根本的な課題であるが,分類学者,遺伝学者,生態学者それぞれの立場によってさまざまな考え方があり,現在のところひと言で種を定義することは不可能である。しかし厳密な定義をさておけば,実在としての種はかなり明確なものであり,実際の取扱いにおいては大きな混乱はない。ここでは主として分類学の立場から種について説明する。日常語で種類という場合には生物学的な分類の階級を考慮したものではないため,亜種や変種,ときには属や科などを指すこともある。

生物の種の認識は人間の歴史とともにはじまったといえる。有用,有害な生物を近似のものから区別することは必要な生活の知恵だったからである。アリストテレスは種をよく似た個体の集りで,それ以上細かく分けられないようなグループと定義し,エイドスeidosという語で表した。そして種の集りを属とし,個々の種について記載するときには,属の部分で共通の特徴を,種では個別の特徴を述べるようにした。その後中世までには,薬になる生物のリストなども作られていたが,17世紀の末になって,イギリスのレイJ.Rayがはじめてヨーロッパ産の動植物について,分類の単位としての種speciesの概念を定着させた。生物の分類はさらに下って18世紀のC.vonリンネによって確立されたが,彼の場合も,一つ一つの種について長いラテン語による記載を与えていた。ただ,よく似た種の集りである属genusの名前に,種の長い記載のうちから特徴的な1語を選んで欄外にそれを示す方法をとったので,属名とその1語(これを種小名epithet,specific nameという)を組み合わせた種名の表記法(のちに二命名法binominal nomenclatureといわれるようになった)がしだいに使われるようになった。これにより種名の表記法が簡潔となり,おりからの探検の時代とあいまって,世界中の生物相の研究が促進されることになった。世界中の生物を一律に列挙する作業はリンネに始まるが,このときから,分類の基準としての種がなんであるかが問題となってきた。リンネの場合は,主として形態的な表現形質によって種差を識別しているが,このような種を後にリンネ種というようになった。リンネは種は不変のものと考えたとされているが,晩年には雑種に興味をもつなど,種の可変性の問題にも関心を寄せていた。

 19世紀に入ってからは,生物学の各分野で知見が増え,形態だけで識別されていた種差の本質がなんであるかが問題にされるようになった。19世紀末になって,ジョルダンA.Jordanはヒメナズナを栽培して変異を調べ,ただ一つのリンネ種から200以上ものタイプが分離されてくることを明らかにした。ジョルダンはこのタイプこそ生物分類の基礎単位であると考え,後にこれはロッツィJ.D.Lotsyによってジョルダン種と呼ばれるようになった。ジョルダン種は現在いう純系に似たものであるが,これらの研究によって種に対する問題意識は深められたといえる。

 20世紀に入ってからは,種を生物学の立場で理解しようという試みが行われるようになった。チューレソンG.W.Turessonは生態種ecospeciesの変異型として生態型ecotypeやエケードecadの概念を提出し,ダンセールB.H.Danserは集団における交配と変異を基準としてコンミスクウムcommiscuumとコンビビウムconviviumを階級として区別しようと試みた。これは後にギルモアG.S.L.Gilmourらによってガモデームgamodemeの概念に整理されたものと似ている。このようにして,分類学の基本単位である種が実体としてどういうものであるかが,遺伝学や生態学の方法の発展に合わせて追究されてきたが,種の実体については今でも分からないことが多い。現在,もっとも広く認められている生物学的な種の定義は,〈生殖的に他の集団から隔離され,その内部で互いに交雑可能な集団〉というものであるが,これとても交雑可能性については実証が不可能で,実際上は形質の経験的な識別によって種の判別が行われている状態である。

 種の研究は生物学にとっても最も重要な主題の一つであり,多方面から解析されているが,生物の歴史性は種の多様性に最も如実に表現されており,200万の種があれば,それらの種の成立の過程にはそれと同じだけの数の種分化が行われていたことになり,種の進化の法則性を見いだすのはたいへん困難な作業である。

種を基本的な単位として,分類群の階級は上下に連続する。種より下の階級に亜種subspecies,変種variety,品種formなどがあり,種より上には,系series,節section,属genus,族(連)tribeなどを設ける。種名は,その種が属している属名(名詞)に,種の性質を示す種小名(形容詞)をつけて,2語で表現する。動物学では,亜種の特徴を示す語を加えて3語で表現する三命名法trinominalを採用しており,亜種より下の階級については命名規約上の先取権などは認めていない。植物の場合は変種や品種についても命名規約で細かく定められているが,種以下の階級の学名については,階級を示した語の省略形と,その階級での特徴を示す語を種名に加えた三命名法をとることになっている。しかし,階級の定め方については客観的な基準は存在しないので,研究者によって取扱いの異なることはしばしばみられることである。

 命名の基準が客観化されないのは,種の生物学的な実体がはっきりしないためであり,種を規定するのがどのような遺伝情報であり,どのような機作によって種は生活環境に適応しているのかなどの問題については,ごく一部の種についてごく一部の断面が明らかにされているのみである。

種は個体の集りであり,個体はなんらかの形で集団として生活しているので,現実には一定の遺伝子プールをもった個体の集団が種を構成しているといえる。それらの集団を構成する個体のもつ表現形質が同一の類型を示すので,その形質を手がかりにして種が識別できるということである。しかし,まったく同じ形質をもった個体は二つとありえないので,種を構成する個体には多かれ少なかれ変異が認められることになる。種によっては,変異に波のみられるものがあり,それらが認識可能である場合,種内分類群を識別する。種内にみられる変異には,個体の生活環のうちで終わってしまう個体変異もあるが,遺伝子上の変動がみられる変異もある。この変異が集団のうちに蓄積されていき,ごくわずかでも適応的な性質を示すものであったら,急速に集団内で広がって新しい型を生じることになる。遺伝的な変異は突然変異を出発点としてはじまるが,安定している遺伝子群になんらかの変異が生じる場合,生活条件にとってマイナスとなることが圧倒的に多い。しかし,ごくまれに有用な変異が生じた場合には,それが新しい型の出発点となり,適応的な種をつくり出すことになると考えられる。

 鑑別的に認識するのは一定の構造をもった個体としての種であるが,生物は個体として生存するのと同時に,種としての実体をもった生活をしている。一定のまとまりをもった同種個体の集団は種個体群と呼ばれるが,種個体群は生物群集の一員として固有の生態的地位を占め,他の地域個体群と種々の生態的関係を結んでいる。また動物の種個体群のあいだでは,さまざまな社会行動によって個体群の維持がはかられている。

種の研究にはいろいろの側面に応じて多様な解析法がある。ただ,実在している種はすべて生活している実体であり,つねに進化し続けているものであるから,種の研究は静的に種の範囲を記述するものではなく,種分化の解析が目的になるべきものであり,そこでは種の構造的側面がいつでも機能的側面から眺められる必要がある。そのようにして明らかにされていく個々の種の実体を総合して,生物学における種とは何かが解明される。つねに分化しているものとしてみれば,種の階級と,その上位,あるいは下位の階級との差は連続的であり,截然とした区別の得られるものでないのはいうまでもないことである。

 たとえばゲンノショウコは独立の種としてGeranium thunbergii Sieb.et Zucc.と名付けられたが,ヒマラヤからタイ国北部にかけて分布しているG.nepalense Sweetとひじょうによく似ているため,両者を種の階級で区別することは不可能である。しかし,ヒマラヤ型と日本型は植物体全体の大きさや植物体のいろいろの部分にある腺毛の有無などに違いがみられ,分布域によってそれらの形質の差が比較的はっきりしているので,亜種の階級で区別されるようになった。両者は共通の種が,地域的に独立に分化をはじめたものと解釈されている。しかし,これは表現形質の差で認識されているだけで,実際両者にどのような差がみられるかについては,それ以上には解明されていない。

 種がどれくらいの時間で変化していくかについても,グループによってさまざまのようである。日本の植物相をつくっている植物の多くは第三紀のころにすでにあったもののようであるが,一方,高山,海浜,特殊岩石地帯などで特殊化している種のうちには比較的短期間に変化しているものもあるらしい。条件さえ熟せば,種分化は相当速く進行するもののようである。ただし,生物相の変遷は種の移動によって起こることが多いので,生物相が置き換わる時間と種の寿命とは全然別のものであることに注意しなければならない。

 自然環境に変化が生じると,種が生存する基盤を失い,絶滅していく。現在地球上から絶滅していく種は急速に増加しており,20世紀末には現生種の約20%が地球上から姿を消すだろうという試算もある。将来の地球人口を支えていくためには,今後ますます生物資源の有効な活用が望まれるのであるが,そのようなときに資源となる可能性を秘めた生物の種が,研究もされないまま次々に姿を消していくのは憂うべきことである。
執筆者:

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普及版 字通 「種」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] シュ・ショウ・チョウ
[字訓] たね・うえる・たぐい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は重(じゅう)。重は(ふくろ)の中にもののある形。種とは、中に新生の種を包蔵することをいう。〔説文〕七上に「先に(う)ゑて、後に孰(じゆく)(熟)するなり」とあり、おくての稲をいう。〔詩、大雅、生民〕「(ここ)に嘉種をす」とは、周の后稷(こうしよく)が嘉禾(かか)を与えられたとする伝承を歌うものである。穀種が字の原義。それより種樹・種芸・種類などの字となる。字はまたに作ることがある。

[訓義]
1. たね、草木のたね。
2. たねまく、うえる。
3. くさぐさのたね、たぐい、しゅるい、なかま、ともがら。
4. おくて、重(ちょうりく)。
5. 腫に通じ、はれる。
6. 鍾に通じ、あつまる。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕種子 日本紀私記に云ふ、水田種子、太奈毛乃(たなつもの)、陸田種子、波多介豆毛乃(はたけつもの)。種、太(たね)〔名義抄〕種 タネ・クサ・シク・カス・ワセ・シゲシ・トモガラ・ウウ/一種 オナジコト・ワセ・オクテ

[語系]
種diong、tjiongは声近く、(しゆ)は〔説文〕に「(う)うるなり」とあり、〔説文〕は種を晩熟の禾、を種樹の字とする。字形よりいえば、種が種芸・種樹の字である。鍾・(鐘)が同字とされたように、種・ものち同字とされたのであろう。

[熟語]
種火・種・種花・種・種戒・種牛・種魚・種恵・種芸・種戸・種穀・種菜・種作・種歯・種子・種祀・種蒔・種樹・種種・種植・種殖・種姓・種宗・種竹・種痘・種徳・種輩・種麦・種播・種別・種末・種薬・種落・種粒・種類・種
[下接語]
異種・移種・遺種・易種・下種・嘉種・改種・貴種・区種・後種・耕種・根種・栽種・菜種・雑種・実種・樹種・将種・植種・人種・接種・善種・多種・田種・同種・農種・播種・品種・糞種・分種・別種・変種・芳種・薬種・流種・竜種・良種

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「種」の意味・わかりやすい解説

種(種類)
しゅ
species

生物を分類する場合の基本単位であって、一般に種類とよばれるものがこれにあたる。生物の進化が認められるようになる以前は、種は不変であると信じられていたが、現在では種もまた変化することが知られている。

 種とは、個体間で交配が可能な一群の生物であって、ほかの同様な生物群とは生殖的に隔離されているもの、と定義してよいであろう。つまり、同種内の個体間では子孫ができるが、異種の個体間には子孫ができないということである。確かに、普通野外でみられる生物はそれぞれ形や色彩などに種の特徴を示しており、似通った種でも一定の違いがあって雑種を生じることがない。しかし、なかには明らかに異なる2種間に雑種を生じ、子孫を残すこともあって、種の判定はかならずしも容易ではない。多くの地方的な亜種に分化して、両極端の間では種間以上の相違が認められる種がある一方、外見的に区別が困難でも生殖的に隔離されている種もある。生物の種の学名は二名式で、種の属する属名(大文字で始まる)と種自身の小名(種小名)を並記したもので、そのあとに小名の命名者を記すのが通例である。

[中根猛彦]


種(種子)
たね

種子

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百科事典マイペディア 「種」の意味・わかりやすい解説

種【しゅ】

生物分類の基準単位。英語ではspecies。種の概念はリンネにより形態の不連続性を基礎として設定された(18世紀中ごろ)。その後進化論,遺伝法則の確立,生態学的見地の導入などによって少しずつ修正を加えられ,現在,最も広く受け入れられている定義では,相互に交配して生殖能力のある子孫をつくることができる自然集団で,しかも他の集団から生殖的に隔離されたものを指す。属genus,科family,目order,綱class,門phylum,divisionなど他の上位の分類単位と異なって,種は生物の生活単位としての実体をもち,生物群集や生態系の中で固有の役割を果たしている。種の記載には,分類学上の約束に従って,二名法(学名)が用いられる。種を細分する場合は亜種,変種,品種が用いられるが,これらの厳密な定義は困難である。
→関連項目マイヤー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「種」の意味・わかりやすい解説


しゅ
species

生物分類学上の基本的単位。この概念は C.リンネの考えた種のような生物の形態の不連続を基礎として成立したのであるが,生物学の進展に伴い,形態のみでなく,生殖的な融合の可能性や地理的分布の関係なども考慮にいれるように修正がなされてきている。種よりも上の分類単位は属で,今日一般に採用されている自然分類においては,二名法によって属名,種小名を与えることにより,その種の最小単位,したがって自然分類上の位置を示すように定めている。種は進化においても,C.ダーウィンの著作の表題『種の起原』が示すとおり考察の中心であるが,理論的にも実験的にも,いろいろ困難な問題をはらんでいる。

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栄養・生化学辞典 「種」の解説

 生物の分類の基本単位.形態を基礎とするリンネの種の概念をはじめとして,諸種の定義がされる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【種子】より

…種(たね)ともいう。人類の主食がコメやムギであることからも明らかなように,植物の種子は古来より動物や人間の生活に欠くことのできないものであった。…

【生物】より

…すなわち,自己と同じものを作って増殖していく。そして個体としては傷ついた部分を修復し,また増殖をとおして種を存続させていくなど,自己保存の機能をもっている。これもまた生物に固有の性質である。…

※「種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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