今福龍太
日本の文化人類学者・批評家
今福 龍太(いまふく りゅうた、1955年9月30日 - )は、日本の文化人類学者・批評家。東京外国語大学名誉教授。
人物情報 | |
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生誕 |
1955年9月30日(69歳) 日本・東京都[1] |
国籍 | 日本 |
出身校 |
東京大学法学部 テキサス大学大学院 |
学問 | |
研究分野 |
文化人類学 群島論 文化詩学 メディア論 身体論 書物論 歴史批評 |
研究機関 | 和光大学 |
学位 | 修士 テキサス大学 |
主な受賞歴 |
讀売文学賞 宮沢賢治賞 角川財団学芸賞 |
脚注 |
南北アメリカを中心に人類学的調査を重ねる。従来の文化人類学の枠に捉われず、周辺領域にも範囲を広げて、独自の論を展開。主著に『クレオール主義』(1991年)、『群島ー世界論』(2008年)、『書物変身譚』(2014年)、『ハーフ・ブリード』(2017年)など。
来歴・人物
編集東京都生まれ。栄光学園高等学校、東京大学法学部卒業。1982年よりメキシコ・キューバ・ブラジルにて人類学的調査に従事。1987年テキサス大学オースティン校大学院博士課程単位取得(人類学・ラテンアメリカ研究)。エル・コレヒオ・デ・メヒコ、中部大学、慶應義塾大学SFC、カリフォルニア大学サンタクルーズ校等で研究勤務。1998年に札幌大学教授、2005年に東京外国語大学大学院教授。2020年から和光大学現代人間学部人間科学科特任教授。2024年11月より台湾の淡江大學招聘教授として教鞭をとる。
2000年にはサンパウロ大学日本文化研究所客員教授を務め、現在はサンパウロ・カトリック大学客員教授として同大学コミュニケーション・記号学研究科大学院にて随時セミナーを持つ。2017年『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』で読売文学賞(第68回、随筆・紀行部門)を受賞。2020年『宮沢賢治 デクノボーの叡知』で宮沢賢治賞(第30回)および角川財団学芸賞(第18回)を受賞。
山口昌男の影響のもと、いちはやく狭義の文化人類学から周辺諸領域へと越境し、従来の学問の枠に収まらない自在な筆およびフィールドワークで独自の世界を構築する学者である。
著書
編集単著
編集- 『荒野のロマネスク』(筑摩書房、1989/岩波現代文庫、2001)
- 『感覚の天使たちへ』(平凡社、1990)
- 『クレオール主義』(青土社、1991/ちくま学芸文庫(増補版)、2003)
- 『移り住む魂たち』(中央公論社、1993)
- 『遠い挿話』(青弓社、1994)
- 『野性のテクノロジー』(岩波書店、1995)
- 『スポーツの汀』(紀伊國屋書店、1997)
- 『移動溶液』(新書館、1998)
- 『フットボールの新世紀 美と快楽の身体』(廣済堂出版〈廣済堂ライブラリー〉、2001)
- 『ここではない場所 イマージュの回廊へ』(岩波書店、2001)
- 『ミニマ・グラシア 歴史と希求』(岩波書店、2008)
- 『ブラジルのホモ・ルーデンス サッカー批評原論』(月曜社、2008)
- 『群島 - 世界論』(岩波書店、2008)
- 『身体としての書物』(東京外国語大学出版会、2009)
- 『レヴィ=ストロース 夜と音楽』(みすず書房、2011)
- 『薄墨色の文法 物質言語の修辞学』(岩波書店、2011)
- 『書物変身譚』(新潮社、2014)
- 『変容の山』(fischotter press、2014)
- 『ジェロニモたちの方舟 群島-世界論〈叛アメリカ〉篇』(岩波書店、2015)
- 『わたしたちは難破者である』(河出書房新社、2015)
- 『わたしたちは砂粒に還る』(河出書房新社、2015)
- 『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(みすず書房、2016 讀売文学賞)
- 『ハーフ・ブリード』(河出書房新社、2017)
- 『クレオール主義 パルティータ I 』(水声社、2017)。著作集(全5巻)
- 『群島-世界論 パルティータ II 』(水声社、2017)
- 『隠すことの叡知 パルティータ III 』(水声社、2017)
- 『ボーダー・クロニクルズ パルティータ IV 』(水声社、2017)
- 『ないものがある世界 パルティータ V 』(水声社、2018)
- 『ブラジル映画史講義』(現代企画室、2018)。金子遊 編
- 『宮沢賢治 デクノボーの叡知』(新潮選書、2019 宮澤賢治賞・角川財団学芸賞)
- 『ボルヘス『伝奇集』 迷宮の夢見る虎』(慶應義塾大学出版会「世界を読み解く一冊の本」、2019)
- 『サッカー批評原論 ブラジルのホモ・ルーデンス』(コトニ社、2020)
- 『リングア・フランカへの旅 〈自由な舌〉を求めて』(Gato Azul、2020)
- 『原写真論』(赤々舎、2021)
- 『ぼくの昆虫学の先生たちへ』(筑摩選書、2021)
- 『言葉以前の哲学 戸井田道三論』(新泉社、2023)
- 『霧のコミューン』(みすず書房、2024)
共著
編集- 『知のケーススタディ』 多木浩二 新書館 1996
- 『時の島々』 東松照明 岩波書店 1998
- 『アーキペラゴ 群島としての世界へ』吉増剛造 岩波書店 2006
- 『Longe do Brasil 1935-2000 ブラジルから遠く離れて1935-2000』サウダージ・ブックス共編著、港の人 2009
- 『近代スポーツのミッションは終わったか 身体・メディア・世界』稲垣正浩・西谷修 平凡社 2009
- 『韵 hibiki』-即興掛け合い詩片- 川満信一 Gato Azul 2017
- 『小さな夜をこえて 対話集成』 水声社 2019
編著
編集- 『戸井田道三の本』全4巻(筑摩書房 1993-94)
- 『世界文学のフロンティア』全6巻(共編、岩波書店 1996-97)
- 『21世紀・文学の創造』全9巻・別巻1(共編、岩波書店 2002-03)
- 『山口昌男著作集』全5巻(筑摩書房 2002-2003)
- 『アルフレッド・アルテアーガ+高良勉 詩選』叢書 群島詩人の十字路(編訳、サウダージ・ブックス 2009)
- 『マイケル・ハートネット+川満信一 詩選』 叢書 群島詩人の十字路(編訳、サウダージ・ブックス 2010)
- 『むかしの山旅』(河出文庫 2012)
- 『津波の後の第一講』(鵜飼哲共編、岩波書店 2012)
- 『山口昌男コレクション』(ちくま学芸文庫 2013)
- 『映像の歴史哲学』(多木浩二著、みすず書房 2013)
- 『新編 太陽の鉛筆』(東松照明/伊藤俊治共編、赤々舎 2015)
翻訳
編集- ジェイムズ・L.ピーコック『人類学と人類学者』 岩波書店 1988/改題『人類学とは何か』(岩波同時代ライブラリー, 1993)
- セバスティアン・サルガード写真集『人間の大地 労働』岩波書店 1994
- クロード・レヴィ=ストロース『サンパウロへのサウダージ』みすず書房 2008