9/22 更新しました 注1(大事):以下の文章は一般的な実務慣行や規則を適当に述べたもので、法的なアドバイスではない 注2:深夜テンションで書いたので文章がわかりにくい、ゆるして お前だれぺーぺーの弁理士。一応、知的財産の専門家ということになってる(弁理士法1条)。普段は特許を取れるように文章を書いたり特許庁の人を説得したりしてる。 言いたいこと特許を含む産業財産権の係争は利害で動く、お気持ちは(たぶん)そんなにない特許侵害の判断はマジでケースバイケースなので、この時点で判例がどうとか言っている人を信用しないほうがいい今後の流れ:被告は①自社製品が特許権の権利範囲に入ってないと主張するか、②特許が無効と主張するか、③ライセンスの交渉をするか、このあたりはまず考えるだろうお気持ちメインで特許侵害訴訟なんてしない今回の件で「はじめは泳がせていたけど調子に乗ってきたからブチぎれて訴訟を提起した
期限を1日徒過してしまいましたが、弁理士の日記念企画というということで、知財業界での教育というテーマで書いてみようと思います。 自分は、金沢工業大学(虎ノ門大学院)で10年以上にわたり、知財の入門講座(「知的財産要論」)を担当してきました。8コマ(12時間)で、知財の経験がない学生を対象に、特許・実案・意匠・商標・著作権・不競法を全部カバーするというチャレンジング(教える方にとっても学ぶ方にとっても)な講座です。 この経験の中から、限られた時間内で未経験者向けの知財研修を行う際のポイントについていくつか書いてみようと思います。 ①特許においては「手続関連」の話をどれだけ省略できるかがポイント 特許の説明で手続き的な話を始めると時間がいくらあっても足りなくなってしまいます。補正・分割出願・拡大先願(29条の2)・損害論・PCTあたりは実務上はきわめて重要であるのは当然として、初学者にとっては
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「特許取得のピアノシューズをアプリで無許可販売容疑 会社役員を逮捕」というニュースにX等で知財関係者から意外の声が聞かれます。特許権侵害で逮捕というパターンが前代未聞だからです。 特許権侵害については、法文上は 第百九十六条 特許権又は専用実施権を侵害した者(略)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 と結構ヘビーな刑事罰が規定されています。なお、刑事罰の適用には特許権の侵害に加えて(刑法の規定により)故意であることが要件になります。 しかし、現実には、特許権侵害が刑事事件化するケースはめったにありません。上記記事でも「県警が同法違反容疑で摘発するのは記録が残る1989年以降で初めて」と書かれています。 なお、家宅捜索→書類送検→不起訴というパターンであればないこともなく、たとえば、日本弁理士会の会誌「パテント」に担当弁理士先生が経緯を寄稿されています(わざ
英最高裁は20日、人工知能(AI)システムが考案した発明品の特許登録を認めない判断を示した。AIが特許権を保有できるかを巡り、英国で画期的な判決が下された形になった。(2023年 ロイター/Dado Ruvic) [ロンドン 20日 ロイター] - 英最高裁は20日、人工知能(AI)システムが考案した発明品の特許登録を認めない判断を示した。発明者は人間か企業でなければならないという知的財産庁の見解を支持し、AIシステムを開発した原告の米科学者の敗訴となった。 原告である米国のコンピューター科学者スティーブン・ターラー氏は、自身のAIシステム「DABUS」が考え出した発明について英国で2件の特許を申請したが、英国の知的財産庁(IPO)は、発明者は機械ではなく、人間か企業でなければならないとして申請を拒否。これを受け、ターラー氏が訴訟を起こしていた。 最高裁は全会一致で同氏の訴えを退け、英国の
連絡なければ約2万作品の“フィルム原版”が廃棄!?事業終了する東京現像所が情報提供を呼びかけ…現状を聞いた 往年のテレビドラマや映画など、フィルムで撮影された作品のネガフィルムが廃棄処分の危機に立たされている。 昭和30年(1955年)に創立し、映像作品の編集などに携わってきた東京現像所は昨年11月、事業環境の変化などを理由に今年11月末に全事業を終了することを発表。 (出典:東京現像所) この記事の画像(4枚) このため同社が預かっている権利者不明で引き取り先が無い「ネガフィルム原版」は10月末で廃棄対象になるとしており、12月以降は保管が不可能になるという。 これまで同社は作品の権利者に連絡するなどして返却作業を進めてきたが「残念ながら連絡が取れないお客様もいらっしゃいます」として、9月7日には原版の心当たりがある人から情報提供を呼びかけるリリースを公開。10月末までに権利者と連絡がと
この度文字商標「フルトラ」(商標登録第6586026号)について、2023年8月21日付で特許庁に商標登録無効審判を請求いたしましたのでお知らせいたします。 本無効審判は、当社関係先に対して、商標権者である株式会社Shiftallより、「フルトラ」という語の使用を中止し、また過去に遡ってその表示を削除するよう求める連絡があったことに対して行ったものです。 「フルトラ」とは、VR機器におけるフルボディトラッキングを示す為、当社で把握している限りにおいても2018年以前より広く使われている語で、特定の企業によって独占されるべき語ではありません。 また、「HaritoraX」のキャッチコピー「フルトラを民主化する」からもわかる通り、Shiftall社自身も「フルトラ」を広く一般に普及させることを事業の趣旨としております。したがって、Shiftall社自身にも「フルトラ」という語の独占の意図はない
今回のAFURIのケース、いろいろ論点はありますが、かいつまんでいうと、吉川醸造が、類似の可能性がある登録商標があるにもかかわらず、商品の販売を始めてしまったということに尽きます。ツイッター(X)の知財クラスタや法曹クラスタでは、AFURIは正当な権利を行使しているだけという見方が大多数ですが、それ以外のユーザーでは「吉川醸造かわいそう」「もうAFURIのラーメンは食べない」といった、AFURI側を批判する意見も見られます。 B2C系の企業が普通に知財の権利を行使しているだけなのに、権利行使した側が消費者の批判の対象になるケースはこれ以外にもありました(最近で言うと、コナミによるサイゲームスに対する特許権侵害訴訟が思い浮かびます)。以下、そうなりがちな理由と対策について考えてみたいと思います。なお、「ゆっくり茶番劇」事件のように、不正目的の(あるいは信義に反する)行為で炎上する話はまた別で
追記 afuri.com ラーメン屋側の正式なアナウンスが来て、いろいろと新事実が出てきました。私が追加更新する余裕がないですが、当記事の主張が強化されただけなので、本文の「両者の言い分+α」のところでこれも読んでおいてください。 ※当記事は長文になったため、吉川醸造株式会社を「酒造」、AFURI株式会社を「ラーメン屋」と敬称抜きで表記しています。 はじめに 今回の件、「老舗酒造へ、意識高い系ラーメン家が一方的に難癖付けた」という構図と思われたところから始まって炎上してますが、素人なりに今回の案件は一通り調べ終わっての私の結論としては「90:10のレベルで酒造側の方が問題」となったので、その辺を書いていったら1万文字になりました。 もちろんどちらが正しいとは一概に言えないからこそ係争になるわけですが、少なくとも現段階でラーメン屋側は一方的に非難されるべき立場ではないぞ、と。 私の立ち位置表
ラーメンチェーン店AFURIと言えば、ランキング上位に入ることも多く、少なくとも東京圏では周知だと思います(私もたまに行きます)。そのAFURIが、吉川醸造という清酒メーカーを商標権侵害で提訴したというニュースがありました。吉川醸造は「雨降」と書いて「アフリ」と読ませる商標(タイトル画像参照)を使用して清酒を販売しています。 AFURI社は、ラーメン関連に限らず、多くの指定商品・役務でAFURIの商標登録を行っています。「清酒」については2020年4月14日に登録(6245408号)しています。 AFURI社がAFURIというブランドの清酒を販売しているという話は知らないので調べてみましたが、少なくともネット上では販売の形跡が見つかりません。一般に、3年以上使用されていない登録商標に対しては不使用取消審判を請求することで取消できます。吉川醸造側が何故不使用取消審判を請求していないのか不思議
生成系AIが生成するイラストや文章などについて著作権上の課題が指摘されるなか、日本弁理士会は2023年8月4日、報道関係者を対象に「生成系AIと著作権法における論点整理」のための説明会を開催した。この問題について弁理士の立場からの見方を示すとともに、生成系AIの技術についても触れ、AI利用装置やAI利用発明に関する特許や発明などについても説明を行った。 著作権が発生しない? 生成AIをめぐる著作権上の課題を説明 日本弁理士会は知的財産の専門家である弁理士によって構成される組織で、1915年(大正4年)に設立。知的財産制度の研究と普及、弁理士の進歩と業務改善に関する各種活動を行っている。 今回の説明では、日本弁理士会で著作権委員会委員長を務める高橋雅和氏と、知財制度検討委員会の委員長を務める中尾直樹氏が解説した。 高橋氏はまず「高度な生成AIの登場により、イラストや文章などを誰でも簡単に、短
米MetaがTwitterと競合する新サービスThreadsをリリースしてから24時間もたたぬうちに、Twitterを運営する米XがMetaを提訴すると警告したと、米メディアプラットフォームのSemaforが7月7日、XがMetaのマーク・ザッカーバーグCEOに送ったとする書簡のPDFを添えて報じた。 書簡の日付は7月5日で、差出人はXの法務責任者でマスク氏の代理人も務めるアレックス・スピロ氏になっている。 「最近リリースされたThreadsアプリに関する最近の報告に基づいて、Twitterは、MetaがTwitterの企業秘密およびその他の知的財産の組織的、意図的、不法な流用に関与していることに深刻な懸念を抱いている」としている。 スピロ氏は、「過去1年間、Metaは数十人の元Twitter従業員を雇用してきた」としているが、Metaの幹部、アンディ・ストーン氏はThreadsへのポスト
金曜日の午後、知財クラスタを俄かにざわめかせたドワンゴ対FC2の知財高裁大合議判決。 本来であればすぐさま反応すべきところだったのだろうが、自分はそれを横目で見ながら土曜日にゆっくりと朝刊を開き、ようやく事の概略を知った次第。 「動画配信サービス「ニコニコ動画」を手掛けるドワンゴが、動画にコメントを流す特許を侵害されたとして米FC2などに配信差し止めと10億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、知財高裁の大合議(裁判長・大鷹一郎所長)であった。大鷹裁判長は請求を棄却した一審判決を変更して特許侵害を認め、FC2側に配信差し止めと約1100万円の賠償を命じた。」 「日本の特許権は「適用範囲を登録した国の中に限ること」(属地主義)を原則とする。グローバル化とIT(情報技術)化が進む中、サーバーを海外に置いて原則から逃れる「抜け道」を塞いだ司法判断といえる。同種判決は2例目で、今回新たに日
今月は若い世代の性被害などの予防月間ですが、内閣府は啓発用のポスターのイラストがほかの作品と似ていて、業者の制作過程に不適切な点が認められたとして、使用を取りやめました。 内閣府によりますと、「若年層の性暴力被害予防月間」の今月、啓発用のポスターや関連動画のイラストが、イラストレーターのたなかみさきさんの作品と似ているという指摘が外部から寄せられました。 これを受けて、事業を請け負った「凸版印刷」に確認したところ制作過程で指摘された作品を参考にしておりチェックが不十分だったと報告があったということです。 このため、内閣府は、ポスターや関連動画の使用を取りやめ、すでに配布したものも可能なかぎり回収することを決めました。 内閣府は「極めて遺憾で、事業者に真摯(しんし)な対応を求めていく」とする一方、たなかみさきさんら関係者や国民に対し「ご迷惑をおかけし、おわび申し上げます」とコメントしています
著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。 ゲームのハードウェアは先進技術や創意工夫の塊であり、特許と切っても切れない縁があります。もちろん、PlayStationを擁するソニーも例外ではありません。 ですが、同社が過去12年間にわたり、特許の出願文書中で競合他社を何故か「他の劣ったメーカー」と呼び続けていることが分かりました。 フロリアン・ミューラー氏は20年以上も特許アナリストを営んでいるベテランであり、テクノロジーと知財について影響力あるFOSS Patents を運営する人物。そのミューラー氏が、最近公開されたソ
「モンスターエナジー」権利元は、日本国内において「モンスター(Monster)」の名を含むさまざまな商標に対し、過去に登録異議申立てをおこなっていた。特許情報プラットフォームJ-PlatPatなどで確認できる。昨日弊誌にて、海外ホラーゲーム開発者が「モンスターエナジー」権利元からタイトル名変更の要求を受けていると報じた(関連記事)。同記事を公開したのち、読者からの情報提供や、弊誌の調査から、「モンスターエナジー」権利元がさまざまなゲームに商標異議の申し立てをしていたことが改めて判明している。 モンスターエナジー(Monster Energy)はエナジードリンクだ。米国ではMonster Beverageが製造・販売している(日本ではアサヒ飲料株式会社が製造・販売を担当)。ゲーム関連イベントや団体、ストリーマーのスポンサーを務めるなど、ゲーム業界とも縁深い会社と飲み物だろう。 そんなモンスタ
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