海底の堆積物を採集する器具。採泥は海底土質や化学組成の分析,生物や微生物の採集,岩石の残留磁気の計測などのために行う。用途に応じて多種類のものが開発されている。その原理から大別すると,(1)すき(鋤)で掘りおこして網に集めるドレッジ,(2)海底に落下させて泥をつかみとるグラブ,(3)海底に突きさすコアラーの3者に分けられる。いずれも観測船からワイヤでつないだ採泥器を下ろし,試料採集後にウィンチで船に引き上げる。ドレッジは曳航するので線上の,グラブとコアラーは停船して落下させるので点の資料を採集できる。ドレッジとグラブで採集できるのは表面の堆積物であるが,コアラーを用いると海底下約10mまでの堆積物を層状に採集できる。各採泥器とも確実に資料を得るための工夫がなされたさまざまの型のものがあり,それぞれ考案者の名前を付して呼ばれることが多い。船から自由落下させ,試料採集後に自動的に浮上させるようにしたものも開発されている。このほか海底堆積物の試料を得るためには,潜水調査船で観察しながら採集したり,特殊なドリルで船上から掘削し海底下数kmまでの試料を採集する方法(グロマー・チャレンジャー号など)などがある。
執筆者:平 啓介
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海や湖などの底質を採取するための器械。底質が砂や泥の場合には着底と同時に、バケツがかみ合って底質をつかみ取るグラブも用いられるが、パイプを打ち込んで、底質の上下関係を乱さないで採取するコアラーcorer(柱状採泥器)のほうが役にたつ。底質が岩盤や礫(れき)のときには、引き回してすくい込むか、岩石の突起部をかき取るドレッジャーdredgerが使われているが、本格的に採取するにはボーリングによらざるをえない。
[安井 正]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[採泥法]
海底の堆積物や岩石を採ることを採泥という。採泥器には基本的に3型があり,いずれも船上より鋼鉄ワイヤの先端につけて海底におろす。ドレッジャー(曳航型)は鉄製の箱あるいは円筒状で,前後の面は開いており,後面に鉄鎖の網がついているのが普通である。…
※「採泥器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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