“ネット発”の看板を掲げるアーティストはもはや珍しくない。
チャートやプレイリストなどでは、むしろインターネットとは無縁のアーティストを見つける方が困難なほど、音楽シーンとインターネットの境が消失した現代。“ポップス”というジャンルもまたその枠が崩壊し、混沌ともいえる多様化の一途を辿っている。
音楽ユニット・harhaも、トラックメイカー・ハルハさんが、インターネット上で偶然出会ったシンガー・ヨナベさんと共に結成したという出自を持つ、まごうことなき“ネット発”アーティストだ。
ハルハさんのつくる情緒豊かなトラックに、透明感と揺らぎを併せ持つヨナベさんの歌声が重なり、共鳴を生み出す。代表曲「人生オーバー」は、軽快な曲調とペシミスティックなリリックの対比が面白く、多くの歌い手がカバーしている。
そんなharhaが掲げるコンセプトもまた“ポップス”である。
昨日までの一般人が、一夜にしてスターとなれる現代。多種多様という言葉では言い表せないほどの多彩な才を持つアーティストたちが覇を競い合う中、あえて“ポップス”を志すことにどんな意義を見出しているのか。
ネット発アーティストの御多分に漏れず、そのパーソナリティがベールに覆われてきたharhaの2人に、活動2周年を迎える今インタビューを実施。
自らが紡いできた音楽について、そして今この世に放つ“ポップス”の定義を聞く。
取材・文:オグマフミヤ 編集:都築陵佑 インタビュー写真:鈴木一平
目次
harha結成秘話 YouTubeにカラオケ動画を投稿した驚愕の理由
──よろしくお願いします。まず、お2人が音楽活動をはじめたキッカケは何だったのでしょうか?
ハルハ 小学生のころからロックバンドのRADWIMPSさんが好きで。中学生のとき、地元の広島グリーンアリーナで開催されたライブを観に行ったんです。
生のライブがはじめてだったのもあるんですけど、ほんっっっとに大きな衝撃を受けました。
ハルハ ライブだと、曲のアレンジが変わることがあるじゃないですか。CDに入ってるバージョンと違ってイントロがすごい長くて、徐々にボルテージが上がっていくような。あの演出にめちゃくちゃ心が震えて、「僕もやりたい」ってなったのが最初のきっかけです。
自宅のホワイトボードに叶えたい目標が書いてあるんですが、一番上は「広島グリーンアリーナに立つ」なんです。数年前に書いたのでもう消えなくなっちゃったんですが(笑)。その目標に向かって、ずっと活動しています。
ヨナベ 私はハルハくんほど熱いエピソードではないんですが、高校生のころ家のTVでYouTubeを適当に再生していたら、ヨルシカさんの「言って。」のMVが流れてきたんです。
それまで音楽にハマることがなかったんですが「これは何!?」って正座しながら観ちゃって。そのとき、生まれて初めて音楽に触れた気持ちになったというか、初めて自分の中にメロディが入ってくるって感覚を味わったんです。
ヨナベ そこからヨルシカさんを好きになって。曲をぜんぶ聴いたり、好きな曲を上手く歌えるようになったりして。カラオケで意識的に歌を練習するようになりました。
──音楽ユニット・harhaの結成にあたってはどのような経緯があったのでしょう?
ハルハ 音楽ユニットをはじめるなら、女性ボーカルと組んで活動したいと考えていて。YouTubeやSNSなどでいろんな人の歌を聴いていたときに見つけたのがヨナベさんでした。
当時、ヨナベさんはカラオケで歌っている動画を直撮りして、そのままYouTubeで公開していたんです。そういった人たちの中でもぶっちぎりで歌が上手かったんですよ。
──ヨナベさんはなぜ動画に投稿しはじめたのでしょうか?
ヨナベ それは……ちょっと恥ずかしいんですが……(笑)。自分が歌っている動画を見返せるようにスマホに保存していたんですけど、容量がいっぱいになっちゃうのが嫌だったんですよね。
それで、YouTubeにアップロードしたら自分の携帯からは消せるし、ループ再生もできるし、管理とか復習とかしやすいなと思って。
──……!? 非公開設定などはしないままですか?
ヨナベ 設定の仕方もわかってなかったというか、そもそも他の人に見られてるとも思ってなかったんです(笑)。
ハルハ ビックリですよね(笑)。YouTubeに動画を上げている人の動機で初めて聞きましたよ(笑)。そんな状態でも、ヨナベさんは界隈の中では結構有名だったんです。確か1000人くらいはチャンネル登録者がいて。
ヨナベ そんなにいたっけ?
ハルハ それも覚えてないみたいです(笑)。でも、DMが来てもほとんど返してなかったんだよね?
ヨナベ 返していなかったっていうか、連絡が来てるのもわかってなかったんです(笑)。たまたま見たら、すごい丁寧な文章が送られてきてたので、これは返さないとって思ったんです。
ハルハ 本当にタイミングが良かったみたいです。これで僕がラフに「一緒に曲やりません?」とか送ってたら無視されてたでしょうからね(笑)。
ハルハ 何より、僕がヨナベさんに心惹かれたのは、アカペラでもすごい上手だったことなんです。
インターネット上の歌ってみたって大体ミックスされているので、生歌の実力を確認するのが難しいんですけど、ヨナベさんはアカペラでも動画を上げていて。アカペラで上手ってことは、本当に歌が上手いんだなって。
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イベント情報
harha 1st ONE-MAN LIVE「ミライサイライ」
- 開催日時
- 2025年3月30日(日)
- 開場
- 18:30 / 開演 19:00
- 会場
- 【東京】恵比寿 CreAto
- 主催
- SDR
- 制作
- interblend inc.
関連リンク
ハルハ
音楽クリエイター・ラッパー
Rap / 作詞 / 作曲 / 編曲
ヒップホップ&MCバトルをバックグラウンドに、感情的で繊細な音楽を特徴とする。
harha結成後、他アーティストへの楽曲提供など音楽プロデューサーとしても活動
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