デジタル大辞泉
「最低賃金」の意味・読み・例文・類語
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最低賃金
パートやアルバイトなど非正規雇用者も含め全労働者に適用される賃金(時給)の下限額。国と地方の審議会を経て毎年度、改定される。下回った場合、法律により無効とされ、企業には罰金が科される。改定の検討では労働者の生計費、賃金、企業側の支払い能力の3要素を考慮。春闘の妥結状況や物価指数といった統計データも参考にする。
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さいてい‐ちんぎん【最低賃金】
- 〘 名詞 〙 最低賃金法によって保障された最低額の賃金。最低賃金審議会の調査審議にもとづいてきめるのが通例。
- [初出の実例]「最低賃銀の制定は勿論海員保険法の改正、例へば失業中でも取立てられる毎月の保険料」(出典:ガトフ・フセグダア(1928)〈岩藤雪夫〉二)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
知恵蔵
「最低賃金」の解説
最低賃金
最低賃金法(1959年公布)に基づき、労働者に保障された賃金の最低額。労働条件を改善し、労働者の生活の安定や労働力の質的向上を図ることなどが目的。都道府県ごとに定められる地域別最低賃金と、特定の産業について設定される特定最低賃金の2種類がある。
地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、パートタイマーや学生アルバイト、外国人労働者などを含めた全ての労働者に適用される。派遣労働者には派遣先の最低賃金が適用されるため、例えば派遣元の企業が埼玉県にあっても、東京都にある企業に派遣されて働く場合には、東京都の最低賃金が適用される。最低賃金を支払わない場合には、罰則が定められている。
最低賃金額は、賃金や物価などの動向に応じ、ほぼ毎年改定されている。地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会から示される引き上げ額の目安を参考に、地域の実情を踏まえて地方最低賃金審議会が審議・答申し、異議申し出などの手続きを経て決定される。また、最低賃金による収入が生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」がしばしば起きており、2007年にはこの解消を目的として法改正が行われた。
15年度の改定では、地域別最低賃金の全国加重平均額は798円となり、引き上げ額は18円と単純比較できる02年度以降で最大の上げ幅となった。最高額は東京都の907円、最低額は鳥取など4県の693円で、引き上げ額は20円(愛知県・大阪府)~16円(24道県)となっており、都市と地方で大きな開きがある。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
最低賃金
国などにより定められた、使用者が労働者に支払わなくてはならない最低額の賃金のこと。日本においては、最低賃金法(昭和34年4月15日法律第137号)に基づき国が定めた賃金の最低額のこと。最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種がある。地域別最低賃金は、産業や職種に関わりなく各都道府県ごとに1件ずつ定められている。特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも金額水準を高くする必要があると認められた特定の産業について設定されているもので、全国で242件定められている(2013年4月12日現在)。なお、この2種が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金以上を支払わなければならない。
最低賃金
雇用者が従業員に最低限支払わなければならない賃金水準。都道府県ごとに定められ、時給で示される。地域による生計費の違いなども考慮されるため、物価が高い大都市圏では最低賃金も高く設定される。最低賃金の引き上げが行われた2014年度の最低賃金は平均780円で、最も高い東京で888円、最も低い鳥取、高知など7県で677円となっている。これにより、最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の受給額を下回る逆転現象が全都道府県で解消した。
出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報
最低賃金
・Minimum Wage
・最低賃金には、労働条件や就業規則の上で定められる、企業レベルのものと、法律(最低賃金法)によって定められているものとがある。
・最低賃金法は労働者保護の観点から、国が賃金の最低額を定め、それを下回る賃金を支払わないよう定めたもので、労働者全てに適用される。
・地域別最低賃金と産業別最低賃金があり、高い方の金額が最低賃金として適用される。
出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報
最低賃金
最低賃金は、最低賃金法に基づいて国が定めた最低限度の賃金です。最低賃金制度により、使用者は労働者に対して最低賃金以上を支払わなければならないと定められています。
万が一、使用者と労働者の間で最低賃金以下の賃金が合意・設定された場合でも、法的に無効となります。最低賃金額と同額の契約とみなされ、使用者はその差額を支払うことになります。
出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の最低賃金の言及
【生活賃金】より
…最低賃金または賃金の算定にあたって,その基準となる原則または考え方の一つであって,通例もう二つの基準とされる〈支払能力〉の原則,〈公正比較〉の原則(公正賃金)と区別されている。すなわち,これ以下に引き下げられない生活の必要を賃金決定の第一義的な基準とするもので,この上に積み上げられる生活の必要を否定するものではない。…
【賃金】より
…労働協約や就業規則等によって支給条件が明示されていれば,退職金は賃金とされている。
[賃金額と形態]
賃金額の保障としては出来高払制の保障給と最低賃金がある。出来高払制その他の請負制で使用する労働者について,出来高に関係なく,労働時間に応じて一定額の賃金を保障しなければならない(労働基準法27条)。…
※「最低賃金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」