月村了衛
月村 了衛(つきむら りょうえ、1963年3月18日[1] - )は、日本の小説家。予備校講師、脚本家を経て小説家となる[2]。
月村 了衛 (つきむら りょうえ) | |
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誕生 |
1963年3月18日(61歳) 大阪府大阪市 |
職業 | 小説家 |
言語 | 日本語 |
教育 | 文学士(早稲田大学) |
最終学歴 | 早稲田大学第一文学部卒業 |
活動期間 | 2010年 - |
ジャンル | |
代表作 | |
主な受賞歴 |
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デビュー作 | 『機龍警察』(2010年) |
影響を受けたもの
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公式サイト | 月村了衛の月録 |
来歴
編集生い立ち
編集小学生の頃から漠然と憧れ[3]、高等学校を卒業する頃には、小説家になりたいと考えていた[4]。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業[注 1]。大学在学中、清水邦夫、高橋玄洋に脚本・演劇を学ぶ。また山田風太郎についても詳しく[4]、『幻想文学』編集長の東雅夫が「早稲田中探してもここまで山田風太郎に詳しい人間はいませんよ」[6]と評した。そのため、『幻想文学』が山田にインタビューする際には、東に依頼され同行した[7]。大学卒業後、予備校講師として現国・古文・漢文の教鞭を執った。
脚本家として
編集1988年、テレビアニメ『ミスター味っ子』で、脚本家としてデビューした[7]。1997年に放映された『少女革命ウテナ』では脚本を担当したが、そのうち1回だけ「白井千秋」という名義を使用した[2][8]。2001年、テレビ東京で放映されたテレビアニメ『ノワール』の原案・構成・脚本を担当し、注目を集めた[7]。
しかし、もともと小説家志望であったこともあり、40歳を過ぎたころから再び小説を書き始め、このころに「脚本家は廃業」と後年記している[2][9]。
小説家として
編集40歳を過ぎて小説の執筆を再開してからは、次々書いて出版社に持ち込みを続ける。2010年、早川書房から『機龍警察』で小説家としてデビューを果たす[7]。その後も次々と長編小説を発表。2012年、機龍警察シリーズ2作目『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞受賞。2013年、機龍警察シリーズ3作目『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞受賞。2015年には回転式拳銃の登場する時代小説『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞受賞。同年、ソマリアに派遣された自衛隊員たちの苦闘を描いた冒険小説『土漠の花』は第12回本屋大賞5位となり、第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞[10]。
2014年には日本推理作家協会に入会しており[11]、のちに常任理事を務め[12]、2016年と2017年の日本推理作家協会賞の選考では「評論その他の部門」と「短編部門」の立会理事を務めている[13]。
エピソード
編集版元のオーダーを受けてからどのような小説を執筆するかを決める[14]。 「香港警察東京分室」で伝えたかったことは作中の「この国(日本)は香港と同じ道を辿っている。」という文言に尽きる、としている[15][注 2]。
文学賞受賞・候補歴
編集太字が受賞したもの
- 2012年 - 『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞受賞[16]。
- 2013年 - 『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞受賞[17]。
- 2015年 - 『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞受賞[18]。
- 2015年 - 『土漠の花』で第12回本屋大賞5位[19]。
- 2015年 - 『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞[10]。
- 2018年 - 『機龍警察 狼眼殺手』で第31回山本周五郎賞候補[20]。
- 2019年 - 『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞受賞[21]。
- 2023年 - 『香港警察東京分室』で第169回直木三十五賞候補[22]。
ミステリ・ランキング
編集週刊文春ミステリーベスト10
編集- 2012年 - 『機龍警察 暗黒市場』9位
- 2014年 - 『機龍警察 未亡旅団』9位、『土漠の花』15位
- 2017年 - 『機龍警察 狼眼殺手』4位
- 2018年 - 『東京輪舞』11位
- 2021年 - 『機龍警察 白骨街道』7位
このミステリーがすごい!
編集- 2012年 - 『機龍警察 自爆条項』9位
- 2013年 - 『機龍警察 暗黒市場』3位
- 2015年 - 『機龍警察 未亡旅団』5位、『土漠の花』6位
- 2016年 - 『影の中の影』12位
- 2018年 - 『機龍警察 狼眼殺手』3位
- 2019年 - 『東京輪舞』8位
- 2020年 - 『欺す衆生』7位
- 2022年 - 『機龍警察 白骨街道』3位
ミステリが読みたい!
編集- 2012年 - 『機龍警察 自爆条項』12位
- 2013年 - 『機龍警察 暗黒市場』4位
- 2014年 - 『黒警』17位
- 2015年 - 『機龍警察 未亡旅団』12位
- 2018年 - 『機龍警察 狼眼殺手』1位
- 2019年 - 『欺す衆生』15位
- 2022年 - 『機龍警察 白骨街道』3位
作品
編集小説
編集機龍警察シリーズ
編集- 機龍警察(2010年3月 ハヤカワ文庫JA / 2014年11月 ハヤカワ・ミステリワールド【完全版】 / 2017年5月 ハヤカワ文庫JA【完全版】)
- 機龍警察 自爆条項(2011年9月 ハヤカワ・ミステリワールド / 2012年8月 ハヤカワ文庫JA【上・下】 / 2016年5月 ハヤカワ・ミステリワールド【完全版】 / 2017年7月 ハヤカワ文庫JA【完全版 上・下】)
- 機龍警察 暗黒市場(2012年9月 ハヤカワ・ミステリワールド / 2020年12月 ハヤカワ文庫JA【上・下】)
- 機龍警察 未亡旅団(2014年1月 ハヤカワ・ミステリワールド)
- 機龍警察 火宅(2014年12月 ハヤカワ・ミステリワールド / 2018年8月 ハヤカワ文庫JA)
- 収録作品:火宅 / 焼相 / 輪廻 / 済度 / 雪娘 / 沙弥 / 勤行 / 化生
- 機龍警察 狼眼殺手(2017年9月 ハヤカワ・ミステリワールド)
- 機龍警察 白骨街道(2021年8月 ハヤカワ・ミステリワールド)
時代小説
編集- 一刀流無想剣 斬(2012年10月 講談社) - 初めて書いた長編小説で、執筆時の題名は『神子上典膳』[23]
- コルトM1851残月(2013年11月 講談社 / 2016年4月 文春文庫)
- 水戸黄門 天下の副編集長(2016年7月 徳間書店 / 2018年6月 徳間文庫)
- コルトM1847羽衣(2018年1月 文藝春秋 / 2020年11月 文春文庫)
- 十三夜の焔(2022年10月 集英社)
その他の小説
編集- 機忍兵零牙(2010年9月 ハヤカワ文庫JA / 2019年6月 ハヤカワ文庫JA【新装版】)
- 黒警(2013年9月 朝日新聞出版 / 2016年6月 朝日文庫)
- 土漠の花(2014年9月 幻冬舎 / 2016年8月 幻冬舎文庫)
槐 ()(2015年3月 光文社 / 2017年6月 光文社文庫)- 影の中の影(2015年9月 新潮社 / 2018年3月 新潮文庫)
- ガンルージュ(2016年2月 文藝春秋 / 2018年10月 文春文庫)
- 黒涙[注 4](2016年10月 朝日新聞出版 / 2019年9月 朝日文庫)
- 追想の探偵(2017年4月 双葉社 / 2020年5月 双葉文庫)
- 東京輪舞(2018年10月 小学館 / 2021年4月 小学館文庫)
- 悪の五輪(2019年5月 講談社 / 2021年7月 講談社文庫)
- 欺す衆生(2019年8月 新潮社 / 2022年3月 新潮文庫)
- 暗鬼夜行(2020年4月 毎日新聞出版 / 2023年5月 毎日文庫)
- 奈落で踊れ(2020年6月 朝日新聞出版)
- 白日(2020年11月 KADOKAWA)
- 非弁護人(2021年4月 徳間書店)
- ビタートラップ(2021年10月 実業之日本社)
- 脱北航路(2022年4月 幻冬舎)
- 香港警察東京分室(2023年4月 小学館)
- 半暮刻(2023年10月 双葉社)
アンソロジー
編集「」内が月村了衛の作品
- 結晶銀河 年刊日本SF傑作選(2011年7月 創元SF文庫)「機龍警察 火宅」
- ミステリマガジン700 国内篇 創刊700号記念アンソロジー(2014年4月 ハヤカワ・ミステリ文庫)「機龍警察 輪廻」
- 短編ベストコレクション 現代の小説 2014(2014年6月 徳間文庫)「機龍警察 沙弥」
- 平成二十六年度(60) 代表作時代小説 時を超える 熱き思い、絆と志(2014年6月 光文社)「水戸黄門 天下の副編集長」
- NOVA+ バベル 書き下ろし日本SFコレクション(2014年10月 河出文庫)「機龍警察 化生」
- 激動 東京五輪1964(2015年9月 講談社)「連環」
- 悪意の迷路(2016年11月 光文社 / 2019年5月 光文社文庫)「水戸黄門 謎の乙姫御殿」
- 葛藤する刑事たち 警察小説アンソロジー(2019年11月 朝日文庫)「焼相」
- Day to Day(2021年3月 講談社 / 2021年3月 講談社【愛蔵版】)「6/1 ぼくは泣いた」
- ベスト・エッセイ2021(2021年8月 光村図書出版)※エッセイアンソロジー「書棚に関する回想から」
単著未収録短編
編集連載
編集テレビアニメ
編集- ミスター味っ子(脚本)
- 機甲警察メタルジャック(脚本)
- 超電動ロボ 鉄人28号FX(脚本)
- BLUE SEED(脚本)
- 天地無用!(シリーズ構成・脚本)
- 神秘の世界エルハザード(脚本)
- 少女革命ウテナ(脚本)
- ノワール(原案・構成・脚本)
- 朝霧の巫女(シリーズ構成・脚本)
- 円盤皇女ワるきゅーレ(シリーズ構成・脚本)
- 円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲(シリーズ構成・脚本)
OVA
編集- 英雄凱伝モザイカ(脚本)
- モルダイバー (脚本)
- 天地無用! 番外編 「宇宙刑事(ギャラクシーポリス)美星 銀河大冒険(スペースアドベンチャー)(脚本)
- 神秘の世界エルハザード(原案・構成・脚本)
- 青空少女隊(脚本)
- てなもんやボイジャーズ(原作・脚本)
- 円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁(シリーズ構成・脚本)
- 円盤皇女ワるきゅーレ 時と夢と銀河の宴(シリーズ構成・脚本)
劇場アニメ
編集- ZIGGY それゆけ! R&R BAND (1991・脚本)
- 天地無用! In LOVE(脚本)
ラジオドラマ
編集- 万能文化猫娘(脚本)
- 青空少女隊(脚本)
- 円盤皇女ワるきゅーレ(脚本)
漫画原作
編集- 土漠の花(『ヤングキングアワーズ』/漫画:フクダイクミ、2021年2月号 - )
- ランナー(角川コミックス・エース/漫画:峰倉由比)
- ルテナン・スカーレット(『月刊コミックラッシュ』/漫画:高雄右京)
作詞
編集- 本家・愛の思い出〜元祖・愛の思い出〜正調・愛の思い出(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.134.427-5
- フォトン・プロトン・シンクロトロン(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.134.429-7
- 眠れる縁側の美女(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.134.432-2
- 永遠に永遠に星の夢(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.134.435-5
- 天地開闢時空道行(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.134.440-2
- 浪漫の旅立ち(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.186.512-4
- 樹雷交響組曲第八番「温泉」より温泉オペラ(作曲:長岡成貢) ISWC T-101.186.518-0
- RAP THE 801!!(作曲:原田真二) ISWC T-101.263.891-2
- 青空戦隊シモレンジャー(作曲:堀井勝美) ISWC T-101.278.110-9
- カラオケの恋人(作曲:大谷明裕、編曲:岩本正樹) ISWC T-101.278.111-0
- 府中しぐれ(作曲:大谷明裕) ISWC T-101.278.515-6
- 秋ドラのデュエット(作曲・編曲:神津裕之) ISWC T-909.685.360-0
- 侍女部隊隊歌(作曲・編曲:神津裕之) ISWC T-909.685.362-2
- ライネ・ライヒ(作曲:神津裕之) ISWC T-909.685.363-3
- 時の小径(作曲・編曲:神津裕之) ISWC T-909.685.364-4
- カーテン・コール〜フィナーレよりも華やかな〜(作曲・編曲:神津裕之) ISWC T-909.685.365-5
- 黄昏の手毬歌(作曲:斎藤恒芳) ISWC T-909.688.270-1
- 臘月の皇女(作曲・編曲:川井憲次) ISWC T-909.696.300-7
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 日本音声製作者連盟『日本音声製作者名鑑 アニメ・洋画・ゲーム・ネットコミック声優・制作スタッフのすべて』小学館、2007年、286頁。ISBN 978-4095263021。
- ^ a b c 月村了衛 (2018年6月10日). “現在と未来のすべての読者へ”. 月村了衛の月録. はてな. 2018年6月15日閲覧。
- ^ ""小説家デビューは47歳…月村了衛が語る【人間力】「苦しみながらも書いているその時間」こそが作家の幸せ". 日刊大衆. 双葉社. 4 April 2022. 2022年4月4日閲覧。
- ^ a b 月村了衛「千街晶之「解説」」『機龍警察 自爆条項』 下、早川書房〈ハヤカワ文庫JA〉、2012年、291頁。ISBN 978-4-15-031076-9。
- ^ 「早稲田学報2017年12月号」[信頼性要検証]
- ^ 月村了衛 (2010年8月25日). “一期一会 山田風太郎先生の思い出(一)」”. 月村了衛の月録. はてな. 2018年6月17日閲覧。
- ^ a b c d 自爆条項解説 2012, p. 292
- ^ 月村了衛 (2015年4月4日). “近況、雑記”. 月村了衛の月録. はてな. 2018年6月3日閲覧。
- ^ 月村了衛「自作解題『機龍警察』」『機龍警察〔完全版〕』早川書房、2014年、361頁。ISBN 978-4-15-209498-8。
- ^ a b “2015年 第68回 日本推理作家協会賞”. 日本推理作家協会. 2020年4月21日閲覧。
- ^ 月村了衛「入会の御挨拶」『日本推理作家協会会報』2014年8月号、日本推理作家協会、2014年9月3日、2018年6月17日閲覧。
- ^ 月村了衛 (2017年6月22日). “日本推理作家協会七十周年記念書評原稿募集のお知らせ”. 月村了衛の月録. はてな. 2018年6月17日閲覧。
- ^ “月村了衛”. 会員名簿. 日本推理作家協会. 2018年6月15日閲覧。
- ^ https://www.bungei.shueisha.co.jp/interview/zuysanya/
- ^ https://ryoue.hatenablog.com/entry/2023/12/07/213050
- ^ “各賞受賞一覧 | SFWJ:日本SF大賞”. 日本SF作家クラブ. 2018年6月16日閲覧。
- ^ “吉川英治文学新人賞〔受賞作品一覧〕”. 講談社. 2018年6月16日閲覧。
- ^ “大藪春彦賞”. 徳間書店. 2018年6月16日閲覧。
- ^ “これまでの本屋大賞”. 本屋大賞実行委員会. 2018年6月16日閲覧。
- ^ “山本周五郎賞”. 新潮社. 2018年6月16日閲覧。
- ^ “山田風太郎賞に月村了衛さん「欺す衆生」”. 産経ニュース (産経デジタル). (2019年10月19日) 2020年4月21日閲覧。
- ^ “第169回「芥川賞・直木賞」候補作決まる 市川沙央氏&児玉雨子氏が芥川賞初候補”. ORICON NEWS. oricon ME (2023年6月16日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ 月村了衛. “時代浪漫復古の弁”. 講談社BOOK倶楽部 もうひとつのあとがき. 講談社. 2018年6月16日閲覧。
- ^ 月村了衛 (2015年10月6日). “『神子上典膳』”. 月村了衛の月録. はてな. 2015年11月18日閲覧。
- ^ 月村了衛 (2016年9月3日). “『黒涙』”. 月村了衛の月録. はてな. 2018年6月17日閲覧。