生没年不詳。中国、宋(そう)代の詩論家。字(あざな)は儀卿(ぎけい)。号は滄浪逋客(そうろうほかく)。邵武(しょうぶ)(福建省)の人。生涯仕官せず、各地に遊び、隠士たちと交わって終わった。その学問は陸象山(りくしょうざん)の系列にあると思われる。彼の著『滄浪詩話』は、随筆的、寸評的な宋の詩話のなかで、唯一の体系的な詩論書である。彼は「詩に別材有り、書に関するにあらず、詩に別趣有り、理に関するにあらず」と、宋の詩が学識と説理に傾くのを退け、美的感興、情的興趣を詩の第一義として、その理想を唐の杜甫(とほ)と李白(りはく)においた。詩の根源的把握を妙悟という禅的感得に求める彼の興趣説は、清(しん)の王士禎(おうしてい)の神韻説の源流となるものである。詩集に『滄浪吟』があり、詩100余編を残している。そのなかに紹定年間(1228~33)に異民族が邵武を侵したとき、軍政のあり方に憤慨してつくった「庚寅(こういん)の乱を紀(しる)す」の詩がみえる。
[横山伊勢雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…中国,南宋の厳羽の詩学の書。1230年ごろの著。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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