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由(ヨシ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

(読み)ヨシ

デジタル大辞泉 「由」の意味・読み・例文・類語

よし【由/因】

《動詞「寄す」の名詞化で、物事と関係づけていくことの意》
物事が起こった理由。わけ。また、いわれ。来歴。由緒ゆいしょ。「事の―を伝える」「―ありげな寺院
そうするための方法。手段。手だて。また、かこつける方法。口実。「知る―もない」「会う―もない」
物事の内容。事の趣旨。むね。「この―をお伝えください」
伝え聞いた事情。間接的に聞き知ったこと。「御病気の―承りました」
それらしく見せかけること。体裁をつくること。また、表面にあらわれたようす。体裁。格好。
「所々うちおぼめき、よく知らぬ―して」〈徒然・七三〉
風情。趣。また、教養
「きよげなる屋廊などつづけて、木立いと―あるは」〈・若紫〉
[類語]理由いわれゆえん曰く事由所由事情諸事情根拠意味原因故由ゆえよし事訳ことわけわけ合い訳柄わけがら子細

ゆ【由】[漢字項目]

[音](呉) ユウ(イウ)(漢) ユイ(慣) [訓]よし よる
学習漢字]3年
〈ユ〉
そこから出てくる。通ってくる。「由来経由
ある事柄の生じたわけ。いわれ。「由縁来由
〈ユウ〉
そこから出てくる。よる。「自由
わけ。いわれ。「因由いんゆう・いんゆ縁由事由理由
ユイ〉わけ。いわれ。「由緒
[名のり]ただ・ゆき・より

ゆう【由/油】[漢字項目]

〈由〉⇒
〈油〉⇒

ゆい【由】[漢字項目]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「由」の意味・読み・例文・類語

よし【由・因・縁】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「寄(よ)す」と同根で、物事に関係づけていくことの意 )
  2. 物事の起こった理由。由来。わけ。いわれ。
    1. [初出の実例]「故、猪手連の孫を娑婆連と曰ふ。其れ是の縁(ヨシ)なり」(出典:日本書紀(720)推古一一年二月(岩崎本平安中期訓))
  3. 物事の内容。事の趣旨。また、形式名詞のようにも用いる。こと。わけ。むね。儀。いきさつ。次第。
    1. [初出の実例]「願(こ)ふ、摩理勢を得(たまは)りて、其の所由(ヨシ)を推(かむか)へむと欲(おも)ふ」(出典:日本書紀(720)舒明即位前(北野本訓))
    2. 「鎌田の兵衛は、忠宗に向ひて酒をのみけるが、此のよしをききて」(出典:平治物語(1220頃か)中)
  4. 由緒ありげな家柄。また、その人たちの持つ美的感覚。情趣、風流、おくゆかしさ。→由有り
    1. [初出の実例]「円融院の御世より参りたりける人の、いといみじく神さび、古めいたるけはひの、いとよし深く」(出典:更級日記(1059頃))
  5. 関係があること。よすが。たよりどころ。つて。ゆかり。縁。
    1. [初出の実例]「早河の瀬にゐる鳥の縁(よし)無み思ひてありし吾が児はもあれ」(出典:万葉集(8C後)四・七六一)
  6. かかわりを持つための方法。手段。てだて。すべ。→よしない(由無)
    1. [初出の実例]「恋ふれども 逢ふ因(よし)を無み 大鳥の 羽易(はがひ)の山に 吾が恋ふる 妹はいますと 人の云へば」(出典:万葉集(8C後)二・二一〇)
  7. それを口実にすること。それをきっかけとして、物事を行なうこと。口実。きっかけ。機縁。機会。
    1. [初出の実例]「妹が門行き過ぎかねつひさかたの雨も降らぬか其を因(よし)にせむ」(出典:万葉集(8C後)一一・二六八五)
    2. 「其の再会の縁由(ヨシ)となれるが為めに病其ものの悲む可きをも喜ばんずるまで」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉中)
  8. それらしく見せること。そのようなそぶりを見せること。実質を伴わない、形ばかりのこと。しるし。かた。ふり。
    1. [初出の実例]「当座の恥辱をのがれむが為に、刀を帯する由あらはすといへども」(出典:平家物語(13C前)一)
  9. 伝え聞いた事柄であることを示すことば。…とのこと。
    1. [初出の実例]「むかしあまた有ける人の中に、虎の物語せしに、とらに追はれたる人ありて、独色を変じたるよし」(出典:俳諧・曠野(1689)員外)

由の語誌

→「ゆえ(故)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「由」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ユ・ユウ(イウ)・ヨウ(エウ)
[字訓] よる・よし・もちいる

[字形] 象形
初形は(ゆう)。(ひさご)の類で、実が熟して中が油化したものの形。油の初文とみてよい。〔説文〕にみえないが、〔説文〕に由声の字十九字を収めているから、字を脱したものであろう。いまの訓義はみな仮借。〔詩、小雅、小弁(せうはん)〕「君子易(かろかろ)しく言を由(もち)ふること無(なか)れ」は用・庸の仮借。〔論語、為政〕「其の由るる」は(よう)の字義。それより由来・由縁の意となる。

[訓義]
1. あぶら、油の初文。
2. と通じ、よる、その由るところ、経歴する、よし。
3. 用・庸と通じ、もちいる。
4. 猶と通じ、「なほ~のごとし」とよむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕由 ヨル・ヨシ・モチヰル・ナホシ・ゴトク・ユク・シタガフ・ミチ・ヰル・ホシイママ・ヨロシ/由 ユヱ 〔字鏡〕由 サダム・ヨロシ・ゴトシ・ムカシ・ナホシ・タガフ・イハク・シゲシ・モトム・セラル・モチヰル・ホシイママ・ヰル・ヨル・ヨリ・ミナ・ナル・ヨシ・ユク・ミチ・ゴトク・シタガフ・ハジメテ

[声系]
〔説文〕に由声として(迪)・笛・宙・冑・岫・油・軸など十九字を収める。油は由の繁文で、その音を本音とすべく、笛(てき)・宙(ちゆう)・軸(じく)はその転音であろう。笛・宙は中の空虚なるものの意をとり、軸はそれによって回転するものの意。みな由の声義をとる字である。

[語系]
由・油・jiuは同声。〔段注〕十二下を「以切」とし、通用する。融jium、鎔jiongは声義近く、融は鬲釜(れきふ)中のものが腐敗融解して油状となり、虫を生ずる意、鎔は金属質のものが高温で鎔解することをいう。

[熟語]
由緒由委由繹由衍・由由獄由趣由迪由裕・由由由予・由歴・由縁由敖・由旬・由状・由中・由来
[下接語]
夷由因由・遠由・縁由・解由・経由・原由・自由・事由・準由・遵由・所由・蹤由・端由・憑由・冶由・来由・理由

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ユリ】より

…日本音楽における装飾的技法,あるいは,その旋律の称。揺,由里,淘とも書く。声にも楽器にも存在する。…

※「由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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