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BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TM NETWORK > TM NETWORKの作品 > BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)
「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」
TM NETWORKシングル
初出アルバム『CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜
リリース
規格
ジャンル
時間
レーベル EPIC・ソニー
作詞 小室みつ子
作曲 小室哲哉
プロデュース 小室哲哉
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 4位(オリコン
  • TM NETWORK シングル 年表
    RESISTANCE
    (1988年)
    BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)
    (1988年)
    SEVEN DAYS WAR
    (1988年)
    テンプレートを表示

    BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」(ビヨンド・ザ・タイム メビウスのそらをこえて)はTM NETWORKの13枚目のシングル。1988年3月5日に発売された。

    本楽曲からEP(7インチレコード)と8cmシングルCDが同時発売されるようになるが、後述の通りEP盤とシングルCD盤で収録されているバージョンが異なる。

    解説

    [編集]

    アニメ映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の主題歌[1]。レコーディングは当時行っていたツアー「Kiss Japan TM NETWORK Tour '87〜'88」の最中に行われ、1987年9月に完成し[2]、ツアー終了直後にリリースされた。

    バンダイ側から主題歌制作のオファーを小室に出したことから始まり、小室は監督の富野由悠季と最低でも1時間は「『機動戦士ガンダム』とは」について話し合い、コンセプトを共有し合った[3]。その際に富野から映画本編の絵コンテ・富野によるコンセプトの叩き台としての歌詞を見せられて、そこからイメージを膨らませていった[4][5]

    楽曲の主なメロディは20分で出来上がったが[5]、小室は「アムロ・レイシャア・アズナブル、二人のいろんな感情を『陽と陰』みたいな形でイメージして、曲の中で明るい部分・暗い部分を共存させるような曲にしよう」[3]「富野監督が大事にしていた『日本の浪花節』みたいなグッとくる盛り上がりを意識した演出を、曲の中で如何に作っていくか」[5]「人類全体の夢=宇宙的な広がりのあるもの」[2]というテーマがぼやけて、掴みきれずにいた状態の中でバックトラックを今まで以上に丁寧に作り上げた[2]。特にこだわったのは音色で、人間が演奏している生の弦楽器を全面に採用し、且つシンセサイザーに打ち込んだ音色の境界のギリギリまでお互いに出し切り、時間をかけて吟味した上で、両方の良さを混ぜ合わせる様にアレンジを仕上げた[5]

    富野は小室の作風・個性が如何なるものかを全く知らずに小室に注文を出していた。制作開始当初の小室は「『スター・ウォーズシリーズ』の『メイン・テーマ』『ベンの死とTIE戦闘機の攻撃』」をイメージしていたが、富野は生の弦楽器の音にインパクトを感じ、シンセサイザーの音は重要視していなかったため、デモテープ→リズム→シンセサイザーのダビング等幾つもの段階で富野のチェックが入り、中々納得してもらえなかった。小室はひたすら出来上がった映像に歩み寄り、過去のヴァイオリンの経験・生音を尊重したアレンジ・クラシックの知識で応えていき、ミキシングが終わる頃には富野は最終的な出来上がりに納得した[4]

    小室は「TMの作品ではあるが、『ガンダム』という全く違うビジュアルと融合した、いつもより凄く重い感じのする曲」「本当はサウンドトラックを最初から最後までやりたかった。それこそ、オープニングテーマから劇伴へ、そしてエンディングまで。そうしないと見えにくいものがあって。だから、この楽曲だけでも最初の第1音には特に気を使って、時間もかけた」と振り返っている[4]

    楽曲のタイトルは本作が発売された後に始まるライブツアー「KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX TM NETWORK ARENA TOUR」を関連付けることにより、「TMにとって次の新しいテーマに進むための、1つの区切りでありステップ」という意味を込めた[5]

    作詞の小室みつ子は、関係者から貰った「機動戦士ガンダム」のビデオを見ながら、「人間は罪を繰り返していく」「結局人間は『自由と平和』という大義名分より、『個人的に愛する誰か』のために戦う。そして、未来を決めるのも意志の問題」というテーマを構築した[6]。後年、このことを振り返って「ガンダムに対する自分の感想文の様なもの」と述べている[7]

    小室はボーカルのメロディはキーを下げ目にして、宇都宮に声色の雰囲気を変えるように指示した[2]

    本楽曲は「逆襲のシャア」がゲーム作品などに登場する際にはBGMとして起用されることがある(「スーパーロボット大戦シリーズ」や「ガンダム無双シリーズ」など)。

    2021年12月21日に日本経済新聞社内のメディアビジネスイベント・企画ユニットが運営する「日経宇宙プロジェクト」において、有人宇宙システム株式会社(JAMSS)が提供する国際宇宙ステーション(ISS)を利用した高品質タンパク質結晶生成サービス「Kirara」を利用し、宇宙利用促進のため、宇宙ビジネスを応援する様々なデータを搭載したSDメモリーカードをISSへ届ける取り組みの一環として、本作の楽曲データ等を納めたSDメモリーカードが、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた[8]。2022年1月25日に地球に帰還し、2022年2月25日に国際宇宙ステーション(ISS)の滞在証明書を添えられて日本経済新聞社に返却された[9]

    批評

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    機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のプロデューサーを務めた内田健二は「とても現代的なフィーリングを持っていて、覚えやすい素敵な楽曲に満足しています」と評している[10]

    Shinnosukeは「みっこさん(小室みつ子)の歌詞も含めてとにかくすべてが映像的なんですよ!且つ、派手じゃないのにカッコイイ。切なげなギターから入るのが曲への没入感を高めていて、細かく入ってくるシーケンスやストリングス等に宇宙を感じましたね。ベースラインも神すぎます!『Get Wild』と共に、ある種のアニメのエンディングテーマの雛形じゃないですか」と称賛している[11]

    ヴァージョン

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    8cmCDシングルヴァージョンはアウトロがカットアウトになっているが、対してEP収録ヴァージョンはアウトロにフェードアウトが施され、収録時間が短くなっている。ベスト・アルバムでは8cmCDシングルヴァージョンが採用されることは少なく『TIME CAPSULE all the singles』、『TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-』と、小室楽曲のコンピレーション・アルバムTK BOX 〜TETSUYA KOMURO HIT HISTORY〜』、『TETSUYA KOMURO ARCHIVES"T"』のみ収録されている。

    オリジナル・アルバムCAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』は「EXPANDED VERSION」としてアルバムのミックスを手がけたスティーヴ・ナイがリミックスしたヴァージョンを収録。当ヴァージョンもアウトロにフェードアウトが施されているがEP収録ヴァージョンと比較すると、フェードアウト・タイミングが微妙に異なる。収録時間はEP収録ヴァージョンより長く、8cmCDシングルヴァージョンより短い。

    2014年6月11日発売「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア オリジナル・サウンドトラック 完全版」初回生産限定盤Disc3には、「テーマVocal BEYOND THE TIME MOVIE ENDING EDIT」として、映画のエンディングで使用されたヴァージョンを収録[12]。アウトロはカットアウトで収録時間は3分台と短い作品になっている。

    再発盤

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    2019年12月4日、クリアパープルヴァイナル仕様の7インチアナログレコードで、完全生産限定盤としてリリースされた[13]。収録されているのは8cmCDシングルヴァージョンとなっている。

    収録曲

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    7インチレコード
    8cmCDシングル
    全作詞: 小室みつ子、全作曲・編曲: 小室哲哉
    #タイトル作詞作曲・編曲時間
    1.「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」小室みつ子小室哲哉
    2.「BEYOND THE TIME」(Instrumental Mix)小室みつ子小室哲哉
    合計時間:

    収録アルバム

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    カバー

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    2008年
    • 中村千絵 - オムニバスアルバム『百歌声爛-女性声優編-2』のメドレー曲の内の1曲でカバー。
    2009年
    • Starving Trancer feat.hideki - オムニバスアルバム『EXIT TRANCE PRESENTS SPEED アニメトランス ビター』でカバー。2010年の同シリーズの『アニメトランス BEST THE MOVIE 2』にも収録。
    2016年

    2019年

    • LUNA SEA - 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のテレビシリーズのOP主題歌にてカバー。LUNA SEA及びX JAPANのギタリストSUGIZOがOP/ED曲のプロデュースにより放映、同年9月6日より配信リリース開始[14]。同年12月18日に発売されたアルバム『CROSS』の初回限定盤Bに付属するDISC 2に音源が収録されている。
    • 森口博子 - ガンダム楽曲のカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS』にてカバー。2022年には『GUNDAM SONG COVERS 3』にてTM NETWORKとのコラボレーションによる再カバーも行う。

    2023年

    • 玉置成実 - パチンコ「Pフィーバー機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」主題歌。6月20日より配信リリース開始。

    2024年

    脚注

    [編集]
    1. ^ Staff & Cast”. 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』公式サイト. 2021年1月17日閲覧。
    2. ^ a b c d 立東社刊 「PLUM」1988年4月号 Vol.29「TM NETWORK 最新インタビュー 夢は宇宙に」pp.9-12より。
    3. ^ a b 小室哲哉、富野監督と1時間『ガンダム』話 『逆襲のシャア』秘話で「ガンダムとは…」学ぶ”. ORICON NEWS (2023年9月15日). 2023年9月15日閲覧。
    4. ^ a b c ソニー・マガジンズ刊「ギターブック」1988年3月号「Beyond The Time 時間(とき)を超えて TETSUYA KOMURO SPECIAL INTERVIEW」pp.110-111より。
    5. ^ a b c d e 角川書店刊「月刊ニュータイプ」1988年3月号「NEWS & NEWTYPE」p.144より。
    6. ^ CAROL 歌詞”. miccos.com - mitsuko komuro 小室みつ子 personal site -. 2020年12月8日閲覧。
    7. ^ 扶桑社刊「SIMPLE DREAMS」小室みつ子著p.204より。
    8. ^ TM NETWORKの楽曲データが国際宇宙ステーションへ”. THE FIRST TIMES (2021年12月15日). 2022年2月3日閲覧。
    9. ^ 日本経済新聞社様に宇宙から帰還したSDカードを返還しました。”. JAMSS(有人宇宙システム株式会社) (2022年3月4日). 2022年5月12日閲覧。
    10. ^ 徳間書店刊「アニメージュ」1987年12月号「『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』 永遠の淵を見るか、アムロとシャア」p.63より。
    11. ^ TM NETWORKデビュー40周年スターティングプロダクツの聴きどころを、Shinnosukeとふくりゅうがディープに解説”. 音楽ナタリー (2023年6月9日). 2023年11月18日閲覧。
    12. ^ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア サウンドトラック”. OTONANO. ソニー・ミュージックダイレクト. 2020年12月8日閲覧。
    13. ^ TM NETWORK『BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)』『SEVEN DAYS WAR』大ヒットシングル2タイトルがクリアカラーヴァイナル仕様の7インチアナログレコードで復活!映画『ぼくらの七日間戦争』のオリジナル・サウンド・トラックも2019年最新リマスタリング・Blu-spec CD2仕様にて再リリース!”. OTONANO. ソニー・ミュージックダイレクト. 2020年12月8日閲覧。
    14. ^ “LUNA SEAによるTM「BEYOND THE TIME」カバー、ガンダムOP配信リリース”. ナタリー. (2019年9月5日). https://natalie.mu/music/news/346402 2019年9月7日閲覧。 

    外部リンク

    [編集]