ここまでの8試合、福岡の中で杉山力裕と輪湖直樹とともにフル出場を果たしているのが鈴木惇だ。昨季、期限付き移籍でプレーした大分から今季福岡に戻ってきた彼に“変化”を感じ取っているサポーターの方は多いだろう。
福岡は今季、ゲームキャプテンをローテーションで任命しているが、鈴木は第1節の岐阜戦、第5節・東京V戦、そして第6節・大宮戦とチーム最多の計3度務めている。井原正巳監督から指名を受けた理由の一つが“リーダーシップ”であり、それが変化の一つ。年齢ととともにチーム内での立ち位置が変化したことで、その能力を表に出して発揮するようになった。福岡のアカデミー出身者として18歳でJリーグデビューを果たした少年がもう28歳となったことを考えれば、当然の変化とも言えるか(ちなみに鈴木は22日で29歳となる)。
話はさかのぼって、東京Vでの2年間を経て福岡に戻ってきた2015年に鈴木が見せた変化は攻撃力、得点力だった。ボランチながら配球にとどまらずゴール前にどんどん顔を出して相手ゴールを脅かすプレーが増加。そのシーズンのチーム最多となる9ゴールを挙げてJ1昇格の立役者の一人となった。
そして今回の復帰では、2015年とは異なる変化がある。それが“守備力”だ。大分の片野坂知宏監督からかなり細かいアドバイスを受けて身につけた守備技術と意識は、鈴木の選手としての成長を促した。そして、守備面での要求が厳しい井原監督がそれを認めたからこその、フル出場とレギュラー定着だろう。
その変化を強く感じさせたのが前節の横浜FC戦だ。横浜FCの攻撃の要であるレアンドロ・ドミンゲスへのファウルで40分に警告を受けた。厳しい判定にも思えたが、レアンドロへの繰り返しのファウルによる警告が、かつての鈴木では考えられないような強い守備意識が備わったことの“証明書”に見えたサポーターの方もいたのではないか。
恐らく、鈴木の変化は、まだ続く。
(福岡担当 島田徹)
2018/04/11 16:56