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テトラクロリド白金(II)酸カリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テトラクロリド白金(II)酸カリウム
識別情報
CAS登録番号 10025-99-7
特性
化学式 K2PtCl4
モル質量 415.085 g/mol
外観 赤褐色結晶
密度 3.382 g/cm3
融点

500 °C(分解)

への溶解度 0.93 g/cm3(16 °C
構造
結晶構造 正方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo -1054.4 kJ mol-1[1]
標準定圧モル比熱, Cpo 180.3 J mol-1K-1
危険性
EU分類 有毒 (T)
刺激性 (Xi)
EU Index 078-004-00-7
NFPA 704
0
3
0
Rフレーズ R25 R38 R41 R42/43
Sフレーズ S2 S22 S26 S36/37/39 S45
引火点 不燃性
関連する物質
関連する ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

テトラクロリド白金(II)酸カリウム(テトラクロリドはっきん に さんカリウム、: potassium tetrachloroplatinate(II))は、化学式 K2[PtCl4] で表される白金(II)のクロリド錯体であり無機化合物の一種である。数多くの白金(II)錯体の合成出発物質として用いられる。

製法

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ヘキサクロリド白金(IV)酸カリウムに水とシュウ酸カリウムを加え加熱し反応させた後、塩酸を加えると析出する[2]

また二塩化ヒドラジニウムによって還元しても得られる。

性質

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赤褐色の柱状結晶で水に溶解するが、エタノールにはほとんど不溶である。エタノールと長時間接触させると光反応により還元されて黒色の白金微粉末を生成する。

反磁性であり、結晶の磁化率は室温で χg = −3.50 × 10-7cm3g-1 である[3]

アンモニアと反応させると順次配位子置換反応が起き、シスプラチンなどアンミン錯体を生成する。

結晶構造

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固体は正方晶系に属し、その格子定数は a = 6.99 Å、c = 4.13 Å、テトラクロリド白金(II)酸イオン [PtCl4]2-正方形盤状で Pt-Cl 結合長は2.33 Åである[4]。白金原子の電子配置は 5d8 の低スピン型で、dsp2 混成軌道をとる。

また結晶中でテトラクロリド白金(II)酸イオン平面が重なる、この平面と垂直な方向(c軸)の鎖状構造があり、Pt-Pt 間距離は4.13 Åである[5]

テトラクロリド白金(II)酸カリウムの結晶構造
テトラクロリド白金(II)酸カリウムの結晶構造

出典

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  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成III』 丸善、1977年
  3. ^ 日本化学会編 『化学便覧 基礎編 改訂4版』 丸善、1993年
  4. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  5. ^ F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年