日常用語では寄付をする行為をいうが、法律用語では、2006年(平成18)の民法改正(2008年12月1日施行)前においては、(1)財団法人の設立行為と、(2)書面に記載された財団法人の根本規則を意味していた。法令上は「寄附行為」と表記される。
改正後の民法と新たに制定された法人関係法(一般法人法、公益法人認定法など)の施行(2008年12月1日)後は、一般法人については、(1)は設立者による「財産の拠出」とよばれるようになり(一般法人法153条1項5号、157条~158条)、(2)は社団法人と同様に「定款」とよばれるようになった(一般法人法152条)。
なお、一般法人ではない法人については、医療法による医療法人のうちの財団型医療法人や私立学校法による学校法人に関して「寄附行為」が用いられるなど、従来どおりの概念が用いられている。
[淡路剛久]
公共事業などに金銭や物を贈ることを寄付というが,寄付行為という場合は法律用語で,財団法人を設立する行為をいう。財団法人を設立するためには,設立者が財団設立の意思をもって一定の財産を提供し,同時にその財団法人の根本規則を定めることを要し,これを寄付行為と呼ぶ。この寄付行為は,生前にももちろん行うことができるが,遺言でも行うことができる(民法41,42条)。財団法人の設立は,公益事業を目的とする場合にのみ許されるから,寄付行為は公益目的のためのみに許されるということになる。寄付行為という用語は,また,財団法人の根本規則をも指す。これは社団法人の定款に相当するもので,目的,名称,事務所,資産に関する規定,理事の任免に関する規定等を必ず記載しなければならないが,財団法人は社員の存在を前提としていないため,社員に関する規定をおかない点で定款と異なる(39条)。
執筆者:鍛冶 良堅
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…設立にあたっては,まず,設立者が財団法人設立の意思をもって一定の財産を出捐(しゆつえん)し,同時にその財団法人の根本規則を定めなければならない(39条)。これを寄付行為という。財団法人の根本規則を定めた書面も寄付行為といわれるが(狭義の寄付行為),これには最小限,目的,名称,事務所,資産に関する規定,理事の任免に関する規定などが定められていなければならない(39条)。…
※「寄付行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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